かまたさとるの今日のぶつくさ

1日の出来事や日常生活で感じることを「ちょっとだけ」ぶつくさとつぶやきます。

9月20日代表質問②

2023年10月05日 | Weblog



昨日に続き、9月20日の代表質問の質問と答弁です。1.「熊本再発見の旅」不適切需給について 2.いじめ調査報告書の対応について 3.フリースクールとの連携と支援について 4.ケアリーバーへの支援について 5.ヘルメット着用率向上の取組について 6.AYA(思春期・若年成人)世代のがん患者の支援について です。長文ですので時間がある時にご一読ください。

 

「くまもと再発見の旅」不適切受給について

(質問)かまたさとる

「くまもと再発見の旅」は、コロナによって失われた観光需要を喚起して旅行・交通事業者や飲食店などを支援する国の観光支援事業「G O T O トラベル」の県事業として2021年から実施したものです。

報道によりますと、この事業を活用してTKUヒューマンが販売した周遊券を含む日帰り旅行商品7300件のうち4341件が公共交通機関の周遊券とタクシー券を組み合わせず、公共交通機関の周遊券のみだったため、県が不適切と判断しましたので、助成金約2500万円についてTKUヒューマンは自主返納すると表明されています。

一方、公共交通機関の周遊券とタクシー券を組み合わせた日帰り旅行商品約3000件は適切と判断して助成金約2000万円が受給されています。

しかし、この約3000件について、担当課では不適切と判断した4341件に加えて不適切受給の疑いがあるとして、さらに追跡調査をする方針でしたが、県幹部が「もうよかろ」「ミリミリまで詰めるのか」と見逃すように指示したとされています。

さらには、見逃されたとされる約3000件のうち1500件以上で利用されるべきタクシー券が未使用で、県の助成金が含まれている160万円が支援すべきであったタクシー業界に渡らずT K Uヒューマンに残っていたとのことです。そして、その日帰り商品はタクシー券が利用できない地域の方にも多数販売されていて、購入した利用者からは、T K Uヒューマンの担当者から「タクシー券は使わなくていい」とまで言われていたとの内容です。

この問題は関係者が代理人弁護士を通じて公益通報者保護法に基づく報道機関への外部通報によって明らかになりました。

この一連の内容が事実であるのならば、公金の不正利得を見逃してきた県に対する県民の信頼は失墜することになりますので、早急に事実関係を明らかにして適正に対応することを求めます。

 そこで、質問ですが、知事は、この一連の出来事をご存知だったのでしょうか。9月8日の会見で、関係者に調査と事実確認を行うよう指示したと言われましたが、その日からすでに10日以上が経過しています。約3000件の不適切受給の追跡調査を「もうよかろ」と見逃すように指示した上司は誰か分かりましたか。知事ではありませんか、お答えいただきたいと思います。

2点目、TKUヒューマンの親会社のテレビ熊本の役員が、県が不適切と判断した事業の助成金の約2500万円について、県が社名を公表しなければ自主返納すると言われていたようですが、県は社名を公表しました。約2500万円は県に返納されたのでしょうか。

3点目、T K Uヒューマンに残っているタクシー券未使用分の160万円について、公金が含まれていることから県は返還を求めるべきだと考えますが、返還は求めないのでしょうか。

4点目、この「くまもと再発見の旅」については参加事業社101社のうち14社が不適切受給をしたとされています。そもそも、この事業の事業開始時点での制度設計がわかりづらく、どうにでも解釈されるような曖昧な部分があったのではないでしょうか。このような事業を進めたことについて知事はどのようにお考えでしょうか。 

そして、5点目、知事は、県の内部調査だけではなく、第三者による調査をすると名言されましたが、調査をする第三者については、当事者や利害関係人との関係を一切排除した弁護士や学識経験者らを選任して、公正と透明性が担保された調査を行うべきですが、第三者の選任と調査のスケジュールについてお尋ねします。以上の5点について、知事にお尋ねします。

(答弁)知事

「くまもと再発見の旅」については、補助事業の実施にあたり、関係者間で疑義が生じたことから、本年3月に補助対象と補助対象外を確認・整理しました。

その上で、県が補助対象外と判断した旅行商品の助成金は全額返納されたと、報告を受けています。

また、幹部が見逃しを指示したとの疑いについては、県として第三者委員会の設置も含めて調査いたしますが、私が見逃しを指示したということは一切ございません。

2点目の県が補助対象外と判断した旅行商品に係る助成金については、本年4月に返納が完了しています。

3点目のタクシー券未使用分については、不適切な取り扱いはなかったと回答していますが、今回ご指摘を受けましたので、その適法性を調査いたします。

4点目の「くまもと再発見の旅」の制度設計については、コロナ禍で苦しむ事業者に対して、一日も早く助成金をお届けしたいとの強い思いの中で、短期間で制度設計を行い、事業を実施したことから、関係者間の連携不足や誤認等が重なったものだと思っています。

最後の第三者の調査委員会については、外部の弁護士で構成する予定で、現在人選を急いでおります。また、調査委員会には、関係者のヒアリングを行うなど、自ら調査していただくとともに、県における調査手法や結果についても、法的な妥当性、的確性の確認を求めることにしています。

今後、こうした手順を踏みながら、丁寧、かつ迅速に調査を行って参ります。

 

いじめ調査報告書の対応について

(質問)かまたさとる

いじめ調査報告書についてお尋ねします。

2013年4月に高校3年生の女子生徒が自殺をしました。この生徒が体育大会に向けたダンスの練習でいじめを受けていたことが「県いじめ調査委員会」の報告書で明らかになりました。調査委員会がその報告書を答申しましたが、両親にはいじめをおこなっていた同級生らの氏名が黒塗りされたものが渡されました。その後、遺族が2021年5月に県及び同級生を被告として訴訟を提起されました。その訴訟の中で、事実関係を知りたい遺族が黒塗りを外した報告書の開示を求める文書提出命令を申し立てて、熊本地裁は昨年5月、同級生らの氏名を開示した報告書の提出を県に命じました。県は即時抗告しましたが、福岡高裁も昨年11月に氏名開示の報告書提出を命じ、さらに県は最高裁に抗告しましたが、最高裁が3月末に棄却して、福岡高裁の文書開示命令が確定しました。

遺族が事実関係を知りたいのは当然の心情だろうと思います。2013年に施行されたいじめ防止対策推進法は学校の設置者又はその設置する学校は、被害者や遺族に対して「事実関係など必要な情報を適切に提供する」と定めていますが、情報開示のあり方について課題があるのではないでしょうか。

 また、8月には、調査報告書の全面公表された県立東稜高校いじめ調査委員会の調査報告書が問題になりました。

この調査報告書の黒塗り部分が特定の操作をすれば見られるようになっていたわけですが、ここで問題にしますのは、この報告書は昨年10月に公表されていますが、その段階では、全文公表されていなかったことです。いじめ防止対策推進法及びそのガイドラインでは、調査結果については原則公表すべきと指摘していますが、なぜ遵守して全文公表しなかったのでしょうか。

 調査報告書は、昨年10月に第三者委員会から学校に提出されています。この時点で県教委のホームページに掲載されたのは、被害男性の意向を確認しないままA4用紙で22ページあった調査報告書を、A4用紙たった2ページに抽象的に要約されたものの入手方法でした。そのため被害男性がいじめの全容を明らかにした上で再発防止に活用すべき、と報告書の全文公開を求めました。被害男性からの要望を受けて、9ヶ月経って、やっと今年7月に全文がホームページに掲載されました。やっと掲載された調査報告書の黒塗り部分が外せるような設定になっていたのは、全くお粗末な話ですが、なぜ、はなから調査報告書全文の公開をしなかったのでしょうか。なぜ、公表の仕方や内容を被害生徒・保護者と確認しないままに公開してしまったのでしょうか。

そこで、質問ですが、調査報告書は、結果として、全文公開にはなりましたが、当初の対応について、なぜそのような対応を行なったのか教育長にお尋ねします。

(答弁)教育長

まず、1点目の調査報告書に係る当初の対応についてお答えいたします。

いじめ重大事態の調査結果の公表について、国のガイドラインでは、調査報告書の公表の程度や方法までは具体的に示されていません。よって県教育委員会ではこれまで、報告書の全文を夜害生徒及び保護者にお渡しした上で、プライバシー保護等の観点から、報告書の概要版資料を作成して、報道機関へ提供し説明を行ってきたところでございます。

今回の元東稜高校生徒に関する報告書についても、同様の考え方で概要版資料を用いて昨年10月に報道機関への説明を行いました。

その後、被害生徒、保護者の御要望を受けて、この報告書の全文をホームページに掲載しところでございます。

今後とも、報告書の公表の程度や方法について、被害生徒、保護者の意向をより丁寧に確認しながら、対応を進めて参りたいと考えています。

(質問)かまたさとる

次に「黒塗り」について質問します。

県教育委員会のホームページに掲載された県立高校生が自殺した「いじめ調査報告書」が3年以上黒塗りすべき箇所の黒塗りがないまま載っていたことが先月8日に判明しました。

黒塗りされずに掲載されていたのは、2018年5月に県北の県立高3年生が自殺した問題の再調査報告書の概要版です。県の第三者機関が2020年4月にまとめたもので、個人の特定につながる恐れがあるとして校内の場所や親族に関する3カ所について、黒塗りすべき箇所を黒塗りせずに公開していました。

また、黒塗りをめぐっては、先ほど述べた県立東稜高校のいじめの調査報告書が、特定の操作をすれば黒塗り部分を外せる状態でホームページに公開されていたことも判明しました。これらの件については、いじめや自殺という極めてセンシティブな問題に対する県教委の対応があまりにもずさんでお粗末としか言いようがありません。

この黒塗りの扱いついての教育長の所見と再発防止策についてお尋ねします。

(答弁)教育長

黒塗りの扱いについての所見及び再発防止策についてお答えします。

個人情報等の保護は極めて重要であり、とりわけいじめ重大事態の調査報告書における個人情報等の取扱いについては、慎重かつ丁寧に行う必要があります。

しかし、議員御指摘のとおり、今回、調査報告書における個人情報の不適切な取扱いが複数確認されたところでございます。

これらの事案が発生したことにより、夜害生徒、保護者をはじめ県民の皆様に御心配、御迷惑をおかけしたことを大変申し訳なく思っており、改めてお詫び申し上げます。

それぞれの事案を検証しますと、まず、県北の県立高校生徒の事案は、県教育委員会の定例会で知事部局の再調査報告書の概要版資料を含む内容を報告する際、当該概要版資料の公表時になされていた黒塗りがない資料となっておりました。これは、当時、知事部局や披害生徒、保護者への丁寧な確認が不足していたことが原因と考えています。

また、元東稜高校生徒の事案は、電子情報上で黒塗りしたものをPDF化した場合、一定の操作により取り除くことができる可能性があることについて認識していなかったことが原因と考えております。

今後、同種の事案の再発防止のために、報告書やその概要版資料を公表する際には、作成にあたって、微害生徒、保護者等の意向をより丁寧に確認するとともに、複数人でのチェック及び黒塗りを取り除くことができない方法による資料作成を徹底して参ります。

 

フリースクールとの連携と支援について

(質問)かまたさとる

2020年2月議会の代表質問で、私は、フリースクールとの連携と財政支援について質問し、その際の教育長の答弁では、「2021年度から、国の事業を活用し、市町村に対する教育支援センターの設置促進や教育支援センター及びフリースクール等へ通う経済的支援が必要な子供たちに対する通学費等の援助に係る経費を新規予算として計上している」との答弁でした。しかし、この通学費等の援助については県内市町村で希望する市町村がなくて実施されていません。

私が求めたいのは、経済的支援が必要な子どもたちへの支援ももちろん重要ですが、その子たちだけを対象とした支援ではなく、学校に行けずにフリースクールに通う子どもたちへの支援です。

前回の質問の際に申し上げた不登校児童生徒数は、2018年度で2328人でしたが、その後、2021年度の不登校児童生徒数は、4151人と4000人を超えています。前回も申し上げましたが、2017年施行の教育機会確保法は「学校以外の学びの場」の重要性を認め、国や自治体に対して子どもの教育機会を確保するために必要な財政措置などを講じる努力を求めています。

熊本市を除く県内公立小中学校の不登校児童・生徒が利用しているフリースクールは32あり、その利用者数は増えています。フリースクールは不登校の子どもたちの受け皿となっていますが、県からフリースクールへの支援はありません。フリースクールの運営団体は、厳しい運営を強いられていますので、今年8月に関連団体がまとまって運営費や保護者が負担する利用料への公的支援を働きかける「子どもの学びを支える熊本県民の会」が発足しています。今後、県とも公的支援を求める協議が行われると思いますが、ぜひ教育機会確保法に基づいて積極的に対応をしていただきたいと思います。

他県では、すでに公的支援を進めています。群馬県では、フリースクールの運営費を最大400万円補助していますし、福岡県も上限200万円の補助金を交付しています。また他の市町村教育委員会でも保護者負担の利用料の一部補助などの支援を行っているところもあります。

そこで、フリースクールとの連携と支援について、次の2点をお尋ねします。

まず1点目は、フリースクールやフリースクールに通う子どもたちへの経済的支援について行う考えはないか、2点目として、県とフリースクールなどの民間団体とが定期的に協議を行う場を設置していただきたいと思いますが、その考えはないか、知事にお尋ねします。

(答弁)知事

私は、熊本の未来を担う子どもたちが自分たちの夢の実現に向かってチャレンジし、活躍できる力を身につけることが大切と考えております。

そのため、県では、不登校児童生徒支援のための教育支援センターの設置を促進するとともに、子どもの居場所づくりや、多様な学び・成長の場づくりに取り組んで参りました。

一方で、現在、本県における小中学校の不登校児童生徒数は9年連続で増加しており、児童生徒に十分な学びを保障し、その社会的自立を支援することは、ますます重要になっていると認識しています。

まず、1点目のフリースクール等への経済的支援についてです。

現在、フリースクールなど民間施設においては、県内小中学校の令和4年度における利用者数は全体で354名となっており、利用されている施設の規模も様々な状況にあります。

また、それぞれの施設が重視する活動内容にも違いがあり、個別の学習や体験活動、相談・カウンセリングなど多岐にわたります。

このように個々に様態の異なるフリースクールなどに対して、不登校児童生徒の十分な学びの保障と社会的自立の支援のために、どのような連携が可能か、子どもの居場所づくりの観点も含め、市町村とも研究を進めて参ります。

 

次に2点目の、県とフリースクールなどが定期的に協議を行う場の設定についてお答えします。

県教育委員会では、平成30年度から、「子どもの居場所づくり推進連絡協議会」を開催し、不登校児童生徒への支援等について、フリースクールと関係機関が一堂に会して意見交換を行っています。

今後とも、県教育委員会と知事部局の関係各課が連携して、フリースクール等の民間団体と、適宜、意見交換を行うことにより、全ての不登校児童生徒の学びの場の確保、居場所づくりに向けてしっかりと取り組んで参ります。

 

 ケアリーバーへの支援について

(質問)かまたさとる

虐待などを受け親元で暮らせず、児童養護施設や里親のもとで生活する社会的養護の子どもは全国で4万人以上いるとされており、約4千人が毎年施設を離れていくと言われています。このような児童養護施設や里親などの社会的養護のケアから離れた人を「ケアリーバー」と言います。現在は、原則18歳、最長22歳までに児童養護施設等を退所することになります。

厚生労働省が2021年に「児童養護施設等への入所措置や里親委託等が解除された者の実態把握に関する全国調査」を公表しました。調査対象は、中学卒業以降で措置解除となった人で、児童養護施設やファミリーホーム、里親家庭等を通じて、ケアリーバー自身に回答をしてもらっています。

この調査結果では、ケアリーバーの5人に1人が、「収入より支出が多い」赤字の生活を送っていると答えています。また、過去1年間に病院を受診できなかったことがある人は2割に達し、そのうち7割が経済的な理由でした。さらに、ケアリーバー自身は、生活費や学費、仕事、住まいのことなど、経済的なことを心配しており、今後利用したいサポートやサービス内容の第1位は金銭面に関する支援、第2位は住居や食事・食料に関する支援でいずれも経済的なことです。

その他に、児童養護施設等のつながりについて、退所から時間がたつほど、連絡回数が少なくなる傾向があり、孤立しているケアリーバーもある程度いる可能性もあります。

このように、ケアリーバーに対する継続的な自立支援が課題となっています。

2024年施行の改正児童福祉法では、施設などで暮らす年齢上限を撤廃し、都道府県等が必要と判断するまで支援が可能となりました。そこで、県内のケアリーバーが施設等を退所した後に、頼れる人がいなくなり孤立をしていないか、経済的に困窮していないか、ケアリーバーに対する必要な支援策を検討するための実態調査を行なっていただきたいと思います。実態調査で就労や修学、住まいや家計の状況を調べた上で、必要な支援を講じていただきたいと考えます。

そこで、質問ですが、ケアリーバーの実態調査の実施とその支援についての考えを健康福祉部長にお尋ねします。

 

(答弁)健康福祉部長

児童養護施設等を退所したケアリーバーは、退所後も保護者等から必要な支援を受けられない場合が多く、経済的問題や、対人関係など、様々な悩みを抱えています。また、相談する場所も限られていることから、ケアリーバーへの支援は、重要な課題と認識しております。

そこで、本県では、これまでケアリーバーへの経済的な支援として、県社会福祉協議会を通じた生活費及び家賃等の貸付けや、就職や進学に伴う身元保証人の確保などに取り組んで参りました。

加えて、子どもたちの夢の実現や退所後のより安定した生活につなげるため、20歳まで児童相談所が支援を継続する措置の延長を積極的に行っています。また、措置解除後に大学等への就学を継続する場合などに、居住費や生活費等を給付する制度を創設し、進学を後押ししております。

さらに、退所後のスムーズな自立を支援するため、令和2年度からN PO団体に委託し、入所中から退所後まで継続したサポートを実施しております。

具体的には、ケアリーバーの居場所や相談・支援の拠点となる「かたるベースくまもと」を設置し、配置された支援コーディネーター等が、生活面や就労面などに関する自立に向けた相談や、ジョブカフェ等の就労支援機関への付き添い等を行っております。また、退所が目前に迫った高校3年生を対象に、金銭管理や健康管理などのプログラムを毎年6回

開催するとともに、あらかじめ退所後の支援計画を策定するなど、自立に向けたきめ細かな支援に取り組んでおります。

今後は、より実効性のある支援を行うために、ケアリーバーの現状や支援ニーズ等を把握することが重要であると考えています。そこで、既に有識者や当事者などを構成員とした協議会を立ち上げて、実態把握のスケジュールや手法等の検討に着手したところです。

今年度中に、ケアリーバーへのアンケート調査やヒアリングなどを実施し、調査結果を取りまとめ、その後の支援につなげて参ります。

今後も引き続き、「誰一人取り残さない」社会の実現に向け、児童養護施設等から社会に巣立つ子どもたちが安定した生活を安心して送れるよう、自立支援の取組みをしっかりと進めて参ります。

 

ヘルメット着用率向上の取り組み

(質問)かまたさとる

2017年に自転車活用推進法が施行され、車道への自転車専用レーン整備も少しづつ進んできています。また、コロナ禍の対応でも混雑する公共交通機関の回避と健康のために自転車通勤を推奨する企業が増えました。このように自転車利用は推進されてきていますが、一方で、心配なのは事故の増加です。自転車運転中に横転する可能性は年齢に関わらず誰にでもありますし、自動車と自転車、そして歩行者との接触のほか、雨天時のスリップなども事故の原因になります。

そのような事故から命を守るために、本年4月の改正道路交通法の施行によって、これまでは13歳未満の児童へのヘルメット着用を保護者の努力義務とされていましたが、本年4月から全年齢の自転車利用者のヘルメット着用が努力義務となりました。

警察庁によりますと、昨年の全交通事故件数に占める自転車関連事故の割合が過去最高の23.3%となっています。そして、増えてきている自転車事故で、昨年までの過去5年間、ヘルメット着用していなかった人の致死率は着用していた人の2.1倍に上るそうです。重大な怪我が頭部に多いことがデータで裏付けられていますが、ヘルメット着用率は伸び悩んでいるようです。実際、私も朝の通勤・通学時間帯に交通指導で旗を持って立っていますが、その際に自転車通学の高校生や自転車で通勤している人は、ほぼほぼヘルメットは未着用です。

熊本県内での着用率は7月の調査で8.3%と全国平均13.5%を下回り、10人に1人も着用していないのが現状です。

また、7月1日の改正道路交通法の改正でこれまでは原付バイクに該当してヘルメット着用義務があった電動キックボードが自転車並みの扱いになりました。電動キックボードは足で地面を蹴り出してからハンドルにあるアクセルレバーを手で引くと、搭載されたモーターが動いて走行する仕組みとなっています。

今回の改正で最高速度が20キロを超えずに大きさなどの要件を満たすキックボードは「特定小型原動機付き自転車」と規定されました。16歳未満の運転は禁止されているものの16歳以上なら運転免許は不要です。車道の左側や自転車レーンを走行し、ヘルメットの着用は努力義務となりました。最高速度が6キロ以下に制御できるものは歩道や路側帯を走ることができます。

 電動キックボードがこれからどれだけ普及していくか分かりませんが、これも転倒や事故のリスクがあるわけで、ヘルメット着用については努力することが義務付けられています。

自転車の場合も電動キックボードの場合も、ヘルメット着用に難色を示す人が多いのも事実です。ヘルメット着用に難色を示す理由として、よく聞く声として、ヘルメットを着用すると髪型が乱れる。夏は暑い。また、職場や学校ならヘルメットの置き場が確保できるかもしれませんが、買い物や通院の場合や盗難対策を含めてヘルメット置き場をどうするかという課題もあります。

また、ヘルメットの価格は色々ありますが、大体1万円を若干下回るものが安全性も考えると一般的です。このように結構値段もするわけであり、購入するには経済的な負担が伴います。その購入を促進しようと全国の複数の自治体では購入補助金制度を設けているところが出てきています。2千円とか半額補助とか額は様々ですが、経済的な負担軽減につながっています。

また、徳島県警では、ヘルメット着用の安全性を啓発するために、未着用者に対して指導票を交付して着用を促しています。

そこで、質問ですが、他自治体の取り組みも参考としながら、県としてヘルメット着用を促す具体的取り組みを進めるべきだと考えますが、環境生活部長にお尋ねします。

 

(答弁)環境生活部長

本県では、平成26年度に「熊本県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」を制定し、自転車による交通事故の防止や自転車の安全利用を広く呼びかけて参りました。

とりわけ、議員御指摘のとおり、ヘルメットの着用は、自転車乗用中の死亡事故を減少させるために極めて有効な手段と考えております。

そのため、ヘルメット着用については、本年4月の努力義務化に先立ち、昨年度から、着用率の向上を重要課題と捉え周知発に取り組んで参りました。

今年度は、親しみやすいキャラクターを起用して、街頭ビジョンやSNSなどを活用した周知啓発を行い、学生など、若年層へのアピールを強化して、ヘルメット着用を呼びかけているところです。

議員御紹介のヘルメット購入の補助制度につきましては、今後、努力義務化による着用率の変化や、既に当該制度を導入している他県等における効果等を見極めていく必要があると考えています。

そもそもヘルメットを着用したくないという声も聞かれることから、まずは、ヘルメット着用の有用性を県民に対してしっかりと周知啓発し、自分の命を守るために着用するという意識を醸成して参りたいと考えています。

また、明日から始まります、秋の全国交通安全運動の重点項目の一つは、「自転車等のヘルメット着用と交通ルール遵守の徹底」であります。各地域における交通安全教育はもとより、街頭での声かけやチラシ配布などの各種活動を行っていくこととしております。

今後とも、警察や教育委員会、市町村、関係団体等と連携し、ヘルメット着用を促す取組みを着実に進めて参ります。

 

A Y A(思春期・若年成人)世代がん患者の支援 S

(質問)かまたさとる

思春期・若年成人世代をA Y A(Adolescent and Young Adult)世代といい、定義は様々ですが、広くは15歳から39歳までを指します。この世代は、がんの罹患率や死亡率が最も低い世代であり、これまでがん対策の対象になっていませんでした。

国立がん研究センターの統計によりますと令和元年における熊本県内のがん患者数は、約14000人とされています。年代別に見ますと、40歳未満は360人、40歳から64歳が3087人、65歳以上は10542人です。高齢になるとがんの罹患率が圧倒的に高くなることがわかりますが、それでも40歳未満のA Y A世代のがん患者が一定数いることにも配意していく必要があります。

現在、40歳未満のがん患者は医療保険の訪問看護のサービスは利用できますが、介護保険のサービスは利用できずに日常生活で必要な経費でも自己負担となっています。そのため、全国では静岡など12県で負担軽減のための補助制度を設けています。補助の内容は、例えば、患者が在宅介護サービスなどに月額6万円を払っている場合、1割の6千円を本人負担として、5万4千円を県と市町村が半分ずつ負担します。補助対象となる経費は、訪問介護や訪問入浴介護などの在宅サービス利用料、福祉用具の貸与や購入にかかる費用などとなっています。

そこで、質問ですが、本県でもA Y A世代のがん患者の在宅療養支援の補助制度を設ける考えはないか、健康福祉部長にお尋ねします。

 

(答弁)健康福祉部長

AYA世代のがん患者は、放射線治療等による妊娠、出産への影響、学業や就労の中断・遅れ、将来への不安など、この世代特有の様々な問題を抱えています。

そのため、県では、受精卵等の冷凍保存に係る費用の助成や、がん相談支援センターでの就学・就労を含めた幅広い情報の提供等を行っています。

議員御指摘のとおり、在宅で療養中のがん患者が40歳未満の場合、介護保険サービスを利用できず、介護費用が全額自己負担になっていることは、AYA世代のがん患者が抱える問題の一つと認識しております。

そこで、現在、AYA世代のがん患者に向けた在宅療養費の補助制度を設けている自治体の制度内容や利用実態等について調査を行っているところです。

ただ、県としては、このようなAYA世代のがん患者が抱える介護費用の負担という全国的な課題については、国において一律に支援体制を整備すべきと考えており、これまでも支援制度の創設について、国へ要望して参りました。

今後も、国に対して支援制度の創設等を様々な機会を捉えて粘り強く働きかけるとともに、今回の調査結果や、次期がん対策推進計画の策定過程における議論等を踏まえ、AYA世代のがん患者が安心して療養生活を送れるよう、更なる取組みを進めて参ります。

 


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