小学生だったと思う。
朝方、階下で電話が鳴って、母と父が交代で出、慌ただしくやり取りをしており、聞こえてくる単語から、親戚に不幸があったことがうかがい知れた。
親戚はどうやら山形の方らしく、こうなると行く人で日常の食事などの私たちの世話を誰がするかが子供にとっては大問題となる。
そこで、起きて様子を伺うが、両親ともにのんびりしているので、痺れを切らした私から『山形へは誰が行くの?行かなくても良くなったの?』と聞く羽目になった。
ところが、ここが不思議なんだが、『何の話?』と返事をしている。
何の話? どういうこと? しらを切るようなことではない。『朝方、電話が来てたじゃん。盗み聞きしたつもりはないけど、山形のおじさん?』
そうしたら、朝なんて電話は来てない、って言うじゃないか...
あんなにハッキリ聞こえたのに夢のわけがない。何度説明しても訝しそうにするばかり。
『じゃあ、おじさんとこに電話してみればいいじゃん。今朝の電話はなんだったのかって。』 不幸があったとかは縁起が悪いからどうしてる?とか然り気無く聞いてみればいい、だなんて、小学生なのによく気が回る。
結局、電話したらそれらしい話が事実だとわかったとのこと。それに、今朝は何もなく、うちに知らせたもんかと相談していたという。
驚いたというより狐につままれた心持ちしかしなかった。私にそんな特殊能力はないし、何だったのだろう。
その後、しつこく語られることはなかったが未だに不思議な出来事だった。恐らく脳波が同調する度合いだったんだろうけど。