東京東部労働組合【公式】ブログ

全国一般東京東部労働組合の記録

HTS支部 時給制への不利益変更撤回裁判 最高裁不当決定弾劾!

2019年09月04日 15時40分48秒 | 添乗員・旅行業界

東部労組HTS支部が闘っていた時給制への賃金体系変更による不利益変更撤回裁判で8月20日、最高裁判所は原告組合員の上告を不受理とする不当決定をくだしました。
これに対する東部労組・HTS支部の抗議声明を掲載します。

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東部労組HTS支部 時給制への不利益変更撤回裁判

最高裁不当決定を弾劾する

-ひと月114時間の残業のどこが「合理的」なのか!-

2019年9月4日

全国一般東京東部労働組合執行委員会

全国一般東京東部労組HTS支部


2019年8月20日、全国一般東京東部労組HTS(阪急トラベルサポート)支部組合員2名が原告となって提起していた時給制への賃金体系変更にともなう労働条件不利益変更撤回を求める裁判につき、最高裁判所は原告側の上告を不受理とする決定をくだした。

これにより、派遣添乗員の過酷な長時間労働の実態をまったく無視し、会社側の主張のみを容れるという東京高裁判決を最高裁は支持したこととなる。まったくもって容認できるものではない。私たち東部労組は、全国1万人を超える派遣添乗員を裏切る、また、前訴最高裁が示した「当然の結果」(従来の日当制によって支払われていた賃金を8時間分の労働の対価とし、8時間を超える労働については残業代の支払い)を司法自らが否定するという矛盾に満ちたこの最高裁の不当なる決定に対し、満腔の怒りをもって抗議・弾劾するものである。

 

2007年に結成されたHTS支部は、登録型派遣添乗員の劣悪な待遇改善を求め、闘ってきた。派遣添乗員自らが敢然と労働組合に団結して立ち上がり、街頭でのアピール行動、世論への訴えなどを通じ、それまでは「ツアーの都度の雇用契約」を理由に認められなかった有給休暇の取得、社会保険・雇用保険への加入を実現するなど、待遇の改善をかちとってきた。そして2014年1月、添乗員が強いられてきた「偽装みなし労働」(「事業場外みなし労働」を「理由」とする残業代の不払い)による1日12時間以上という長時間労働の是正を求めて提起した裁判の勝利が最高裁によって確定し、添乗員への「事業場外みなし労働」適用が否定された。この前訴最高裁の判決をもとに、HTS支部は8時間を超える労働に対する残業代の支払い、それによる長時間労働の是正を強く求めた。それこそが、前訴最高裁がその判断によって示した「当然の結果」であるからだ。

 

しかし会社は、HTS支部の要求に応えることなく、前訴最高裁が示した「当然の結果」を無視し、従来の日当制賃金を時給制へと強行的に変更した。前訴最高裁が「日当は8時間分の対価」と判断したにもかかわらず、時給は従来の日当を13で割って算出された。また、飛行機に乗っている時間も実態に反し大部分は「非労働時間」とされ、時給支払の対象外とされた。これにより、「当然の結果」として生じるべき8時間超の労働に対する残業代の支払いによる賃金の増額分は時給制への変更によってほとんどが吸収されることとなった。加えて、従来の日当制での賃金水準を維持・上回るためには長時間労働が必至となり、その結果、長時間労働の実態は解消されることなく温存・加速し、添乗員の健康面の負担も相変わらずという状況が続いている。時給制への変更は文字通りの「不利益変更」に他ならない。

HTS支部はふたたび裁判闘争に立ち上がった。大島組合員・境組合員を原告に2015年11月、不利益変更撤回を求め、東京地裁に裁判を提起した。しかし、司法は前訴最高裁が示した「当然の結果」を自ら否定し続けた。2018年3月には東京地裁が会社の主張を容れる不当判決、そして2018年11月、東京高裁も一審判決を容認する不当判決をくだした。

時給制への変更について東京高裁は、「前訴最高裁判決等により不払とされた割増賃金の支払をしないとの目的でされたということはできず」と一方的に判断し、時給制導入が「前訴最高裁判決等を踏まえた賃金体系の改正案として、一つの合理的な選択肢であるということができる」と会社側に立った判断を行った。これにつき、HTS支部は最高裁に上告した。その上告を不受理としたのが今回の最高裁の決定だ。

この最高裁の決定、それはすなわち、前訴最高裁の判断を最高裁自らが否定するということであり、前訴最高裁の判断を無視した会社の姿勢を是認したということだ。まったくもって自己矛盾というほかない。

さらに問題なのは、添乗員の長時間労働の実態と、それを改善しようという切実な思いをまったく無視しているということだ。原告である大島組合員は一審の証人尋問において「添乗した10日間のツアーのうち7日間の合計労働時間が100時間超、1日平均では約14時間にものぼり、そのツアーを含むその月の2本のツアーで残業時間合計が114時間にのぼる」と証言した。過労死ライン(月80時間の残業)をはるかに上回る残業時間である。このような長時間労働、いわば命と健康を削りながらの労働が時給制の導入によって温存されており、今回の最高裁決定はそれを容認したということだ。東京高裁判決は時給制への変更を「合理的な選択肢である」と判断した。なにが「合理的」だというのか。時給制への変更によって続いている1日14時間という長時間労働、ひと月114時間の残業のどこが「合理的」だというのか。冗談もいい加減にしてもらいたい。命と健康を削りながら働く添乗員の状況のどこが「合理的」だというのか。それが司法の判断だというのか。ふざけるのもいい加減にしてもらいたい。裁判官諸君は恥を知るがいい。

 

最高裁・東京地裁・東京高裁の裁判官諸君。
諸君が行った今回の判断は、長時間労働を肯定するということだ。「1日14時間という長時間労働、ひと月114時間の残業」という過酷な労働の促進を是認したということだ。今後、長時間労働により添乗員の命と健康が脅かされる事態が発生した場合、その責任は今回の一連の不当な判断によって長時間労働を是認した裁判官諸君にあることは火を見るよりも明らかだ。裁判官諸君は必ず後悔するであろう。

私たちは今回の最高裁の不当決定、そして一連の不当な司法判断を絶対に認めることはできない。「最高裁が判断したのだからしょうがない」との言説も出てくるであろう。しかし私たちは最高裁・司法がどのように判断するかを活動の基準にはしていない。私たち労働組合の判断基準は唯一、「労働者階級の利益にかなっているかどうか」だ。前訴の最高裁判断は労働者の利益にかなうものであった。しかし今回は違う。そうである以上、私たちは今回の最高裁決定に対しては徹底的に弾劾するとともに、それに屈することなく添乗員の待遇改善の運動を進めていく。

最高裁・東京地裁・東京高裁の裁判官諸君。
搾取と抑圧のあるところ、労働者は必ず闘いに立ち上がるのだ。立ち上がった労働者は敢然と闘い、敢然と勝利する。歴史を振り返ってみるがいい。労働者の闘いは裁判所の不当な判断などによって止められるものではない。諸君らが労働者を押さえ込もうとして下した不当な判断はむしろ労働者の怒りを増幅させ、決起を促すのだ。

東部労組・東部労組HTS支部は添乗員の待遇改善の運動をあきらめたりはしない。

全国の添乗員のみなさん!ともに闘いましょう!

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