中野系

この銀河系の中心、中野で考えること

野村義男的人生

2005年11月08日 | 日常
ふとしたきっかけで野村義男氏のウェブサイトへたどり着いた。いまでは浜崎あゆみのギタリストのほうが通りがよいのかもしれないが元「たのきんトリオ」、あの野村義男氏である。

いまや立派な「ギタリスト」なのでやはりギターの話題が中心。なかでも特に面白いのが写真のついた日記。結構マメに更新されるし、ミュージシャンの日常というものが垣間見られてなかなかに楽しい。彼の人柄を表しているのか、非常に軽い文体も独特の味がある。

ここを見ている限り、ミュージシャンとしては結構成功しているようで、意外に(といっては失礼だが)忙しい毎日を過ごしている。なにかあるとすぐにギターを買ってしまうようなのだが、それだけの財力は維持できている、ということなのだろう。いずれにせよ毎日を実にエンジョイしているようだ。

思い出してみると「たのきんトリオ」における野村氏の立場というのは結構微妙なところがあった。最近はともかく昔のジャニーズ系のアイドルユニットは必ず一人「中和剤」的なメンバーを入れる傾向があったのだけれど、その意味で彼はまさに「たのきん」の中和剤だった。

本人も当時よりそのことを強く意識していたみたいで、何かのインタビューで「自分はたのきんトリオの格助詞的存在だ」と語っていたことを記憶している。この奇妙な比喩が面白くてそれ以来、なんとなく野村氏の動向というものを気に留めるようになった。

田原、近藤両名がアイドルタレントとして成功を収める一方、彼だけはデビューも大幅に遅れ「ザ・グッバイ」という名のバンドでレコードを発売した時、世間で既に「たのきん」ブームは過去のものになっていたし、このバンドがヒットチャートを賑わすことも決してなかった。

自分が高校生の頃、横浜のレコード屋をうろついていたら近くでのプロモーションイベントがあるらしく、野村氏とそのバンドメンバーがレコード屋に入ってきて、店長にイベントチラシを手渡す場を目撃したことがある。彼はテレビ同様に笑顔を振りまきながら歩いていたけれど、人の多い店内で彼らに気付いた人間は自分と隣にいた友人だけだった。この時「たしかに格助詞だよな」と思った記憶がある。

タレントとして結局、いわゆる表舞台で派手に活躍することはなかったわけだけれど、サイトをみる限り地味ながらも充実した仕事をこなしている。少なくとも今の人生彼の存在は決して「格助詞的」なものなのでは決してない。

比較するものでもないけれど「たのきん」3人の人生、どれか一つを体験できるとするなら、自分は迷わずに野村義男的人生を選ぶと思う。