天地わたる手帖

ほがらかに、おおらかに

米倉八潮のデザインワールド

2019-11-14 04:55:39 | 文化
おとといKBJKITCHENで長男(米倉八潮)と夕飯を食った。そのとき「初春俳句バトルin田無」のことを話すと「そのフライヤー俺がつくってもいいよ」という。息子に無料で頼むことを控えてきたがこの誘いには乗った。
原稿を渡すと5時間後に以下のチラシが伝送されてきた。チラシのことをフライヤーと呼ぶことも息子から習った。



我が子ながら巧い。グラフィックデザインで飯を食っているだけのことはある。
小生は38年出版社につとめ主に編集に携わった。広告部にいたときは息子のようにチラシや1ページ広告も作成したが素人よりは巧いというレベルであった。編集は<線>でありAからZまで総攬してまとめる仕事。効かせどころはグラフィックデザイン専門家に頼む。彼らは<点>でありワンショットで勝負する。
このチラシを12月はじめから西東京市の各公民館などへ置く。弘子さん、芙美さん、その作業よろしく。

 店舗、催しもの等のフライヤー

 KBJKITCHENのコースター、背後にいるのが米倉八潮


 東北の海岸歩きの地図


意匠というのは見えるところすべて、サッカーボールまで手掛ける


D.O著『悪党の詩(うた)』(201910.22第一刷 彩図社刊 本体価格1500円)
D.Oとは「デンジャラス・オリジナル」の略。本名、須藤慈容。1978年東京都練馬区生まれ。2018年11月大麻とコカイン所持・使用のかどで懲役3年の判決を受ける。新進気鋭のヒットホップの担い手とか。見かけによらず文章はしっかりしていてよく自分を見ている。
どういう繋がりか知らぬがこの本の装丁も八潮が担当している。




装丁を始めた最初の本
内堀輝夫著『ここへおいでよ はい、握手』(自費出版 2013年)
中身の編集作業はぼくが担当、装丁、字面のデザインを八潮が担当。


なんでもいいからデザインして息子が飯を食っているのは父としてありがたい、という心境。


米倉八潮(Vsigns Graphic)
〒185-0021
東京都国分寺市南町2-8-7 半沢ビル2F 国分寺さんち内
Mail yashio.y@vsigns.jp
URL http://www.vsigns.jp


海11月号の玉を拾う

2019-11-13 05:57:40 | 俳句


先日ひこばえ句会に来た中川郁さんから「海」11月号を見せてもらった。その中で気に入った句を取り上げる。
その句会に

一葉の年譜短し初時雨 中川 郁

が出た。これをぼくは特選で頂いた。
樋口一葉は1872年5月2日(明治5年3月25日)に生まれ1896年(明治29年)11月23日に死去。24歳の生涯であった。短い生涯で『にごりえ』『十三夜』『たけくらべ』などの後世に残る作品を書いた。妹、母との女三人所帯で金銭に苦労した。初時雨という季語は彼女のまさに亡くなった季節。一葉への深い哀悼の気持ちが託されていた。

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露草や小走りに子を預けゆく 日下野由季
  これから仕事に行く30代くらいの女性。保育園の前の慌ただしさのなかの露草が効く。

水輪の中に水輪生まるる秋の風 初村迪子
  水底から上がる泡がはじけた水輪か空中の何かが落ちた水輪か。一点をみた豊かな時間。

喉元のきれいに動きラムネ玉 一坂 圭
  「きれいに動き」に喉仏のない女性を感じる。どういうこともない措辞だがこの場合華がある。

台風裡人のよじれて行きにけり 杉山三知子
  誰もがかような経験があり実感がある。「人のよじれて行きにけり」は言えそうでなかなか言えない。

水しぶき浴びて歓声滝見船 橘 光江
  上五中七は人のことかと思いきや滝見船で意表をつく。一艘の船を生身の人とみておもしろくなった。

弟と二人になりぬ盆の月 古川日出子
  父母が死に残った家族が二人。姉と弟の親密さが伝わる。

弾薬庫跡に佇む夏帽子 吉原一枝
ツアーの一場面か。建物がない草地で派手な帽子が鮮やか。戦争を知らない人という感じで隔世の感をたくみに伝える。


風鈴の音せぬように吊るしけり 小林嘉子
風鈴に対して「音せぬように」か……、近所への配慮と思うのだが吊るしたあとは当然音がする。それなのに吊るすときだけ「音せぬように」という心理は不思議である。


ホームステイに行く子に持たす京扇 大畑貞子
  子どもが語学研修へ行くのではないか。京扇で行く先は外国を想像されるところがいい。

まん丸の西瓜三角に切り分ける 小林政枝
  形がよく見えるし西瓜がうまそう。そして言葉遊びが楽しい。

ミスト浴び憩ふ乳牛夏の果 相馬聖子
  ミストなる現代的な風物をうまくこなした。なんとか夏を乗り切って元気な牛が見える。

稲妻や庭師が松に注射打つ 大沢綾子
  老松の治療を端的に「注射打つ」といったのがいい。さて稲妻のように効き目が出るか。

満席のオープンカフェや蚊遣り焚く 曽田智子
  今様のオープンカフェと日本古来の蚊遣のほどよいハーモニー。活気ある人の営みが見える。

あづまやに先客の猫秋の雨
 篠原幸子
  客はおらず猫だけ取り残されたようでおもしろい。さて猫は雨の中を帰るのか。

新涼や瀬音間近に露店風呂 井上清視
  涼しい清流の横で湯につかる。贅沢な新涼である。

雨蛙馬の背中は雨を分け 石関武之
  馬の背中を分水嶺のように眺めている作者。雨蛙は雨は平気だろうが馬は風邪ひかぬか気になる。

旅に来て見よう見真似に踊りけり 荻巣昭子
たとえば「おわら風の盆」のような観光地を取材したのであろうが固有名詞を出さずに観光俳句から抜け出ている。


四角四面の父の一生新豆腐 廣野ふえり
融通の利かぬ父にいらだって育った作者だが今はその頑固さを受け入れている。角が崩れていない新豆腐が見える。


自転車で来る代行の墓掃除 大塚京子
俳句は不易の要素が強い季語に流行がうまく入っておもしろくなる。その好例がこの句である。墓掃除にも代行があり彼が自転車で来るという事実がおもしろい。


底紅の紅しぼみては花落とす 渡辺泰弘
  微細なところを見ての「紅しぼみては花落とす」は巧い。この花の精度の高い一物俳句に感嘆した。
  
咲きも咲き散りも散りけり百日紅 香山英子
いまから咲く山茶花も咲くはなから散る花であるが百日紅が絶対いいと感じる。中七の「けり」に壮大さがありそれは百日紅こそふさわしい。この一物もすばらしい。

初春俳句バトルin田無

2019-11-12 03:14:22 | 文化


天地わたるが座長の「ひこばえ句会」と「いやさか句会」は、2020年1月11日(土)13:00~14:30、田無公民館視聴覚室(3階)において、「初春俳句バトルin田無」を開催します。



はじめは人数が増えて二つに分かれた座員の交流を意図した企画ですが次第によその方々が選手として審査員として参加を希望するようになりました。「ほがらかに、おおらかに」をモットーに万人に開かれた句会をめざしてきた当句会はこれを歓迎し、俳句好きの多くの人たちが参加できる遊びに発展させました。バトルの中身は高校生たちの「俳句甲子園」とほぼ同じです。
見物は無料で質疑応答の時間を設けます。どなたも発言して参加できます。
選手と審査員、スタッフは以下の通り。


【選手】
           ひこばえ    いやさか
1・先鋒(年新た)   磯部薫子 VS 中川美恵子
2・次鋒(成人の日)  木村弘子 VS 大槻正成
3・中堅(日脚伸ぶ)  飯嶋玲人 VS 押田善五郎
4・副将(雪)     中川 郁 VS 遠藤奈美子
5・大将(嫁が君)   伊勢史朗 VS 山﨑龍子

【審査員】
中田芙美(鷹)、遠藤保資(鷹)、濱田ふゆ(鷹)、木村定生(秋草)、松田ひろむ(鷗座)

【会場】
久保直己、長沼光子

【司会】
天地わたる

会場は50名の観衆を収容できます。多くの方が初春の土曜日を楽しんでもらいたいと思います。なお、バトル後は懇親会を催します。選手、審査員、見物入り乱れてのバトルロイヤルです。

ストリップの灯を絶やすな

2019-11-10 07:29:27 | 文化

「あわらミュージック」に出演の踊子たち


きのう、ひこばえ句会に笑いを取ろうと
雪国やストリップショー湯の如く

を出したら零点だった。絶妙の比喩だと思ったのだが、男性が3人いて誰も採らないとはおもしろくない。
平成12年の冬、ぼくは鷹のある女流にせがまれて新宿へストリップショーを見に行った。そのとき、
嚔せりストリップショー見る女
踊子の小腹鳴りたる霜夜かな
ストリッパー挑発の目や毛皮脱ぐ

と作った。湘子の時代で、嚔せりと踊子は選に入った。連れて行った女流はかなり美形だったので見物の目が一瞬ストリッパーから連れに注がれ、ぼくは得意だった。女と裸の女を見るというのは異様に盛り上がった。
そのとき雪国へいつかストリップショーを見に行こうと思い、憧れを詠んだのである。
句は零点だったが雪国へストリップショーを見に行く衝動がつのる。

そこで全国のストリップ小屋の所在を調べたら、廃業情報ばかり。なんと北の大都市札幌の劇場も廃業している。八戸はもっとはやく廃業し、船橋の若松劇場も6年前に廃業している。
若松劇場は新宿のようにモデル系の20代が主流ではなく若干年を食った女性が登場した。体の線の美しさは劣るものの武器は喋りであった。年の功で話に味があり女は裸のみが魅力ではないと感じさせてくれたいい小屋である。
それも消えたとは残念である。ストリップショーも絶滅危惧種である。
辿りついたのが、福井県あわら市温泉の「芦原ミュージック劇場」、通称「あわらミュージック」である。ここは「あわらミュージック」でフェイスブックに出している。

ここを取材したトレンドさんの記事を紹介する(2010年05月18日)。


山代温泉(石川県)にあった山代劇場が閉館し、いまや北陸唯一ストリップ劇場になってしまった~「あわらミュージック」(福井県芦原温泉)へ行ってきた。
 記者が取材に訪れた日も「大崎悠里」「金城ちさと」「山野すみれ」の3人が出演していた。都内にあるストリップ劇場と比較しても、けっして見劣りしない顔ぶれだと思う。
 「あわらミュージック」は“ストリップLOVE”のスピリッツに溢れた劇場だ。
 ロビーの壁にはかつてここの舞台に立ったことがある踊り子たちの写真が100枚以上貼られている。雅麗華、十三茄津子、千堂あやか、宝京子…といった往年の大スターから現役の踊り子さんまでスタッフが撮影した写真だという。ほかでは絶対に見られないような貴重な写真も多い。

 踊り子にとっては「芸に厳しい劇場」というのが一般的な評価だ。かつてのエピソードだが、初日の舞台を見たオーナーから“ダメ出し”を出され、東京に強制送還された踊り子もいたという。
 場内は1階席83席・2階30席とかなり広い。12月の忘年会シーズンに入ると2階席まで客で埋まり、立ち見がでることもある。
 地元福井県のストリップファンだけでなく、中京地区にもあわらミュージックのファンはたくさんいる。

 「あわらミュージック」フェイスブックより

『あわらミュージック』
福井県あわら市温泉3-416、えちぜん鉄道「あわら湯のまち駅」下車。徒歩2分。
入場料4000円。開演7時。


冬は野生果実採取はお休み。
永平寺と冬の海とストリップショーの3本立ての旅はおもしろそう。誰か同行する女流はいないか。

いやさか句会は11月16日(土)

2019-11-09 03:53:37 | 句会

兜太さんの目玉を万象の中へ預けてしまったような物言いがいい。長生きは自分の意思を離れてあるといった放下の心。自分の命は自分のものではないといった心境の眼玉である。
克巳さんの句は、長芋の根を髯に見立てた諧謔が冴える。リアリズムのよき成果。
さて、みなさんの句の出来栄えや如何に。ひこばえ句会と同じ宿題に挑め!

【日時】11月16日(土)13:00~16:00

【会場】都営泉町3丁目アパート集会場(1階、アパートを通り抜けて三角屋根) 
JR中央線・西国分寺駅を南口へ出て約150m




【講師】天地わたる(鷹同人)

【出句数】1~8句

【参加費】1000円

【参加予想人数】6名

なお、ひこばえ句会は本日13時より田無公民館にて行います。