最近好きな漢籍の一節が、「人、いずくんぞ隠さんや」。
人間は、どうして隠す/ごまかすことができるだろうか、できるはずがない
って意味です。
■ 論語
その以(な)す所を視、その由る所を観、その安んずる所を察すれば、人焉くんぞ廋さんや、人焉くんぞ廋さんや。
…孔子が、こうやって、2回も、リフレインして、「人いずくんぞ隠さんや」を繰り返しています。もう「絶対に隠すことはできない」という、情感を込めた表現です。
■ 孟子
その言を聴きて、その眸子を観れば、人焉んぞ瘦さんや。
…孔子の言ったことをなぞって、さらに発展させている感じですね。
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私の仕事に引き付けて言えば、
アマチュアを相手にした仕事ではなくて、プロの仕事をしていれば、「いずくんぞ隠さんや」、見る人が見れば分かる、だから「常に見られている」というプロ意識を高めましょう、
って文脈で使えます。
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もっと一般化して言えば、
いい人間か駄目な人間かは、見る人が見れば分かる
って解釈することができます。
また、「今は世間からチヤホヤされていても、30年後とか死後には忘れられている」ような俗物に対しても、人、いずくんぞ隠さんや。君の化けの皮はそのうち剥がれるよ、という文脈でも使えます。
人、いずくんぞ隠さんや。
いい言葉です。