No Room For Squares !

レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

土沢AGAIN(終)〜記憶の管財人になりたい

2023-11-01 | 街:岩手










諸条件によって異なるけど、町で写真を撮れば一日あたり大体300〜400枚以上の写真を撮る。土沢の町の写真も累計でいえば軽く千枚以上はあると思う。何のために撮るのか。正直、何のためということはない。ただ好きだから撮る。上原師匠は「可能であれば全部持ち帰りたいけど、それは無理なので写真に撮って持ち帰る」と仰っていた。僕は元々、昆虫採集の延長に写真撮影があると思っていたので、その言葉に激しくうなずいた。網で昆虫を取るように、レンズで写真を撮る。表現の違いはあれど、同じことだと思う。

さて、一つの町で長い期間、写真を撮り続けることが増えた。町の中の特徴的な建物や施設が失くなっていく様もリアルタイムで見てきたし、これからも見ていくだろう。その町を離れた人から、「懐かしい」というコメントやメールを頂くこともある。大抵は何かしらの町のエピソードが添えられる。それが僕にはとても嬉しい。先程のテーマ、何のために写真を撮るのか。恐らく僕はその町の「記憶」の管財人になりたいのかもしれない。そう思えてきた。全ての記憶を網羅することはできないけど、それぞれの人が持つ記憶や思い出、それを喚起するための光景をアーカイブしたいのだと思う。いやアーカイブしたいのではなく、光景と記憶を繋ぐ媒介人になりたいのだ。最近になってそういうイメージが湧いてきた。まだ思いつきの段階ですが・・・。今後の活動に取り入れていこう。

LEICA M10 MONOCHROME / Summicron M35mm ASPH

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4 コメント

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思い出した (てり)
2023-11-01 12:23:20
土沢・・以前の和賀郡東和町土沢ですよね。
40数年前農協の現場に設計のメンバーで入ってました、なつかしい。
ある時猿ケ石川の近くのお店(丁度今回の1枚目の写真のような)に入ったんですが、
現場で引っ掛けて私のズボンが破れてましてね、それを見た店の奥さんが
「縫ってあげるから脱いで」「いやいやそういうわけには・・」となって
でも強く勧めるので脱いでイスに座ってたんです、そしたら出掛けていた
店のおやじが帰ってきて、とっても気まずい雰囲気になったのを思い出しました。
そのあと夫婦でもめたかもしれない・・
いい街、いい人、良い時代でした。鮎も食ったな・・・
長コメントすいません。
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限界はありますよね (genei)
2023-11-01 12:31:28
切り取った空間の画像を、繋ぎ合わせて記憶を再生する為の呼び水にするというのは、得てして有効な方法ですね。
眼で見て、耳で聞いて、触って嗅いでと、記憶に残す事は出来るのでしょうが、歳を取る毎に上書きされていくので、段々と曖昧になっていきます。
よく思い出に残る品物を集める人もいますが、その時の場面すら忘れがちになってしまうのが現実ですね。
何時振り返るかは分かりませんが、昔の写真を見て、「そうだったよな」と懐かしい気持ちになるのは、気分的にも心が温かくなりそうなので、あまり外歩きをしない自分にとっては羨ましい限りです。
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てりさん (6x6)
2023-11-01 20:42:39
はい、東和町です。
それにしても、もの凄いエピソードで、思わず吹き出しました。同時に「ある!ある!」と共感しました。勿論僕は同じ経験はありませんが(笑)。
その話を聞けただけでも、今回の写真を掲載したことが報われました。
これが求めるところでした。
僕自身も、次に土沢を歩くとき、そのご夫婦、あるいはその息子さんがいるかもと思うだけでも楽しいです。
ありがとうございます。
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geneiさん (6x6)
2023-11-01 20:47:56
興味深いコメントありがとうございます。
もうですね、僕は何もしなくても、ただ自分の好きな写真を載せるだけ。それだけで呼応する方の何かを喚起できれば最高ですね。
僕も誰かの写真を見て、何かを思い出すどころか、自分自身でさえ覚えていなかったような不思議な記憶が出てくることがあります。
そこから五感が生々しく呼び戻されます。
あるいは知らない町、知らない人の写真でもそうなるから不思議です。
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