テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

「フェリーニのアマルコルド」を観る

2019-03-03 | つぶやきメモ
 以前にも幾つかありましたが、1回しか観ずに、でももう一度観るかは分からないという映画については、やはり備忘録として何がしか書いておきたいので“つぶやきメモ”しようと思います。

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 「フェリーニのアマルコルド」
 「フェリーニのローマ」の2年後の1974年の作品でありますな。時にフェリーニ54歳。
 「ローマ」を観た時はまるで映像によるエッセイのように感じましたが、この「アマルコルド」にも少しだけそんな感じがあります。特に明確な物語は無く、フェリーニの故郷北イタリアの東部、アドリア海に面した港町リミニでの思い出を走馬灯のように描いた作品です。
 双葉さんの「外国映画ぼくの500本」にも入っている作品で、師匠(双葉さんのことです)の評価は☆☆☆☆★(85点)。大傑作ですね。
 師匠によると<「アマルコルド」とはフェリーニの故郷の北イタリアの方言「エム・エルコルド」(私は覚えている)のなまったもの>だそうです。<素晴らしいノスタルジア映画である>とも書かれていますが、個人的には昨年末に観た米国ノスタルジア映画「わが心のボルチモア」とはえらい違いですなぁ。

 イタリアの歴史に詳しい人、或いは古くからのイタリア映画を観ている人、そんな人には理解しやすい映画なのかも知れません。僕もそれなりに観ていますが、ちょっとこの如何にもフェリーニらしくカリカチュアライズされた人々には親近感がわかなくて、当然ノスタルジーも感じないですね。数多くのエピソードが描かれますが、意味不明のものも結構ありました。フェリーニの分身がどの子なのかもよく分からないし・・。

 二人の男の子がいる建設会社の親方の家族がメインですが、精神病院に入っている親方の弟を休日に車で外出させるエピソードとか、ファシスト党に親方が拷問されるエピソードは面白かったです。
 あと、町の皆がボートなどに乗って海に繰り出すんですが、目的は近海を航海中のアメリカの豪華客船を観る為で、真夜中にその大きな船が現れるシーンなんか圧巻です。そう、確かにどのシーンもフェリーニらしい美しい映像でした。

 たんぽぽの綿毛でしょうか、それが街に舞い始める春に始まり、次の綿毛の季節で終わるのですが、途中の季節の移ろいはあんまり感じませんでした。

 2回目は超特急で観た現時点でのお薦め度をあえて言えば、「一見の価値あり」です。どっちかというと「ローマ」の方が好きかな。
 「魂のジュリエッタ (1964)」の後のフェリーニは僕好みでは段々なくなっていったような気がします。そう考えると「甘い生活」が余計に観たくなりました。「LA DOLCE VITA(1959)」

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