羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

ルパン三世 1

2016-01-08 20:54:05 | 日記
ルーヴル美術館の絵画『モナリザ』に観光客達は感心しきりだったが、その中の一人の髭面の男は「これが世界一とはねぇ」と呆れたように呟いていた。美術館近くの通りではフードを被った絵描きが製作しながら、絵を売っていた。モナリザの模写らしいのもあった。傍を通り掛かったスーツ姿の不二子は男の絵に、振り返った。
「この額でも不服なのか?!」ルーヴル美術館の一室では資産家? らしい男が館長に高額を書き込んだ小切手を差し出し交渉をしていた。「金額の問題では無いのです。貸出しはあり得ません」断る館長。その隣には役人風の男がシラけたような顔で座っており、資産家らしい男の隣には不二子が座っていた。
当座のアジトにルパン、次元、五ェ門がいた。ソファに寝そべり、1ユーロ硬貨を指で弾いて自分で取る次元。「金が無ぇなっ」ルパンに『仕事』を促す次元。「ちょうど俺もな、職場復帰を考えてたとこでな」美術誌を次元に見せるルパン。「こんなもん盗んだ所で、金にしようがねぇだろ?」懐疑的な次元。「それがあるんだよ、なぁ不二子?」アジトに来ていた不二子は自信ありげな顔は見せた。「俺はこいつを頂くぜ?」ルパンが開いた項で、絵画『モナリザ』が微笑んでいた。
夜のルーヴル美術館は物々しい警備で固められた。ルパンから午前0時にモナリザを盗むと予告が出され、銭形が駆け付けていた。「飛んで火に入る夏の虫とは、このことであります」勢い込む銭形。事態は既に公になっており、フランス国民も成り行きを注視していたが、ある種サッカーの試合の予想をするような雰囲気もあった。「文化省のフィリップです」資産家との交渉で館長の隣にいた男も出張ってきた。美術館の責任者でもあるという。銭形は既にルパンが潜んでいる可能性があると、その場にいる全員の変装チェックを行わせたが変装した者は紛れていない。銭形は、
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ルパン三世 2

2016-01-08 20:53:56 | 日記
彫像が多数置かれた別のフロアに移動し、一体の口の部分に穴の空いた像に目を止めた。銭形は笑みを浮かべると、銃のグリップで彫像を殴り付けた。表面が簡単に砕ける彫像! 中にはルパンらしき者が入っていたが、顔の部分のみ像は砕けず、仮面のようになった。「やはりいたかっ!」煙幕弾を使うルパンらしき者。周囲は煙に包まれた。警報が鳴り出す。モナリザの間には異変は起こっていない。「モナリザは絶対に動かすなっ!」下手に動かして『隙』ができるのを嫌う銭形。
外へ逃れたルパンらしき男は不二子のバイクの後ろに飛び乗り、美術館を離れてゆく。パトカーで待ち構えていた銭形は追い始めた。運転する警官は先の道路を封鎖したと言ったが「通路を右に入れ」銭形は回り込みを指示した。トラックの陰にバイクを入れ込む不二子。トラックが横に退くと、ルパンの姿が無い。驚く追っていた残りのパトカーの警官達。不二子は道路を封鎖する前方のパトカーの前でバイクを反転、ウィリーさせて追ってきていたパトカーに突進! 激突寸前で飛び上がり、パトカーを越え、走り去って行った。
ルパンらしき男はすれ違ったトラックの荷台の上に乗っていた。路地裏で飛び降りるルパンらしき男。即座に2台のパトカーが男を挟む形で横付けに路地に急停車した。1台には銭形が乗っていた。銭形が手錠を出すと手錠を精確に速射して弾いてくるルパンらしき男。「この銃声?」何か気付いた銭形。ルパンらしき男はワイヤーで近くの建物の屋上に跳び上がった。「『ヤツ』は任せた!」銭形は突然パトカーに乗って一人で走り去り、他の警官達を困惑させた。
無線でルパンの確保の知らせを聞くがパトカーを走らせ続ける銭形。夜空には『気球』が飛んでいた。ルパンらしき男を捕らえた警官達が仮面になっていた彫像の顔面を剥がすと、仮面の下の覆面の一部も剥がれ、覗いた顎髭の口元がニヤリと笑った。ピラミッド、次元、追い付き、五ェ門、逃れ、0時、盗まれてない、インタビュー、男、踊らされている
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ルパン三世 3

2016-01-08 20:53:47 | 日記
覗いた顎髭の口元がニヤリと笑った。たどり着き、ルーヴルピラミッドに走り込んできた銭形。ピラミッドの頂点には絵と思われる物をケースに入れて背負った男がピラミッドに近付く気球に手を振っていた。ルパンだった。「こいつは身代わりってことか?」「そういうこと」組敷かれていた口髭の男はあっさり身を起こし、警官達を軽く叩きのめした。「アイツみてぇに上手くはいかねぇが」覆面をすべて剥がす口髭の男。次元だった。
滑るピラミッドを素手で上ってゆく銭形。「あらら、とっつぁん。思ったより早かったんだねぇ」気球に乗り込もうとしていたルパン。「おのれぇっ! たぁっ!!」銭形はピラミッドの頂点から飛び去ろうとしていたルパンの気球の縄梯子の端に飛び付いた。「わぁっ?!」軽く焦るルパン。他の警官達まで梯子に取り付いた銭形に取り付き出す。「あ~りゃりゃあ」ルパンが気球から見下ろしていると、乗っていた気球から五ェ門が飛び降り、刀を抜いた! 縄梯子を切る五ェ門。「わぁあああっ?!」落下してルーヴルピラミッドを滑ってゆく銭形と警官達。五ェ門は素早くピラミッドを駆け下り去った。「悪ぃな、とっつぁん。もう監獄はこりごりだよぉっ!」ルパンも気球で去って行った。時計は午前0時を差し、美術館の周囲に時報が響く。
飛び去る気球を見送るしかない銭形だったが「銭形警部、モナリザは無事であります!」フランス警察の現場指揮者が伝えてきた。騒動中、美術館から動かさなかった『モナリザ』に、誰も何も手を出していなかった。銭形はモナリザを守った警官としてメディアで誉め讃えられ、フィリップにも礼を言われたが「こういう時は決まって、俺がやつの掌の上にある時です」銭形はこの件の解決を信じてはいなかった。
「なるほど、やはりあの噂は本当だったということか」
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ルパン三世 4

2016-01-08 20:53:38 | 日記
ルパンは次元と共に『モナリザ』の絵を貸出しを断られていた資産家? の男の元に持ち込んでいた。真相を語るルパン、フィリップは私腹を肥やす為に禁じられている『モナリザ』の貸出しを行っており、ルパンが忍び込んだ夜、展示されていた絵も偽物。貸出しから戻ってはいた『本物』は金庫に隠されていた。騒動時、万一のことを恐れたフィリップは金庫に確認にゆき、金庫を開けたところでルパンに潜んでいたルパンにスタンガンを当てられ昏倒。ルパンはまんまと『本物』を手に入れていた。
「500万ユーロでどうだ?」持ち掛けるルパン。「モナリザを取り戻すことは我々イタリア人の夢だった。これが『本物』なら悪くない条件だ」「ルパン印の本物だぜぇ? ことがことだけに、足が付くことも無ぇ。お安くしとくぜ?」ルパンは軽く言ったが男の後ろに控えていた男達が銃を構えた。ルパン達もソファから素早く腰を上げた。「私の秘書だったあの女と、君が繋がっているという情報を掴んでいてね。『本物』ならば何も問題ないさ」男は鑑定人を部屋に招き入れた。「鑑定するまでも無い。何せ美術館にあるモナリザを鑑定してきたばかりでな」「何?」「あのアマ、ハメやがったっ!」ルパンは戸惑い、次元は苛立ったが、後の祭り。激しく銃撃されながら、ルパンと次元は男の屋敷から慌てて逃げて行った。二人が去ると、鑑定人は残された絵を、改めて手に取り「ああっ」驚愕していた。
ルーヴル美術館で『本物』だったモナリザを睨んでいる銭形。「俺にも刑事の勘というものがあるっ」一連の事の流れそのものにあくまで違和感を抱く銭形。「また峰不二子か」アジトで淡々と呆れる五ェ門。ルパンと次元も戻っていた。不二子がフィリップにリークし、金庫の『本物』を『偽物』にすり替えたと次元を考えていた。
     5に続く

ルパン三世 5

2016-01-08 20:53:26 | 日記
「こんなくだれねぇモンまで買い込みやがってよっ」次元は付箋の貼られた豪邸の載った不動産雑誌を取り出した。「どうしてそれを?!」少し慌てるルパン。「(美術館の)絵はニセモンだ! 俺の目が間違う訳が無ぇっ!」「強情な野郎だなぁ」「確かめに行こうじゃねぇかっ。俺の目が間違ってるかどうか、一つ賭けようぜ? 次元。そいつをなっ」ルパンは不敵に豪邸の記事を示した。
不二子は次元の読み通り、フィリップの屋敷にいた。「スタンガンとは思いの外、痛いものだな」 言いながらも余裕のフィリップ。「『彼女』、今度はどこに行くの?」また貸出されるらしいモナリザはフィリップの屋敷の壁に掛けられていた。「見る目の無い大衆の前で微笑んでいるなんて、勿体無いじゃないか?」「マネージャー気取りね?」フィリップは政界進出の為に金を貯めていた。迎えの強面の男に呼ばれると不二子に小切手を差し出すフィリップは合わせて不二子を誘ったが「こんな額で、私を買おうなんて、冗談でしょ?」小切手だけ取り、不二子は去り、それを深追いするでもないフィリップ。
その後で、手下を連れ路地裏でアラブ系の富豪に絵の受け渡しに臨むフィリップ。金と絵を同時に交換する双方。「どうですか? ボス」アラブ富豪のお付きの者はモナリザを富豪に見せた。「これは、本物だ!」驚く富豪。「へへっ、ほれ見ろっ、端からこうすりゃよかったんだよ?」急にぞんざいな口調になるお付きの者。悔しがる富豪。富豪側のアタッシュケースを受け取ったフィリップの手下の方は突然倒れた。「そいつの解除ボタンには、麻酔針が仕込んである。ブツを動かしゃ、必ず隙が生まれるんだよ、フィリップ」「欲をかいたな」富豪とお付きの者は変装を解いた。当然ルパンと次元!「ルパン?!」「取り敢えず、こいつは頂いていくぜぇ?」逃げる二人。「気を落とすなよ?」
     6に続く