生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

生物多様性と現代社会/里山という視点

2010年10月20日 15時46分37秒 | 生態学
2010年10月20日-4
生物多様性と現代社会/里山という視点

 著者自身の現地調査や自然保護運動体験をふまえた、盛りだくさんにもかかわらず、問題の要点をおさえた書。

 生物多様性とは、生物種数の多さだけを言うのではなく、(生物学的概念としては)「長い歴史のなかで変化しながら、互いにつながりをもって生きているさまざまな生物と、それらを支える環境からなる全体」を示すという。さらに拡げた概念としては、「人も含めたさまざまな生き物のつながりとそれらを支える環境からなる全体」を示すだろう、とある。生物〔体〕間の「つながり」が、生物多様性を説明する鍵語だと言う。

 第2章の最初は、里山。そういえば、最も早くに里山に注目した人たちの成果である、田端英雄(編著)『里山の自然』は、Amazon.co.jpで見ると、「中古品4点¥ 1,562より」となっていた。第2版は(いつ)出るのだろうか? その後の総括は書かれるのだろうか?

 
[K]
小島望.2010.9.〈図説〉生物多様性と現代社会:「生命の環」30の物語.
244pp.農山漁村文化協会.[ISBN:9784540092992] [1,900円+] [R20101018-k]

[T]
田端英雄(編著).1997.5.里山の自然.199pp.保育社.

のしてんてん、(あるいは)心、の世界

2010年10月20日 14時41分26秒 | 美術/絵画
2010年10月20日-3
のしてんてん、(あるいは)心、の世界

 ハッピーアート、という興味深いCG画のある、のしてんてん(心を分解した構成要素を自立させたということ?)氏の場所 site(ネット上の住所)。
http://blog.goo.ne.jp/nositen10

 詩または詩のような言葉が、光発出的絵画に添えられている。
 なんとなく、や、闇の中で、を見てわかるように、どのような効果の画面にする場合には、このような構成方法(文法)を使うということが確立されているようで、さらに独自の美的感性が全体を制御して作られるのではないか、と感じた。
 少し歩き回ると、

  「「デッサンとは人の心と直結した行為=描写である」、私はまずこのようにデッサンという言葉を定義付ける。」

とあった。

 のしてんてん、さんの作品集は、
http://www.eonet.ne.jp/~nositenten/

 「阪南市山中渓に国際的な現代美術の根拠地 銀の峰GaleryNIKA 誕生」、とか、「WEB美術館(みんなで作る美術館) 参加募集中」とある。
 WEB美術館参加要項の6には、「参加者が増えれば、ネット上に巨大な美術館が出来ることになります。 また、これを共有することで互いのHPがより幅広い芸術空間を持って成長することが出来、作家同士のつながりが期待されます」とある。

 CASOでの現代美術10展:
http://www.cwo.zaq.ne.jp/caso/lib/090512gendai10.htm

 
 鉛筆一本(n本?)で、どのようなものが可能なのか、きわめて興味深い。実物を見なければ。


 銀の峰GaleryNIKA(阪和線の山中渓[やまなかだに]駅下車。大阪から約90分弱):
http://nositen.mikosi.com/gallerry%20nik.htm

== -- == -- ==
(脱線)
 視覚は光を通じて成立する。テレビやパソコンの液晶画面で見る画像は、光という形態のエネルギーが加えられているものを見ていることになる。
 カンヴァスや紙といった支持体上に描かれた絵画は多くの場合、反射光を利用するものである。もちろん、背後、あるいはかつ、前方や側方から、光ダイオードなどを使って光を加えるという工夫をすることができる。


彦坂尚嘉氏の芸術おしゃべり

2010年10月20日 11時43分21秒 | 美術/絵画
2010年10月20日-2
彦坂尚嘉氏の芸術おしゃべり

 耳で覚える!芸術百次元
http://geijyutu100jigen.blog.so-net.ne.jp/2010-10-20-7
で、彦坂尚嘉氏の芸術おしゃべり、の一つ、

彦坂ゼミvol.10[ クレメント・グリーンバーグを読む/3_4 ] [彦坂ゼミ講義] [19分09秒MP3形式(4.7MB)]

を聞くことができる。

http://hikosaka.blog.so-net.ne.jp/archive/20090116
では彦坂尚嘉氏は、ストライプや抽象などをめぐって書き、

  「……ジャスパーの方は原始平面の絵画です。
絵画面が不透明な物質的な面であって、
行き止まりの平面性を持っているのです。
その絵画はデザインであり、ペンキ絵なのです。

日本の現代美術の多くが、《第6次元》のペンキ絵でしかない」

と言う。また、

  「良い芸術か、ニセの芸術であるかを、見分ける眼がなければ、
良い作品を作る事は出来ません。ジャスパーは、ニセの芸術作品です。」

と言う。様々な用語が出てくるが、どこ、あるいはどの本を読めばよいのだろうか。
 行き止まりの平面性を持っていれば、ニセの芸術作品あることの必要条件なのか、十分条件なのか。「その絵画はデザインであり、ペンキ絵なのです」における、デザインとはどういう意味なのか、あるいは具体的にどのような判定基準であるのか。
 なんにせよ、挑発的であり、面白い。(あるとすれば)その体系や、次元の定義とかを手っ取り早く知りたいのだが。そのうち、本として出るのだろうか。

 
 たとえば、気体分子ギャラリーで、
http://kitaibunshi.shop-pro.jp/?pid=23978519
に、「キッチュと抽象の統合/ラブラドールAの1」という版画作品らしいのが入札できるようになっている。そして、『アートの格付け』という欄がある。
 《想像界》または《象徴界》または《現実界》のいずれの眼でも、《真性の芸術》だとか、記載してある。《透視画面》なるものが、オプティカル・イリュージョンならば【A級美術】なのか。
 
 彦坂尚嘉(2008.6)の144頁からの「閉じられた円環の彼方は」は、具体美術についてであり、161頁からは白髪一雄について触れている。


[H]
彦坂尚嘉.2008.6.彦坂尚嘉のエクリチュ-ルーー日本現代美術家の思考ーー.v+599pp.三和書籍.[ISBN 9784862510402 / 6,400円+税].

 
 (それにしても、山下和也.2010.1.オートポイエーシス論入門、はどこに隠れているのか?)

隠れ物質を巡る思考断片

2010年10月20日 01時12分56秒 | 生命生物生活哲学
2010年10月20日-1
隠れ物質を巡る思考断片

 或る機能[function]を、機構[mechanism]によって説明するとは、どういうことか。
 われわれが観測できるのは、機構をもつシステムが作動している状態や過程であって、機構は仮構するしかないのか。
 隠れ物質[暗黒物質 dark matter]において、機構が観測されるのか。
 エーテルは別名だったとして、復活するのか?
 Willhelm Reichのorgon。
 人体の経絡と経穴。電気抵抗。
 思考に反応できるコンピュータ。

 自己同一性の維持は、物質構成として同一の場合にあり得る(思考的標準)が、物質代謝を伴って行なわれる場合もある。形態的同一性。
 プロセスでの同一性。
 自己同一性の「自己」とはなにか。自己複製の自己なんて、あり得ない。それは形相を指しているのか。ならばそれは、自己ではなく、外部に存在する。
 類似物は、自己または自己同一ではない。

IPCCゲート後/生物学的タクソン(脱線)

2010年10月19日 15時13分15秒 | 生命生物生活哲学
2010年10月19日-4
IPCCゲート後/生物学的タクソン(脱線)

 近藤邦明氏のHP
http://env01.cool.ne.jp/index02.htm

に掲載されている、米国在住のH.M.博士による論文:

Climategate、IPCC-Gate後の世界 (2010/07/09)

(pdfとして入手できる)は、貴重である。内容は大変説得的であり、10頁で最近の動きまでが書かれていて、ありがたい。日本は食糧など貿易鎖国してもやっていけるようにもっていきたいと思うが、情報鎖国状態は打破すべきである。

 ただ、CRUの「アリバイのように怪しげな補正の加えられたデータベース」の「信頼性はネス湖のネッシーといい勝負かもしれません」(8頁目)とあるが、比較にはならないと思う。ネッシーは怪しい例としてもちだしたのだと思うが、もし見つかったら、この文は意味をなさなくなる。
 ネッシーと定義される生物体が見つかれば、存在したと確認される(見つからなければ、いないかもしれない(=いるかもしれない)、というだけ)(私見では、いるだろうから、そのうち確認されるだろう)。
 一方、CRUの気温データベースは、測定方法や精度や「生の観測値」の補正など、作為的余地が沢山あるから、肯定的確認も否定的確認も困難。
 ネッシーという語では、或る性質群をもった実在するかもしれない生物体たちを指すのに対して、気温は結局は構築体(われわれが仮構したもの)だからである。
 なお、ネッシーとは _N-us n-us_というタクソン名を命名された分類カテゴリーに属する生物体だとした場合、_N-us n-us_というタクソンは、構築体である。タクソンが構築体(ここではクラス)であることは、分類作業とは、或る対象を或るカテゴリーに対応づける(=属させる)ということであるから、当然の帰結である。ただし、そのタクソン名はまた、或るシステムの名称でもあるとすることは可能である。しかしそのことは、そのシステムとはどういうものかとか、そのシステムは実在するのかどうかといったことに繋がるので、現段階では知らん顔するのが得策だと思う。もし、実在するシステムとして定式化できたとすれば、それは本質的に重要な作業であり、貴重である。

美術修行2010年10月15日(金)/美術修行2010年10月16日(土)

2010年10月19日 01時48分49秒 | 美術/絵画
2010年10月19日-3
美術修行2010年10月15日(金)/美術修行2010年10月16日(土)

 2010年10月15日(金)
 松山淳個展 アイドル阿修羅「不安」/立体ギャラリー射手座。結構広い空間のまんなかに、三つの顔のあるアニメキャラ的人形一体を設置。ここは貸しギャラリーで、ときに企画もするとのこと。
 松本ヒデオ展 ディテールの連鎖/ギャラリーなかむら。ここは企画のみのギャラリー。
 ギャラリー三条は休み。
 ギャラリー龍馬は、坂本龍馬関連だった。
 

 2010年10月16日(土)。
 十字屋。ヤマハCLP-380は、木の鍵盤。本体価格43万円。

 非在の庭 吉岡千尋展「ガラスのライオン」/ART SPACE NIJI。
 ウェステイン都ホテルに、(堂本)印象のサインがある絵があった。
 桜井貞夫 銅版画新作展/artspace東山。
 稲田早紀展 - gift -/ギャラリーはねうさぎ4。素材に工夫がある。
 竹内佳緒里展「□」/ギャラリーはねうさぎ room1。
 青野卓司展/ギャラリーはねうさぎ room2。
 青い風23人展/ギャラリー青い風。モダンアート展や国展などの人々。案内葉書に、「画廊依頼の23名の先生方の秀作を展示します」とある。
 人長果月展/galerie 16。人の頭がプロジェクターからの光を遮ると、そこから白く広がっていくといった相互作用的なビデオ映像(インスタレーション)。10月16日の京都新聞に紹介ないし批評が掲載されていた。

 地下鉄の東山で乗車し、京都市役所前で下車。
 ギャリエヤマシタ。
 ギャラリーヒルゲート。
 10mほど奥まったところに入口があるところに、漫画展があった。

 さらに下る。
 2010 京都現代美術研究所グループ 層展/ギャラリーF。京都現代美術研究所とは、行動展の人々のグループ。9人。ほとんどが抽象。
 同時代ギャラリーの場所がわからず、一角をグルッと回ってしまった。さきほどのギャラリーFで控えていた人に聞き、よくよく見てわかった。
 大野麻理 とりつくろいのトリ/同時代ギャラリー内 gallery shop collage。かわいいと記帳されていた。基調は、桃色に白玉。
 奥の部屋では写真展。

 三条京阪近くで、Kyoto Art Map 2010に載っているギャラリーを探したが、わからずじまい。

 Kyoto Art Map 2010に記載されている14の画廊の開廊時刻は、

  13-19、11-19、12-19、12-19、12-19、12-19、12-19、
  11-19、12-19、12-19、12-19、11-23、12-19、13-20

と、12時から19時までの7時間開廊というのが多い(9/14)。

美術修行2010年10月11日(月祝)/奈良アートプロム2010

2010年10月19日 01時34分11秒 | 美術/絵画
2010年10月19日-2
美術修行2010年10月11日(月祝)

 2010年10月11日(月祝)。
 型染めで紡ぐ悠久の都-奈良・ハノイ 鳥羽美花展/薬師寺[8時30分開門]/観覧無料(薬師寺拝観料[800円]は別途必要)/近鉄西ノ京駅下車すぐ。型染め。版画であり、絵具の定着を染色で。できあがりは、切り絵風の版画。色鮮やか。
 薬師寺(白鳳伽藍と玄奘三蔵院伽藍)にある国宝をいくつか見た。
 薬師寺大宝蔵殿 秘仏特別公開/500円。吉祥天女を見た。
 東塔見学に列。20分かかった。
 白鳳伽藍から玄奘三蔵院伽藍へ。

 
 2010年10月11日(月祝)は、奈良アートプロム2010の最終日。近鉄奈良駅下車。
 奈良女子大学に向かう途中で、床置き看板が目に入った。ナカタニ ユミコ 個展 Jamais-vu vol.2/カフェワカクサ。2階を見た。
 奈良女子大学の構内に初めて入った。昨日は何かやっていたらしいが、今は何もやっていなかったので退散。
 奈良アートプロム2010 招待作家展しりあがり寿「おやじ山水」/国際奈良学セミナーハウス 旧世尊院/500円。20畳を二間の空間に、大中小(ハガキ大~20インチか)モニター多数を配置したビデオ映像。壁に投影も二か所あり。漫画的キャラの動画。
 
 ギャラリー勇斎は、web上でのスケジュール通り、「循環」展最終日ではなく、月曜ということで休み。明日からの展示の準備中だった。信澤あや 織展/ギャラリー勇斎。

 途中にギャラリーカフェTakeo。
 NAP2010本部におけるNAPおみやげ展(展示即売)では、Nozomiの作品に注目した。線描と散在する小さな面の彩色。
 なら工藝館のなかの、ギャラリー阿字万字〔あぜまめ〕で3人が隣り合って、あないし4つの壁に、展示。
 いのとみか 展/なら工藝館 ギャラリー阿字万字。雁皮紙を重ね合わせたものに、簡素だが味のある線での顔。重複利用して並ぶ顔。顔の輪郭と中身を分離。
 小吹隆文氏による写真:
http://livedoor.2.blogimg.jp/artkobujime/imgs/e/b/eb3d07ed.jpg
 Nozomi Simply Jazz (2009~2010)展/なら工藝館 ギャラリー阿字万字。
 若狭愛 展/なら工藝館 ギャラリー阿字万字。油絵。

 寺田真由美 LIVING ABSENCE/Gallery OUT of PLACE。模型を作っての写真。

 近鉄奈良駅で乗車し、橿原地域でのNARAコテンパンダン展へと向かおうとしたが、絵画はほとんどなさそうなので、車中でそれを見るのは断念することにし、生駒で下車。買い過ぎ分は払い戻してくれた。
 「Over」谷口良展/gallery CLASS。抽象絵画。
 家族の温度 福呂当起作品展/E.R.I + Y。ここで食事した。
 

美術修行2010年10月10日(日)など

2010年10月19日 01時20分01秒 | 美術/絵画
2010年10月19日-1
美術修行2010年10月10日(日)など

 2010年10月5日。土佐の紙大濵紙に描いた日本画展/大丸心斎橋店。明日からの展示だが、見せてもらった。

 2010年10月9日(土)。昨日で一段落したはずが、某通運の当日朝の取り消しでずれて、びわこホールでの寺島陸也エラールピアノリサイタルが聴けなくなった。ショパンのバラード第2番を聴きたかった。
 
 2010年10月10日(日)。
 中之島_4117を訪問。多数のちらしを入手。アートの相談に答えてもらうには、ネットなどによる[webでの文言によれば、電話かFaxかメールでの]予約が必要。
 時刻を見て、国立国際美術館へかけこむ。
 16:20、マン・レイ展 知られざる創作の秘密/国立国際美術館/1,500円。
 16:40、コレクション2 近年の収蔵品を中心に/国立国際美術館。
  桑山忠明、中西夏之などの作品。なかなか良い作品もあるウングワレー、のつまらない作品も。
  柳幸典「ワンダリング・ポジションーモノモリウム・ミニマム1」の英題は、Wandering Position -Monomorium minimum 1であった。Monomorium minimumは、蟻の学名である。説明札に、「蟻、クレヨン、蜜蝋、顔料、鉛筆[graphite]、サベージ紙、鉄アングル[steel angle]とあった。4.5mx4.5mくらいの紙。そばの見張り?の人に訊くと、蟻の歩いた跡を鉛筆で辿っていったのだそうだ。蟻自体を作品素材として使ったわけではなく、設計素材あるいは記録対象として使ったということになる。

 目録に、版画はprint〔印刷物〕とあった。印刷 printとはどういう種類の行為の範囲を指すのか。スクイーズ。上からゆっくりと押す。ステンシルと型。版。

 ホテルグランヴィア大阪。(予約せず訪れて、)フロントで訊いたら、満室らしく、部屋内の寝具の頭方向の壁などに飾ってある絵画の見学はできないとのこと。26階のエレベータを降りたところの広間での2つの絵画展示を見た。アートコートギャラリーの企画らしい。

 内藤六郎 陶展/阪急うめだ本店11階美術画廊I。


美術修行2010年10月17日(日)/フォーラム「私たちの近代美術館をつくるために」

2010年10月17日 20時27分24秒 | 美術/絵画
美術修行2010年10月17日(日)/フォーラム「私たちの近代美術館をつくるために」


 2010年10月17日(日)。「大阪に集まった12の名画 -大阪市立近代美術館コレクション:モディリアーニ、マグリットから佐伯祐三まで」展/大阪歴史博物館の常設展観覧料600円。フォーラム終了後に再入場した。
 今回は比較的近くから観察できる。福田平八郎の《漣》の青い部分は、一様で、階調がかかっているわけではなかった。一様な地と文だけの模様。ひょっとして視点は、下面では上方から、上面はより下方から、中間はその間から、という合成なのだろうか。

 
 2010年10月17日(日)13:00~15:33。フォーラム「私たちの近代美術館をつくるために」/大阪歴史博物館4階講堂/最寄り駅は地下鉄谷町四丁目。
 聴衆は当初で110名くらいか。後に少し増えた。以下は、わが興味中心的な要約で、表現も発言通りではない。司会進行は、おかけんた氏(タレント、現代美術コレクター)。

 13:05、菅谷富夫氏(大阪市立近代美術館建設準備室研究副主幹)による「近代美術館整備の経過と現状」。
 場所は、中之島の国際美術館の来たにある駐車場(駐車場だけではなく、その北の砂地の場所も含まれることを、二回目に常設展を見たときに確認した)。
 近代美術館あり方検討委員会(加藤種男氏は委員の一人)からは、10の挑戦として提言があった。
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/yutoritomidori/0000065467.html

  近代美術館あり方検討委員会からの提言 -10の挑戦-
   ホワイト・キューブからアーバン・パッサージュへ
  1.ひとが集い憩える新たな美術空間・パッサージュを
  2.保有する二つの資源 -国内屈指のコレクションと中之島- の活用を
  3.オンデマンド展やリクエスト展といった斬新な視点に立った展覧会活動を
  4.美術館を核に中之島を学びの場に
  5.美術館の現場に市民・NPOがリードし活動する協働のプラットフォームを
  6.地域を活性化させるアート活動を積極的にサポートできる体制を
  7.ブランド・マネジメントの視点を持った市民・NPO主体の運営体制を
  8.作品をしっかりと展示・収蔵できる充実した施設と、多彩な交流スペースを
  9.博物館群統合から生まれる連携と再編成で合理的運営を
  10.水と交流の都市軸復活をめざして、まちづくりを発信できる中之島の美術館を

 〔アーバン・パッサージュへ、オンデマンド展、ブランド・マネジメント、とはなんだろうか。〕
 単なる作品鑑賞の場ではなく、居心地のよいホットする楽しいところ。学校と連繋として教育活動もする。外の活動にも参加し、また受け皿になる。
 収集品は、寄贈約3,400点と購入約1,000点で、合わせて約4,400点〔後に8階で訊いたところでは、購入総額は153億円。寄贈品の受け入れ当時の評価総額は??億円(失念)。〕
 「元気な大阪」をめざす政策推進ビジョンにおいて、中核施設に位置づけ。2016-2017年に建物完成予定。

 講演1.「美術館建設は未来への投資」
  石坂泰章氏(株式会社サザビーズジャパン代表取締役社長)
 ・観光資源になること。金沢21世紀美術館の例を挙げた。
 ・雇用創出。創造的な人を引きつける。『アエラ』1994.5.23の51頁の調査報告書を紹介。
 ・コレクションの厚み。市の中心部にあるという良い立地条件。フラっと行ける所。
             予想落札価格(100万ドル) 当時の購入価格
  モディリアーニ〔1917〕 40-60〔36-54億円〕     19億円
  ボッチョーニ〔1911〕  12-18
  デ・キリコ〔1916〕    4- 6
  マグリット〔1957〕   15-20
  ダリ〔1934年頃〕    3.5-4.5

 本格的な美術館は、大阪市に税収入をもたらす。世界を相手に競争し、入館者200万人をめざす。
 下記のガルブレイスの言葉を引用した。
  「必需品が行き渡った社会では、人々の関心は楽しみや美しさに向かう。デザインや音楽、絵画などである。〔後略〕」(日本経済新聞 2004.1.28)。
 
 
 講演2.「来るべき美術館/作家の視点から」
  13:53~ 森村泰昌氏(美術家)
 美術家とは夢物語を語る人。
 では、そもそも美とはどんなことか。
 海に夕日は美しいといった美もあるが、簡単ではない場合もある。
 17世紀のオランダのレンブラントの「夜警」を例。小林秀雄の本『近代絵画』(昭和29年の雑誌に掲載)。二つのまったく違った美の対立を小林は語っている。<みんなの美>とレンブラントの特殊な美。しかし今では、全世界の人が見に来るだろうような、みんなの美である。特殊な美として表れるが、突出したものなので、少数派。それが、みんなが納得するには時間がかかる。もう一つの例として、生前は1枚か2枚しか売れなかったゴッホ。
 二人だけに光を当てるのではなく、注文主の市民全員に光を当てて描いていたら、フラットな凡庸な絵になっていただろう。アムステルダム市民は、レンブラントという突出した人を選び、任せた。わたしたちがすべきことは、様々な意見を出し合うことではない。特別な形で提案できる人物を選ぶことが大事。誰に美術館の構想を任すのか。少数精鋭のプロジェクト・チームを作るのがよいと思う。多くにすると平均値になるので、五人くらいか。美術館の精鋭部隊を作って、構想を任せる〔ことを森村氏は主張した〕。14:22了。

 
 講演3.「市民の美術館にむけて」
  14:24~ 加藤種男氏(アサヒビール芸術文化財団事務局長)
 建設に100億円かかるとすると、年間20億円の効果で5年で償却できる。効率の良い投資である。すでにある博物館をグループ化して経営すれば、運営費増は少ない。メディア芸術関連とで一つのものを一つの建物に作れば、コストは半分、管理コストも削減できる。
 しかし、美術館はそれだけで儲かるものではない。人間が生きていくうえで無くてはならない美を展示する。社会的投資である。
 経済的投資の場合は、投資者に利益が戻る。戻るのは、経済的価値で、安全で短期に戻るが、社会的投資は、そうとは限らない。利益はすぐには戻らないし、大阪市民やその他に利益があ。金以外のなにが、また、いつ返ってくるか、わからない。
 ここからは妄想だが、瀬戸内海は東アジアのなかで重要だから、関西空港(瀬戸内空港と考えたい)からすぐに島々をクルージングしてもらう。最後に中之島で近代美術を味わってもらう。14:48了。
  (10分休憩。)
 15:01、質疑応答。
 質問:特異な才能をどう判定するのか?
 森村氏:わからない。一種の賭けなんですよ。見る目を持った人はいる。……〔田中一村の例が出た。〕……みんなが色々やっているなかで、特異な人が出てくる。エロス(魅力あるいはオーラ)がないと人は来ません。
 (中略)
 加藤氏:できてみてはじめてわかるということがあるので、みんなで応援してくれ。

 15:31。時間の都合で質問は〆切、と司会者。15:33終了。

 
 質疑応答や議論の時間を少なくとも、あと30分、できれば1時間欲しかった。
 大阪市立近代美術館整備計画は、
http://www.city.osaka.lg.jp/yutoritomidori/page/0000020944.html

 ここで、「ホワイト・キューブからアーバン・パッサージュへ-近代美術館あり方検討委員会からの提言-」(pdf, 262.21KB、25頁、2010年1月)が入手できる。

 
 特異な人が現われるとか傑作を描けるような環境づくりについては、別のところで検討しているらしい。


美術修行2010年10月13日(水)/第5回丹波美術大賞展公開審査/哲学カフェ「クジラを食べてもよいか?」

2010年10月15日 11時41分37秒 | 美術/絵画
美術修行2010年10月13日(水)/第5回丹波美術大賞展公開審査/哲学カフェ「クジラを食べてもよいか?」

 2010年10月13日(水)。
 JR福知山線の谷川(たにかわ)で下車。
 第5回丹波美術大賞展の公開審査が行なわれる、やまなみホールへとiPhoナビつつ、歩く。食事するところが見当たらず、和菓子屋で3種類を一つずつ買う(499円)。訊くと、やまなみホールに喫茶店があるとのこと。
 その喫茶店のテーブルすべてに灰皿があり、喫煙者がいた。
 やむなく、広間でお菓子と79円で買って持参した500mlの茶で昼食。

 時間があったので、丹波竜化石工房を覗く。発掘された丹波竜化石の実物が展示されていた。化石発掘レポートの印刷物あり。それの監修は、兵庫県立人と自然の博物館が担当。ガラス張りの部屋のなかでは、化石探しのクリーニング作業中。
http://www.tambaryu.com/studio.html

 
 2010年10月13日(水)。第5回丹波美術大賞展公開審査/丹波市やまなみホール/谷川駅から徒歩20分。
 13:23開場、13:30開会。3行8列の一般席に15人ほど。一番乗りして、最前列の左端に座った。(掲げられた絵画との距離は、およそ10mだった。だから、詳細は見えない。)
 平面部門第1次審査。応募要領によれば、大きさ制限は50Sまで。184人から239点の応募。丹波市からは昨年より6人増加の23名で8点増と、司会者。一人が一点を3人の審査委員の席の前の約2mに掲げる。一人が2点の場合は、二人が1点ずつを同時に掲げる。
 審査委員の紹介、審査方法についての説明などあり。受付順に1点ずつ、前方に3つの電球があり、それらのうち2つ点灯すれば、一次通過とのこと。しかし実際は一部はそうではなかった。1つしか点灯しなかった場合でも、口頭で通過という場合が少なからず。なお、司会者の説明では、電球の位置は、審査委員の位置とは対応しないと。
 13:38、開始。向かって左手の司会者が、番号と画題を読み上げる。一人が2点応募の場合は、その旨を言う。審査委員席の右手にもう一人の係の者が、一人が2点応募の場合、「**(番)は選外、**(番)は通過」とか、結果を発表する。選外作は会場外に運ばれ、通過作は右手の壁に置かれる。一人で2点とも通過という場合は無かった。少し時間がかかる場合とは、2点のうちどちらを通過させるかという場合と、2点ある場合にどちらも選外にするかという場合のようだった(と憶測した)。21番が終わった時点は、13:44。
 最初の10人くらいまでは、結構通過していたが、後ではどんどん選外になっていくので、一般席からは、「厳しい」と言う声が聞こえた。審査委員が、絵をもっと前にとかもっと後方へという手振り合図をすることが、たまにあった。
 基調色が緑の小さな変形カンヴァス2点(一部ギザギザとなった略三角形と略菱形)があったが、あっさりと?、選外。小さい作品は、ほとんど選外となるようだった。写実的な作品については、選外になるかどうかの基準はわからなかった。めりはりの効いたのは、通過するように思えた。或る場合には、3人とも電球が点灯した。
 14:47。立体部門の第1次審査は、数十cmほど床より高くしつらえられた舞台上に置かれた11点を審査委員が見て歩いた。投票により、3点が入選。15:00に結果が発表された。一般席から、「どれなのかわからないのですが」というような声あり。係員があがって、前方に位置する、左端と真ん中と右端だと説明した。

 14:35から平面二次審査。(5人それぞれからの)5点が同時に掲げられて、入選かどうかが決められた。このとき、賞候補作の声が出る場合もあると司会者が言ったと思うが、結果としてそのようなことは無かった(と思う)。5/5、4/5、4/5、5/5、5/5、5/5、4/5、5/5、5/5、0/2、など。
 15:04から、平面の賞候補作品の選考へ。また、5点ずつ並べられた。2/5、1/5、1/5、1/5、1/5、0/5、0/5、0/5、1/5、0/5。
 15:14、賞候補から賞選考へ。平面7点と立体2点の9点。立体は舞台上なので、上からと、横からも一部しか、は見ることができないので、判断できない。平面は、抜きん出たのが無い。
 三次審査の結果として、平面3点と立体1点の4点が優秀賞以上(大賞1点と優秀賞3点)。
 15:25、大賞を選考中。立体作品は舞台に置かれたままで、平面作品は3つが前に並べられての審査。大賞を決める投票結果は、3人ともバラバラで決まらず。15:28、3人の協議により決定すると報告あり。昨年は平面が大賞だったらしいから、今年は立体かな。協議の結果、右側の平面作品が選ばれた。「シュール」と言及されていたが、いわば玄人好み。受賞者住所は、神戸、大津、堺、〔聞き漏らし〕。
 15:36、審査委員長の言葉。
 
 新書2冊とお菓子3つと500ml弱のお茶の重さとともにホールまで歩いたためか、すでに腰痛のなか、ホールから久下村(くげむら)駅まで歩き、加古川から新神戸に出ようかとも思ったが、大阪へ。

 19:00少し過ぎ、地下鉄北浜駅から歩いてアートエリアB1へ。
 哲学カフェ「クジラを食べてもよいか?」/なにわ橋駅アートエリアB1。30人ほどの参加。
 クジラという語が指示する範囲(タクソン指定)、食べるという行為の範囲、「よい」の解釈の変異の範囲、だれにとってかという範囲、と範囲がきわめて不確定な、ゆえに議論が多様になることや錯綜することを狙ったと思われるような、質問設定。
 (太地などの)地場物の鯨の最もおいしい部分の刺身をみなさんに試食してもらえば、意見は変わるだろう。たとえば、美味しいから食べたい。ゆえに、食べてもよいと。
 なんらかの「成果」を出すことを狙ってるわけではないらしいから、なんら、まとまらなくてもよいのだろう。ここでの「哲学」とはなんだろうか。哲学的やり方として、主催または世話する側は、どんなことを想定しているのだろうか。
 或る生態系を保全する(保護ではなく、保全という言い方に、たとえば生態遷移といったことが反映されていると思うが)、といった場合に、生態系の同一性が確定できない限り、その目標もまたそれゆえに方策も確定できないと思う。
 割とはっきりしているのは、たとえば指標として地球上の種数を採用し、それを最大化しようとするならば、近年では生物種を絶滅させてきたのは_Homo sapiens_に属する生物体(つまり、人)であることは事実であろうから、この種を絶滅する(=いかなる人の存在をも無くす)のが、最も現実的な策であると考えられる。

 10月22日(金)19:00~21:00に、「人が病み、治るとはどういうことかーーホメオパシーにおける生命観」というセミナーが予定されている(進行役は中岡成文氏)。興味深いが、時間的にも体力的にも金銭的にも、参加は困難。残念。

美術修行2010年10月2日(土)

2010年10月03日 17時58分10秒 | 美術/絵画
2010年10月3日-1
美術修行2010年10月2日(土)

 ミロ展 版画の全貌/北海道立帯広美術館/コレクションギャラリーとで940円。
 年表に、1934年、ミロ41歳のとき、サンドペーパーなどに油彩を試みる、とあった。難波近くの画廊で見たキラキラと輝くのは、サンドペーパーかなと訊いたら、そうだった。かなり昔に、ミロがやっていたとは。