ベイルート 26日 ロイター] - 外交的な動きが活発化するのに伴い、シリアの内戦も激化している。だが、外国による軍事介入強化も、復活した政治的協議も、4年半に及ぶ内戦を終結させる力はなさそうだ。
ロシアやイランなどアサド政権の主な同盟国と、反体制派を支援するサウジアラビア、トルコ、そして米国との代理戦争がますます激化するリスクが生じている。
トルコによるロシア軍機撃墜は緊張を高め、シリア問題の解決を目指してウィーンで会合が重ねられている国連支援の政治プロセスを複雑にしている。同プロセスはすでに大きな難題に直面していた。
軍事的に見ると、約2カ月にわたるロシアの空爆と、イラン部隊やレバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の支援を受けた地上戦で、アサド政権側はシリア西部の支配を強化。ロシアの支援を受ける政権側の部隊は、トルコ国境付近のシリア北西部ラタキアとアレッポで勢力を拡大。だが、勝利はアサド大統領側に決定的に傾いたわけではない。
反体制派は一方で、外国から新たに軍事支援を受けている。特にサウジアラビアから米国製の対戦車ミサイルTOWを増強しており、一部の地域で攻撃を食い止めるのに役立っている。
このようなミサイルが、パイロット救出に向かったロシアのヘリコプターを撃墜するのを彼らは目の当たりにした。
シリア内戦の国際的な側面を捉えた瞬間だった。シリア政府軍の関係筋はロイターに対し、こうした武器は広く使用されており、戦闘に影響を与えていると語った。
一方、過激派組織「イスラム国」によるパリ同時多発攻撃とロシア旅客機墜落事件は、シリアでの内戦に新たな次元の戦いをもたらした。同国東部で支配を広げるイスラム国との戦いだ。
フランスとロシアから報復空爆を受け、イスラム国は劣勢に立たされている。最近では、米国が支援するクルド人やアラブ人武装勢力、シリア政府軍、そして政府とイスラム国の両方と戦う反政府勢力にも押されていた。
そうとはいえ、シリアでイスラム国掃討に関わるアサド大統領の敵も味方も、その見通しは不透明なように見える。
オバマ米大統領は24日、ロシアが掃討作戦に加わることを歓迎するとしたうえで、空爆の対象を反体制派からイスラム国に変える必要があると語った。一方、ロシアはイスラム国を標的にしていると明言している。
シリア問題を解決するにあたり、アサド政権を退陣させるかどうかについて、米国・サウジ側と、イラン・ロシア側との間には基本的な相違がある。このことが恐らく、ウィーンでの政治プロセスを台無しにするリスクがある。
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<ラタキアの戦い>
「これまでのところ、ロシアの介入強化は実際の軍事的インパクトよりも、政治的な影響の方が大きい」と、国際危機グループのシニアアナリスト、ノア・ボンジー氏はウィーンでの協議についてこのように指摘。
「内 戦の解決に向けて、大きな進展が実際に見られると楽観できる理由はあまりない。だが少なくとも、皆が再び話し合いの場に戻ってきた。最も重要なのは、長い 間放置されていた反体制派内部の問題を解決する理由を、反体制派とその支援国に与えているということだ」とボンジー氏は述べた。
シリアの内戦はまもなく6年目に突入する。これまでに約25万人が犠牲となり、国民の半数以上が家を追われた。
内戦を逃れた多くのシリア人が難民として欧州に押し寄せ、危機を引き起こしている。
軍事的には、ロシアが支援する部隊は主に、アサド政権の生き残りに不可欠なシリア西部に集中している。
同地域ではイスラム国はほとんど存在していない。
反体制派の反撃に遭ったものの、アサド政権側にとって最も顕著な前進は、北西部ラタキアとアレッポ南部においてだろう。政権側は、首都ダマスカスとアレッポを結ぶ主要幹線道路を反体制派から奪還しようとしている。
政権側はまた、アレッポ東部でもイスラム国から空軍基地を奪還するなど著しい挽回を見せている。
さらに中西部ホムスでも村々を取り返している。
しかしホムスのやや北方にあるハマでは、対戦車ミサイルTOWを十分に装備する反体制派が進撃を続けている。
南北を貫く幹線道路上の町を占拠し、戦略的要衝のガーブ平原で攻撃を食い止めている。
「この2、3週間で、ロシアによる空爆は結果を見せ始めている。特にアレッポ南部とラタキアで明らかだ」と、非政府組織「シリア人権監視団」を率いるラミ・アブドゥルラーマン氏は語った。
ロシア軍機が墜落したラタキアの奥地では、政権側が最近いくつかの丘を制圧し、反体制派による周辺地域の支配を脅かしていると、ロイターが接触した反体制派グループ「アーラー・アル・シャム」のメンバーは話した。
<プーチン氏の夢>
シリア政府軍の関係筋によれば、現在までの成果には反体制派の司令部や指揮系統、後方支援拠点の破壊が含まれる。進撃のペースは奪還した地域を守るほどには重要ではないという。
だが攻撃を受け、より連携するようになった反体制派は、ハマでの成功にも勇気づけられて自信に満ちた挑戦的な態度を強めている。彼らの目には、アサド大統領が同盟国を頼る姿は弱さの証しと映る。
「夢を見る権利は誰にでもある。プーチン氏の場合はシリアで革命が起きないようにすることだ。だが、それは夢にすぎない」と、反体制派「自由シリア軍(FSA)」を率いるジャミル・サレハ氏は話した。
また、別の反体制派グループ幹部も、ロシアの介入によって士気が高まり、反体制派同士の結束も強くなったと述べた。
前出の国際危機グループのボンジー氏は「政権の最重要事項から言えば、ISとも戦う反体制派グループとの
戦いは、しょせん寄せ集めにすぎない。パワーバランスが根本的に変化したと言えるようなことは何もない」と指摘した。
以上、ロイター記事より
アラビアのローレンスの映画でヨーロッパの立場で都合よく描かれているが、中東アラブ人の立場で考えると溜まったものではない。
石油を狙った侵略の歴史であり、やられたらやり返すの繰り返しが歴史であり、日本の左翼はやられても話し合えばいいと綺麗ごとをいいますが、国際関係は真っ黒な世界なのです。日本は関わってきていませんから、これからも関わらないことが正解です。
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