検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

筋を通した町長ー連載小説43

2012年07月05日 | 第2部-小説
  委員は町長に押され気味になりつつも
「ということは合併期限までまだ1年余りあるわけですがその期限内に研究会とか協議するとかそういうことをする考えはないということでしょうか」
「その通りです」
 別の委員が
「私どもは昨年、つくった合併パターンがありますよね。これについてはどう思いますか」と質問した。これには町長は厳しい表情を質問委員に投げかけ
「いつの合併パターンをいっておられるのか知りませんが最初に提示されたパターンに占部町は載っていませんでした。その中でわが町はさまざまな資料を作成して隣接市町村と協議し、打診してきました。その際、合併推進審議会は何もされなかつた。これについてはどう思われますか」とやり返した。

 質問した委員は
「そういうことがありましたがその後、いくつか提示しました。それについてはどう思いますか」
「提示は受けました。ところが県が提示した相手との合併について町民にアンケートを取りましたから賛成は70%でした。町の合併推進の方々がいう相手として町民もよかろうということでした。ところがその相手の市が市民アンケートをすると占部町を加えることに賛成はわずかに4%でした。議員の方々は全員反対と聞いています。それで合併は先方から断ってきました。これが県が示された案の結果です。その経緯はご存知じゃないのですか」
「よくわかりました。隣同士の自治体との連携は一つの協働だと思いますがその協働はこれからも大きなキーワードになると思います。その意味で大変、ご苦労されたことがよくわかりました」と審議委員。

 すると別の委員が
「最後にお聞きするのですが諮問のもう一つの大きなポイントなのですが知事の勧告について、相手を指定して合併協議をしなさいという勧告があるとしたら占部町長さんとして率直な感じ、どう思われますか」
「率直に申し上げますと、やっぱり合併というのは押し付けであってはならないと思います。自治体同士、あるいは住民の総意に基づいて民主的におこなうべきであり、知事勧告というものはそう軽々しく用いるべきではないと思います。これまでの取り組みを見ていただければ山村の小さな町でもここまでできるのかと理解してもらえるのではないか。この先、どうやるのか様子を見てやろう。そういうように見ていただきたいというのが私の気持ちです」

 こうして市町村合併推進審議会の訪問調査は終わった。出た審議会答申は「本県市町村の望ましい姿」などの列記だった。合併しない選択をした占部町をはじめ他の市町村長がのべた意見・要望は一言半句の記載もなかった。できない理由を聞くのは審議会の目的ではないということだが知事勧告も出なかった。