テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

小説家を見つけたら

2005-03-25 | ドラマ
(2000/ガス・ヴァン・サント監督/ショーン・コネリー、ロブ・ブラウン、F・マーレイ・エイブラハム、アンナ・パキン、マイケル・ヌーリー)


 「誘う女(1995)」「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997)」のガス・ヴァン・サント監督作品。「グッド・ウィル・・・」と同じく優秀な若者が主役の話だが、アチラが本当の天才に対して、こっちはスラム育ちの秀才少年。
 作られた年度も観た順序も違うが、まずコチラから書いてみよう。「グッド・ウィル・・・」は、もう一度観ることになるだろうし、確認したい所もあるので。

*

 ニューヨーク・ブロンクスに住むジャマール(ブラウン)は、普段は仲間とバスケットを楽しむ16歳の少年だが、家では自分の部屋で密かに文章を書くのを楽しみにしている。仲間と使っているバスケット・コートのある広場。その近くのアパートの一室からは、何者かがいつもカーテン越しに彼らを見下ろしていた。ある日、仲間にそそのかされて、そのアパートにジャマールは忍び込む。
 その部屋には大きな本棚があって、名作と言われるたくさんの本が並んでいた。誰かに見つかりそうになって急いで部屋を出て行くが、ジャマールはその時リュックを忘れてしまう。その中には、普段彼が書き留めているノートが数冊入っていた。
 次の日、そのリュックはアパートの窓から投げ落とされる。中に入っていたノートの余白には、文章に対する書き込みがなされていた。的確なその批評に驚いたジャマールだが、そのアパートの人物とは・・・。

*

 ショ-ン・コネリー扮するフォレスターは、かつてピューリッツア賞を獲った有名な作家だったが、あることをきっかけに、創作活動はしても外部に発表しないという人生をおくっている。“フォレスター”はジャマールも名前は知っているし、賞を獲った処女作も読んでいた。知り合いとなる二人。やがて、ジャマールは外部には口外しないという約束で、創作の指導を受けるようになるのだが、外部に心を閉ざしているフォレスターの痛みも知ることとなる。

 印象としては「グッド・ウィル・・・」と似ているが、人生の先輩に指導を受けるという設定では、何故か「ベスト・キッド(1984)」を思い出した。
 フォレスター役のショーン・コネリーが製作の一端を担っているということは、何か思い入れがあるんでしょうが、さて一体それは何でしょうな?

 フォレスターの作文に対する考えが面白かった。彼はワープロは使わない主義だ。あまりに簡単にかけるのでダメだという。使っているのはタイプライター。書いたそばから印字していくアレですな。パソコンやワープロも試したが、修正がお手軽に出来るので書くときに込める精神が弱くなる、ってな事を言ってました。ジャマールも初めてタイプライターを使った時に意外に力がいることに驚いていた。つまり、気合いですな。作文も気合いが入らんといかんというわけです。

 (日本の作家高村 薫さんは確かワープロを使ってたなあ。ま、相性の問題だろう。)

 ジャマールの進学の話、学校の作文の先生(クローフォード教授)とフォレスターの関係など色々とあって、面白い作品でした。ラストは、「グッド・ウィル・・・」のように爽やかな気分にさせてくれますし、考えさせてもくれます。

 クローフォード教授のF・マーレイ・エイブラハムは「アマデウス(1984)」でサリエリをやった人。ここでも意地悪な役でした。

 尚、最後に“ウィル・ハンティング”のマット・デイモンが、「レインメーカー(1997)」さながらに弁護士役でちょこっと出てきます。友情出演ですね。
・お薦め度【★★★★=友達にも薦めて】 テアトル十瑠

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