塚本徳臣先生のこと

塚本ノリチカ。昭和４９年２月生まれ。１２年前の世界チャンピオン，それ以来「天才」と言われ空手会を牽引するカリスマ。２年前までは渋谷道場責任者，僕の空手の師匠です。

柏木先輩のブログで世界大会の宣伝をしていたから，俺もしなきゃと思いつつ忙しさにかまけて紹介が遅れましたが，今週末の土日，千駄ヶ谷の東京体育館で４年に一度の世界大会が開催されます。

今回の世界大会はヤバい。最高に面白い。優勝候補最右翼の塚本先生を初め，魔術師ヴァレリーがどんな技を魅せるかなど，見所満載。空手に興味がある方はもちろん，空手なんか見たことないよ，って方も是非東京体育館に足を運んでみてください。

試合そのものももちろん，素人目には「演武」が結構面白いと思います。アクロバット的な技を披露するものですが，僕は４年前女性を誘って見に行ったら，彼女は演武に一番興奮していました，「カッコいい～☆」って。

さて，その世界大会に出場される我らが塚本先生ですが，どんだけカリスマかというと…まずは技のすごさ。ブラジリアンキック＝上段変則回し蹴りが余りにも早くて見えないから，昔テレビに出演した際にウッチャンナンチャンのナンチャンから「マッハ蹴り」と命名されたとか，新技を次々に開発してそれが世界中に流行るとか（足指先での前蹴り，背足蹴り，縦回転胴廻しなど），枚挙に暇がない。塚本先生の試合のときだけ，試合会場がシ～ンと静まり返る。みな瞬き一つしないで塚本先生の一挙手一投足を見守っている。華麗な技を見過ごしてはなるまい，と。

ま，そんなことは僕以外の人でも書けるので，ここでは僕しか書けない塚本先生のエピソードを紹介します。僕がみなさんにお伝えしたいのは，塚本先生の「優しさ」。この優しさはハンパじゃない。たぶん塚本先生は世界で一番強く，そして世界で一番優しい人でもあるのだと思う。

今までここでも紹介しましたが，僕が７年前に渋谷道場に入門したとき，「中山さんこの辺で働いていらっしゃいますよね，見かけたことがあります。」と声を掛けられたのを皮切りに，帯の結び方を訊いたらすごく丁寧に教えてくれて，「また分かんなくなったらいつでも訊いてくださいね。」と最高の笑顔で対応してくれたこと，稽古に行く度に，道場を去るときには「また来てね☆」と表情豊かに声を掛けてくれること…

要するに，会う度に何か一つ「優しさ／心配り」を与えてくれる。一道場生の僕に対してそうであったということは，道場生全員，いや会う人全員に対して和顔愛語
で接しているんだなあと思うと，脱帽するばかりである。「謦咳に接する」ことができて幸せと思える人は塚本先生以外には存在しない。僕はそれくらい尊敬している。

もう一つ具体的なエピソード。先日道場生の直也君の結婚式の二次会の際に，僕が買い物後両手に荷物を抱えて駆けつけたら，会場は満員で立錐の余地もなく大盛況。外（公道）から見ていた塚本先生に挨拶したら，「中入れよ，オレが荷物見ててやるから。」　…。世界チャンピオンの空手の師匠に自分の荷物を見てて（見張ってて）もらうなんておこがましい…。そういう僕が恐縮してしまうような優しい心配りをしてくれる。会う度にそういう心遣いをしてくれる。そういう人です，塚本先生は。

塚本先生を知る方は，きっとこの稿が誇張でもなんでもなく，むしろ言葉足らずで「塚本先生の素晴らしさはそんなモンじゃねーよ」「一年に数回しか会わないクセに知ったかするんじゃねーよ」と思ってくださっていると思います。すいません，僕の筆の力不足で。でも，一年に数回会うか会わないかの僕にさえ，塚本先生はすごい気を遣ってくれる。「偉大な人格」とはこういうことを言うのだろう。

ま，とにかく今週末，千駄ヶ谷へ足を運びましょう。４年に一度ですから今週末を逃すと世界大会は４年後になります。カリスマ塚本先生の勇姿はその時拝めるかどうか…（一般に空手家は２０代で引退する，塚本先生は４年後は３７歳になってしまう）。僕の知人の方で興味がある方は僕に連絡をください。僕と一緒に観戦しましょう。僕が解説をして差し上げますから。