天地わたる手帖

ほがらかに、おおらかに

朝靄に人の影あり青胡桃

2019-05-17 14:11:50 | 身辺雑記

青胡桃。胡桃のついている木は5本に1本の割合


春から初夏にかけて多摩川をめぐる人との縁に驚いている。
発端は2月27日に行った息子のレストランにおける「KBJ俳句の集い」、ここで野崎和夫さんとお会いしたこと。彼は「野鳥千里」なるブログを持つ野鳥撮影者であった。
好きな場所が多摩川と浅川の合流点と聞きそこへ気持ちが動いた。
ぼくは鳥には彼ほど興味がなく、さまざまな水の流れが浮かんだ。新しい水の句ができそうな気がしたのであった。

行ってみるときさくな森番に「胡桃は要らんかね」と声をかけられた。
割れば食える胡桃を前にしてこれを逃す手はないと感じいただいた。もう水の俳句を書くことは飛んでいた。
胡桃を食べはじめたら髪の毛が濃くなった。妻が驚き食べ始めた。胡桃は希薄になった頭髪のみならず夫婦関係をも濃くしてくれた。胡桃さまさまである。
ここへは都合4回足を運びそこにあった膨大な量の胡桃をほとんど回収した。
野崎さんは胡桃のことなどまったく知らず鳥のことを話した。それがぼくに胡桃をもたらした。
ぼくは胡桃をくださった森番にお礼をした。

すると森番は胡桃はミセス原が持ってくるのだという。森番の背後にボランティアで河川の清掃をする働き者がいたのである。
彼女も奇特な人である。
落ちた胡桃はゴミではない。放っておいていいと思う。昭和記念公園に落ちている膨大なギンナン。これを清掃担当者は片付けない。そこで腐らせる。それでいいのに彼女は森番の管轄する林の中の一か所に胡桃を持ってくる。ビニール袋に詰めていくつも。
それでぼくが胡桃に遭遇できた。

多摩川を舞台にした人との縁に驚いている。浅川で胡桃を見つけたことでぼくの多摩川での行動範囲が南へ発展した。
今日は、東京多摩局~関戸橋~京王線~四谷橋少し先までの3kmほどの河川敷を見て胡桃を探した。
来週から始まる桑の実の生育状況も確認した。

ぼくという存在が他人に何らかの影響を及ぼすこともあるだろう。いい縁をもたらしたいがこればかりはわからない。どうすることもできない。
人がある出会いを良く取るか悪しく取るか。それは他人の心中の見えないことであり伺いしれない。少なくとも快活に人とは接しようと思うのみ。




四谷橋上流。多摩川左岸