天地わたる手帖

ほがらかに、おおらかに

染色絵画による「川越逍遥」

2019-09-21 05:36:18 | 展覧会


9月23日(月祝)まで川越の服部民俗資料館で「川越逍遥」と題して「渡辺新吉+染色作家五人展」を行っている。それを一昨日見た。
やはりメインの渡辺新吉さんの絵画がユニークであった。
どの絵にも「型染、染色、木綿」と記されているように、これが彼の絵の主要3要素である。

 
制作中の渡辺さんと型紙

型染は、渋柿で塗り固めた渋紙に図柄を切り抜いた型紙の載せ、ヘラで防染糊を塗布。孔から糊が転写される。顔料や染料で色挿しし水で洗うと防染糊が剥がれて図柄が出来するというもの。
筒というのは和紙を渋柿で塗り固めた円錐形の器具。これに入れた防染糊を先端の小さな穴から絞り出すようにして線を描く。型染同様、色挿しした後洗い流すと白い線が現れる。

 

染色というと着物を連想するが渡辺さんの場合、この技法を絵画表現に発展させて新境地を開いている。カンバスになる綿布もきめの細かいものから荒いものまでいろいろ使用。自然染料は絹はだめで綿布、あるいは麻が適するようだ。しぼがある荒い綿布を使用した作品も乙であった。

彼のフェイスブックの名称は「型・筒・ときどき絞り 渡辺新吉」という。型と筒だけでも面倒なのにこれに絞りまで入れる労作に彼は根を詰める。これからどのように作品を深めてゆくか楽しみ。



【渡辺新吉略歴】

1962年 静岡県富士市生れ
1987年 東京造形大学卒業
1990年~ 沖縄へ通い始め、その文化や工芸を学ぶ
1994年~ 麻生工房(小平市)で染色を学ぶ
2000年 麻生工房ともえ会のカリキュラムを修了、現在研究科
2014年 イラステイナーズ所属
東京都西東京市に暮しながら静岡にアトリエ開設準備中