草津は本当に久しぶりです。
15~6年まえだったか、友人とこの「高松(旅館)」にも泊まったことがあります。
たしかその時はこの宿にもう来ることはないな、と思っていました。なぜかというと、案内されたのが確か色も褪せた6畳くらいの和室で、エアコンもなく、食事も寂しかったのを不満に感じたからだと思います。内湯は大きかったのですが、無理やりはめ込んだような露天風呂も落ち着かなかった。
その後、自分も年を経てですね、そういう昭和を残す旅館も良いかもしれないと思うようになり、郷愁とでもいうんでしょうかね、むしろそういう宿に泊まりたくなって今回予約しました。
そもそも草津は夏でもエアコンはそれほど暑くはならないのでエアコンがついてないのが普通だったようです。
都心部の夏は暑いというより、熱いと言った方がぴったりするくらいですが、9月に入ってしまったけれどやはり自然の暑さを草津の宿で、と今回は思っていました。
しかし、昔のままであるわけもないですよね。今回「高松(旅館)」はさすがに冷房完備(ヤングインは冷房なし)で、部屋もきれいになっていて、露天風呂もすっかり良くなっていました。
今回は一人部屋(四畳半の眺望なし条件)で狭いことは狭いですけどね。
ま、雨ばかりで暑くはならなかったので部屋の冷房はいずれにしろ不要でした。
ただそう言った変化もあるのですが、それ以上に他の旅館との比較ではなくこの宿単体で見て言えば、星5つ付けたいほど満足しました。
一体なにが良かったんだろうか?と考えてみました。
一言で云えば、きわめて庶民的で、まじめに客を受け入れているという印象でしょうか。
もちろん古くて100室を超える大型旅館で、トイレにしても男性用はロビーではなく2階へ上がらなければならないなど施設的な問題はあるでしょうしまた手違いや不手際もあるでしょう。
ただそういう不備を予算の許す限り手の届く範囲で少しづつ良くしていこうというような意志が感じられるのです。
エレベーターの傍に消火器がおいてあるのですが、これを和紙に毛筆で消火器と書いてくるみ置いてあります。高級旅館ではないので、バランス的にどうかなとは思いますが、なにかしら自分たちの営む宿に対する温かい気持ちが伝わってきます。この宿のように低廉な価格で客を受け入れる大型旅館ではなかなかこういうところに手をかけないのではないでしょうか。
夕食にしても限られた予算で組み立てるのは難しいと思いますけれど、テーブルにセットされたものは懐石風にして品数も多く、ご飯やみそ汁などについては自分でよそいに行くようなハーフバイキング的なスタイルで、その先にすこし華やかに見えるように鯉の洗いを置いてみたりする。味はともかく、というか、値段以上のものは絶対にサービスされないという当たり前のことから考えればかなり頑張っているのではないかと思います。
おそらく料理担当の方だと思いますが、食堂へ出てきてお客さんの反応もみているようでした。
残念ながらネットでの料理の評価をみると低めですが、頑張ってもらいたいと思います。
たしかに料理については大事だとは思いますが、そもそも宿泊先を草津に選んで料理を最優先するようなお客さんはあまりいないのではないんじゃないかな。
草津はまず「温泉」ですよね。自分は、レベルの高い料理を出されても困る、と思う。
温泉を第一に考えたときに、できるだけ「温泉」を楽しませるようにして、その邪魔をしない宿。その点がこの宿がアドバンテージでもあるのではないかと思います。
なので、設備が古かったり、ラッカーが剥がれているようなところが少しあっても全く気になりませんでした。
ただ、気にする方はすると思いますが、部屋がきれいで料理が美味しくて、って、じゃあどこにします?
奈良屋?草津ホテル?ての字や?大坂屋?・・・せっかく湯畑を中心に草津が広がっているのに、なんかその宿に隔離される気分になりませんか?好みでしょうけど。
高松(旅館)は外(湯畑や共同浴場など)との敷居が心理的にも低く宿の出入りがしやすかったです。
で、ここの温泉ですが、湯畑からの引湯で、源泉かけ流し、塩素消毒なしなので安心して入れます。
当然清掃が長くなるのは当たりまえのことですが、清掃終了後に一番風呂にはいるのはやはり気持ちがいいですね。露天については五右衛門風呂、小さくした岩風呂、木枠の風呂があるのですが、木枠の大きめの浴槽は温度をすこし下げて温度も変えているようです。浴槽のバランスも昔にくらべるとかなり良くなっています。
そして自分的には最も評価の高いのが、この宿の位置。
湯畑から300mほどですが、比較的静かで周囲にも共同浴場が見つけただけでも5つあります。近い。
なおかつ入浴施設の「大滝の湯」もすぐそば。
もちろん、西の河原温泉、御座の湯も徒歩圏内。
食堂も292号沿いの「みやたや食堂(定食)」やちょっと登ったところにある「どんぐり(洋食)」が美味しかった。
「草津熱帯園」も大滝の湯の先にあって近いので帰り際に寄ってきたので、自分的には絶好のロケーションでした。
そしてこの高松本館から100mほど先に「ヤングイン高松」というのがあるのですが、先にこちらに2泊しました。
当然本館の温泉にも無料で入れますし、ロケーションも絶好。
ただ、覚悟のいる玄関ではあります。
写真で見た限りでは、料金も料金なので部屋がベット以外にスペースは無さそうな写真だったし心の準備は出来ていたのですが、実際はベッド手前に畳2畳ほどはスペースがあり、ちょっとしたワンルームマンションぽかったです。
部屋に入った瞬間、おおーっと気分高揚。アジアの宿に飛び込みで入った旅行感がありました。しかも日本語通じるし!
まあ当たり前なんですど。
近くに煮川の湯の共同浴場があり、ここがお気に入り。熱いですよ。
同じ煮川の湯を引湯している大滝の湯の合わせ湯のうち、一番熱いのが47度で、それよりも熱い感じがしますので、おそらく48度くらい。
お湯の中で「1人そろって3分」つまり180数を数えたんですが、それ以上は火傷するかも、と思いました。
時間湯にもトライしようと思っていたのですが、時間湯は50度から湯もみで少し下げてもたぶん49度ちょっと。
心が折れ、時間湯はパス。
でもいつかはクラウ・・じゃなくて、いつかは時間湯したい。
宿のタイプがタイプだけに自宅から外にでるような気分になっていたのですが、できれば自炊できるように電子レンジがほしいなぁ。
車で来て持ち込んだらどうだろうか、とか思いました。
この宿もプライベート感たっぷりで満足でした。