上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が、女子プロの中でも特に“上手い!”と思う選手のプレーをピックアップし解説する「女子プロの匠」。今回は上田桃子のバンカーショットをチョイス。
【連続写真】これが“砂の女王”のアドレス!あとはクラブを落とすだけ
2017年は上田にとって日本ツアー復帰後、最高の年となった。5月の「中京テレビ・ブリヂストンレディス」で3年ぶりの勝ち星を挙げると、後半戦の大一番「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」では最終日が中止となる変則日程の中、2勝目をマーク。獲得賞金は賞金女王に輝いた2007年以来となる1億円突破を果たし、新生・上田桃子の強さをまざまざと見せつけた。
その上田が年間トップ10回数(鈴木愛とタイ)と共にスタッツで1位となったのがサンドセーブ率(グリーンサイドのバンカーに入ってから2打かそれより少ない打数でカップインする率)。この数字の高さが今年の安定感を大きく後押ししていたことに疑いはない。
難しいバンカーに入れないショット力、マネジメント力はもちろんのこと、バンカーショットの上手さが無ければトップの座につくことはできないサンドセーブ率。では、そんな辻村氏も「アマチュアにも真似して欲しい」と語る“砂の女王”の匠の技について早速解説してもらおう。
辻村氏が上田のバンカーショットで一番見て欲しいというのが『素直にクラブの重みを下に落とせてる』部分。「バンカーショットで良くない動きは、球を上げようとして力で砂を叩こうとしたり、砂をしゃくりあげようとすることです。対して上田さんはクラブの重みを活かして上から落とせている。これが強みです」
何故クラブの重みを使って落とせるのか。その秘密は立ち方にあった。「アドレスの時点でクラブの落としどころを作れているのが上手い理由。まず、ボール位置、ライを考えたうえで重さが行くところにきちんと足場を作れる。これは大前提です。そこからアドレスで左サイドが低い状態。右腰より左腰の方が低い。それがダウンスイングの入れどころを作っています。重心は打ったボールを落とす距離が近いほど左重心です。5ヤードのキャリーなら8:2。10ヤードのキャリーなら7:3と立ち方で入射角と出口を決める。ここまでの作業でしっかり落とすところを作ったら、あとは余計な考え事をせず、そこにクラブのヘッドを落とすだけ。言葉にすると簡単なようですが、状況は都度違います。例え左足上がりでも左重心で立てる上手さが上田さんにはあります」
アドレスで良い部分は他にもある。「バンカーの上手い人って足裏を砂を噛むように動かすんです。棒立ちで立つ人はいない。砂に足を埋めて砂の状況を確かめながら、自分のポイントを作る。そういう上手さも抜けてる」。固い、柔らかい、ぱさぱさ、ウェット。砂の状態を感じられる足裏で感じられる感覚はツアーでも屈指。もちろん、どの状況にも対応できる技術も。
「これ以上シンプルな打ち方はありません。だから本人はさほどバンカーというハザードを難しく考えていないはず。その気持ちが自信を生み、自信があるから凄く高い集中力が出ています。そしてもう1つ、何故自信を持ってできるかというと寄せやすいサイドのバンカーに入れにいっているからです。“寄せてパーを獲れるバンカー”という気持ちは余裕を生み、余計な力みをなくしています」
そんな上田に辻村氏がやらせているバンカーの練習方法が2つあるというので紹介したい。まずは左足一本打ち。
「さきほどアドレスでしっかり左体重になっていると話しましたが、それをより感じるために左足一本で立ってバンカーショットをします。当然力で行けば砂に刺さり過ぎてしまいますし、しゃくりあげようとすれば左足一本で立っていられないでしょう。余計な動きをせずクラブの重みをスッと落とす。その感覚が身に付くでしょう。とにかく力を抜くことです」
もう1つが目玉となったボールを打つ練習。「ボールを3分の2くらいをコンコンと沈めて目玉にする。それをクラブを上から落としてふわっと上げる。みなさん、特にアマチュアの人はボールが埋もれれば埋もれるほど力づくでやろうとする。パワーが必要だと勘違いしている。違うんです。道具の重みで上げるんです。力を入れずにポンっと叩いて45度くらいの角度でふわっと上げる。いくら上手いと言った上田さんでも悪くなる時があって、こういった練習をして調整しています。もちろん先ほどの練習とのミックス、目玉を左足一本で打つのも効果的です。それができるようになればもうバンカーは怖くありません!」
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、藤崎莉歩、小祝さくらなどを指導。上田の出場試合に帯同、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
以上、アルバニュース
>「アドレスの時点でクラブの落としどころを作れているのが上手い理由。まず、ボール位置、ライを考えたうえで重さが行くところにきちんと足場を作れる。これは大前提です。そこからアドレスで左サイドが低い状態。右腰より左腰の方が低い。それがダウンスイングの入れどころを作っています。重心は打ったボールを落とす距離が近いほど左重心です。5ヤードのキャリーなら8:2。10ヤードのキャリーなら7:3と立ち方で入射角と出口を決める。ここまでの作業でしっかり落とすところを作ったら、あとは余計な考え事をせず、そこにクラブのヘッドを落とすだけ。言葉にすると簡単なようですが、状況は都度違います。例え左足上がりでも左重心で立てる上手さが上田さんにはあります」
辻村コーチは、左足体重に注目しています。
左足体重以外にはハンドダウンに構えることもポイントだと思います。
また、ヘッドの重みを最大限に使うためにはバックスイングでアーリーコックしてヘッドを高く上げることも大事なポイントだと考えます。
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