中野系

この銀河系の中心、中野で考えること

コープスブライド

2005年11月21日 | 映画
続き物ではないが「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」もあるので、楽しみにしていた人も多いだろう。個人的には「ナイトメア~」を未見だったので、良くも悪くも先入観ゼロで鑑賞。

CGで実装すればさぞかしおぞましい世界になってしまっただろう。馬鹿みたいに手間の掛かるクレイアニメによって、実に楽しげで温かみのある「死者の世界」を描く事ができている。

前半の冷たく(色々な意味で)冷え切った人間の世界から、この死者の世界へ舞台が変わると、果たしてどちらの世界に入るのが幸せなのだろうという気にすらなってくる(実際、ヴィクターは途中である決断をするわけだが)。

こうした独特の世界の映像を楽しむには申し分ないし、なかなか楽しい映画。クレイアニメの制約もあって上映時間は77分とやや短いのだけれど、退屈することなく一気に見終わった、という感じ。

ただいくつか難をあげるなら、まずミュージカル映画としてはなんだか中途半端。特にこれといって光る歌がなく、なんだか「無理に」ミュージカルにした印象すらある。ミュージカル、という点だけで比較するなら個人的には「サウスパーク」映画版のほうが数段優れていると思う(さすがに歌詞はひどかったが)。これは監督、というよりは作曲家の能力の問題ではあるけれど。

あと、ファンタジー映画でこういう不満はお門違いかもしれないけれど、この映画で腑に落ちないのは主役3人(ヴィクターと生死それぞれの結婚相手)のキャラクター。いずれも「非常にいい人」なのだけれど、なんだかあまりに流されてばかりで、どうも感情移入し辛い部分がある。そういう性格のメンバーが集まったからこそあの「悲劇」が起こった、ということなのかもしれないけれど。

以上気になった点はあるけれど、最後の美しくも悲しいシーンを見届けると、劇場に足を運んでよかった、という気分にさせてくれる作品。今度こそレンタルで「ナイトメア~」を見てみよう、という気にもなってきた。

★★★