臨済宗南禅寺派圓通寺

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信 仰

2022-08-02 | 研修

〇2015年の9月、福岡大学医学部の学生さん方が弊寺で研修会をしました。彼らとのディスカッションの中で次の質問がありました。「日本人の若者は信仰心がないといわれますが、その点はいかがですか」
私はこのように答えました。
「西洋の方を紹介されると、彼らは名前と職業の次に「I have no religion 私は無神論者です」という人が多いのです。社会的地位の高い人ほどそのように言われます。あるいは逆に「あなたはどうして神を信じないのですか」という人がおられます。宗教を信じる人とそうでない人ははっきりしているのが西洋人です。

〇私が感じるところ日本人には無仏論者はいません。何故かと言えば、自分は宗教心がないといいながらも正月には三社参りをするし、お盆には実家の墓参りにいきます。子供の七五三にお宮参りをするし、親戚の仏式葬儀に参列し手をあわせます。私たちは誰でも「人のお役にたちたい」という気持ちを持っています。この意識はかわっていません。これは宗教心といって間違いありません」

〇「信仰、言葉の意味は、相手が正しいと思って疑わないことです。仏教では「仏を信じた結果、心が澄んで清らかになること」です。仏陀はこれをどのように説かれたのでしょうか。スリランカに伝えられた上座部仏教の経典から紹介します。

人は信仰によって激流を渡り、精励によって海を渡る。勤勉によって苦しみを超え、智慧によって全く清らかとなる。『スッタニパータ』184節

〇仏教には狂信的あるいは盲信的な信仰はありません。仏陀の時代も神がかったような信仰をもつ人があったと思われますが、仏教経典にはそのようなことを勧める内容は皆無といわれています。私たち禅宗では理性をもってこころ静かに手をあわせることを勧めます。
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