レジリエンス・エンジニアリング(弾力性組織工学)ってのがある。最近10年の議論。航空・運輸・医療など、生命の危険がある業界での最先端の安全工学。
これを私が組織論一般にあてはめて「弾力性組織工学」って意訳している。レジリエンス・エンジニアリングって言葉は広く使われているが、「弾力性組織工学」という訳語を当てはめたのは私がオリジナル。
そのレジリエンス・エンジニアリング(弾力性組織工学)の第一人者の北村正晴先生(東北大学名誉教授)と20分の架電をさせていただいた。私の『インテグリティ ーコンプライアンスを超える組織論』(中央経済社)をお贈りしたら、読んでいただき、詳細なコメントをいただいた。
基本は、レジリエンス・エンジニアリング(弾力性組織工学)については、私が感じていたとおりの理解でよかった。以下はお話したことを備忘のため:
■ レジリエンス・エンジニアリング(弾力性組織工学)はだいぶコンプライアンス/インテグリティに応用できる。
■ SafetyI/SafetyIIの区別と、コンプライアンス/インテグリティの区別は、非常に整合性がある。
■ 二項対立・二元論ではなく、もう一段上に抽象化して、いろんなものを潰していく。ヘーゲルの弁証法の螺旋的発展のイメージ。
■ 性悪説のもぐら叩きにはロクなことがない。やった人間をバカ呼ばわりしてLocal optimum(局所最適)にしてもダメ。全社に共有しないと。
■ 心理的安全性ーこんな極めて当たり前のことを今頃言い出すのがおかしい。それだけ現場が疲弊して閉塞感があるということ。
■ Googleのプロジェクトアリストテレスで生まれた「心理的安全性」…日本人より自己主張する欧米人でさえこういうことを言っている → それだけ欧米でも心理的安全性が必要とされている → 欧米人の上司はゴリゴリの強いパーソナリティの人が君臨していて、部下は疲弊している
■ 「Mustのコンプライアンス、Betterのインテグリティ」もそのとおり
■ SafetyIとSafetyIIの両方必要、という人もいるが、SafetyIIやれば済む。「インテグリティあればコンプライアンスは不要」と同じ。大道(インテグリティ)廃れて仁義(コンプライアンス)あり
■ 「インテグリティが伝染する」というのもそのとおり。
■ 聖徳太子の「和をもって尊しとなす」も、議論を尽くしたことが前提。議論を尽くした上で、出された決定には和をもって従う、ということ。
■ 原子力発電も… 社会全体と対話するという姿勢に欠けていた。
■ Debateではなく、Dialogueですね
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レジリエンス・エンジニアリング(弾力性組織工学)の第一人者の北村先生に、「コンプライアンス/インテグリティの違いがSafetyII/SafetyIIに当てはまる」とお伺いして、自信になりました!