写真=過労死をなくす集会で裁判への支援を要請する多摩ミルク支部組合員ら(2016年8月7日)
東部労組多摩ミルク支部 固定残業代やめろ裁判証人尋問の報告
小島取締役はウソを言うな!労働者をだました責任を取れ!
東京・葛飾で飲食品を輸送している「多摩ミルクグループ」の労働者でつくる全国一般東京東部労組多摩ミルク支部のうち、同グループの株式会社エイチ・ビー・エスでドライバーとして働いている3人の組合員が、固定残業代の無効を主張したうえで未払い残業代などの支払いを求めている裁判の証人尋問が10月31日、東京地裁で開かれ、3人の組合員は過酷な長時間労働への怒りを法廷で訴えました。
法廷には東部労組各支部や友好労組などから多くの仲間が支援傍聴に駆けつけました。
3人の組合員は原告当事者として尋問を受けました。このうち佐々木組合員は「朝は2時に起きて出社し、帰宅するのは夕方6時ぐらい。1日15時間は働いていた。休憩も取れず、車から離れられず、トラックの中でパンを食べていた」と、ひどい月では残業だけで206時間という過労死寸前の過重労働を証言しました。
固定残業代については、「ハローワークの求人票には基本給25万円という記載であったにもかかわらず、雇用契約書には基本給15万円+固定時間外手当10万円となっていたが、まったく説明はなかった。この固定時間外手当が何時間分の残業に相当するのかの説明もなかった」と述べ、詐欺的な募集方法と不明朗な同社の固定残業代制度の実態を明らかにしました。
佐々木組合員は「家に帰っても配送先までの地図を見て勉強、努力してきた。働いた分が報われず悔しい。自分はお金がほしいだけで裁判をやっているのではない。長い時間やってきたことは訴えたい」と、言葉を詰まらせながら語りました。
他方、会社側証人として証言台に立った同社の小島逸成取締役は、会社側弁護士の主尋問で、自社の給与体系について「基本給は当時の最低賃金を参考に決めて、残りの給与は固定残業代にあてた」と平然と言いました。
ドライバーたちは20~30キロもあるビール樽を手で積み降ろす重労働を課されています。この基本給を最低賃金に設定する経営者の感性はどうかしています。最初から最低賃金でドライバーを募集してきたのでしょうか。そんな方法ではドライバーが集まらないのを百も承知のうえで、だからこそ固定残業代を含めた給与で労働者をだましながら募集し働かせてきたのです。
組合側弁護士の反対尋問では、小島取締役と同社が今年2月に労働基準法違反で起訴・有罪になった事実について「真摯(しんし)に受け止める」と言いつつ、長時間労働の実態については「労働時間を誤認していた」などとごまかす不誠実な態度でした。
また、「契約時に固定時間外手当には80時間までの残業時間分が含まれていると説明した」などとウソをくり返しました。
同社には固定時間外手当分の残業時間に達しなかった月は、その時間分の手当が翌月に繰り越されるという驚くべき制度を設けています。この点についても「労働者には口頭で説明した」と言い張りましたが、本当に説明したのかとの重ねての尋問には「口頭で触れたかな?という感じです」と力ない調子に後退しました。
このように約4時間半にわたる証人尋問は、組合側の勝利を確信できる内容でした。今後の裁判で経営者が証言台で語ったウソを暴いていきます。過重労働とただ働きを押しつけながら、それでも反省しない経営者と徹底的に闘っていくことを原告・支援者が一体で決意しました。今後もみなさんのご支援をよろしくお願いします。