ウクライナ侵略で敗色濃厚なロシアの苦境を受け、ウラジーミル・プーチン大統領の「6月危機説」が浮上している。
国際社会の制裁によるロシア国内の経済的な疲弊と、多数の将軍を含む死傷者の増大による国民の厭戦(えんせん)気分、「反プーチン」派の動きの顕在化が、その理由だ。プーチン氏自身の「健康不安説」も取り沙汰されている。
何しろ、ロシアへの経済制裁は苛酷だ。金融制裁に始まり、ロシア関連の輸出・輸入規制、プーチン氏と関係が深い新興財閥「オリガルヒ」の資産凍結などがある。
ロシアは国土が広大で地下資源も豊富だが、需要がなければ宝の持ち腐れだ。何しろ、ロシアのGDP(国内総生産)は1兆4785億7000万ドル(約245兆4426億円)だ(2021年、IMF=世界通貨基金調べ)。韓国に次ぐ世界11位に過ぎない。
韓国が国際社会から袋だたきに遭いながら、毎日のように「巨額の戦費」と「将兵」「装備」を失っていると考えればピンと来るかもしれない。戦費という先立つものが尽きれば、いかにロシアが軍事大国といえども国家としての命脈を保つのは難しい。
こうしたなか、ロシア軍の退役軍人でつくる「全ロシア将校会議」の議長、レオニード・イワショフ退役上級大将が2度に渡って「プーチン批判」を展開したから驚きだ。
大物退役軍人であるイワショフ氏は侵攻開始前、「ウクライナに侵攻すればロシアの国家としての存在そのものが危うくなる」といい、プーチン氏の辞任を要求した。3カ月前の指摘が現実となっていることに驚く。
イワショフ氏は5月にも、ロシア書店協会のインタビューに答え、「上層部が立案した戦略が間違えれば、現場がどんなに頑張っても作戦は失敗する」と批判した。命がけの告発である。
プーチン氏の足元は揺らぐ。
スイス・ジュネーブのロシア国連代表部のボリス・ボンダレフ氏は23日、交流サイトSNSに「もううんざりだ。侵略は繁栄を願うロシア国民に対しても犯罪だ」と投稿し、辞職した。
折しも、117年前の5月といえば、日露戦争で日本の勝利を決定付けた日本海海戦が行われた。バルチック艦隊惨敗の報を聞いた帝政ロシアのニコライ2世は「艦隊司令官も捕虜となった。今日は驚くほど良い天気だが、それがかえって私の心を悲しくさせた」と日記に書き留めた。日本人を「猿(マカーキー)」と呼び、日本軍の実力を過小評価し、ロシア軍の能力を過大評価する過ちを犯していた。
プーチン氏は、ロマノフ朝時代の版図の復権を目指しているとされる。対ウクライナ、対国際社会に対して、同じ轍を踏んでいる。
さて、問題は日本である。日本に足りないのは「ロシア敗北を最大限に利用して、北方領土を取り戻す」という戦略だ。
G7(先進7カ国)と対露制裁で足並みをそろえたのは当然で、それで満足していてはいけない。国際社会はロシアや中国などの専制国家をはじめ、みな腹黒い。日本はウクライナと同じように、北方領土をロシアに不法占拠されている。国際信義を重んじる先人の美徳を残しつつ、もうお人好しはやめるときだ。
正当な権利として、ロシア敗北後の講和会議を日本有利に導き、北方領土はじめ、千島列島、樺太の日本復帰を、ロシアと国際社会に認めさせるのだ。そのためには、できる限りのウクライナ支援など、オール・ジャパンで戦後戦略を考えておく必要がある。
■佐々木類(ささき・るい) 1964年、東京都生まれ。89年、産経新聞入社。警視庁で経済・組織暴力事件を担当後、政治部で首相官邸、自民党など各キャップ、政治部次長を歴任。この間、米バンダービルト大学公共政策研究所で客員研究員。2010年にワシントン支局長、九州総局長を経て、現在、論説副委員長。沖縄・尖閣諸島への上陸や2度の訪朝など現場取材がモットー。主な著書に『チャイニーズ・ジャパン』(ハート出版)、『日本が消える日』(同)、『日本復喝!』(同)など。
以上、ZAKZAK
筆者の言われるとおりです。
ただ、日本政府に戦うメンタリティがあるのだろうか?
日本人が覚醒し大和魂を持つようにならなければ、
何もしない日本が、現実的だろう。
ロシアが相当困り果てて、北方領土を買ってくれと言われた場合にだけ
可能性があると思う。
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