12年5カ月の監禁被害者の後藤徹さんが、最高裁で勝ったのに、鈴木エイトに「ひきこもり」呼ばわりされた名誉毀損裁判。
1月31日の地裁判決では後藤徹氏勝利。エイト氏は負けた。
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2023年7月30日の二世シンポジウムで、福田ますみさんから「後藤さんを”引きこもり”というのはなぜ」と問われたエイト氏が、「どうでもいい」と言った、あの事件です。
この「どうでもいい」発言の2日後、エイト氏はX(Twitter)でダメ押し的に「どうでもいい」を説明した。
「統一教会は組織的な正体隠し勧誘から伝道目的を隠したまま一般市民を偽装教化施設に通わせ、思考の枠組みを変容させ信者を"生産"してきた。そんな反社会的団体からの脱会を望む家族と当該信者の話し合いを教団側が『拉致監禁!強制棄教だ!』と被害者面でアピールしているだけ。」
「そんな反社会的団体による『被害者アピール』は取り上げる価値もなく『どうでもいい』こと。一般市民の信教の自由(信仰しない自由)を侵害してきた教団が家族からの取り組みを「強制棄教」と非難すること自体がおかしなこと。」
このエイト発言部分については、地裁判決は「教団のことであって、後藤のことではない」と言って、我々原告後藤さんの請求を認めなかった。
その点について、我々後藤チームが裁判所に提出した書面の要旨を、ご案内します。
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後藤氏側は、この問題発言(「教団側の拉致監禁の被害者面アピールはどうでもいい」という内容)が、教団ではなく後藤氏個人に言及したと認識されること(同定可能性)につき、以下のとおり主張する。
第1 総論
炎上した「どうでもいい」発言を急ぎ弁明したという文脈から、この問題発言(被害者アピールはどうでもいい)において拉致監禁被害の「被害者アピール」をしているのは、教団ではなく、後藤氏であると一般に認識される。
第2 後藤氏を対象とした発言
地裁判決は、この問題発言が「本件教団を批判するものでこそあれ、殊更に原告後藤を貶めたり揶揄したりする表現ではない」としたことを理由に、後藤氏の社会的評価の低下を否定したものの、誤っている。
1 発言の経緯 -炎上したシンポジウム発言「どうでもいい」の釈明
この問題発言(被害者アピールはどうでもいい)は、その2日前の「どうでもいい」発言が炎上したため、その意味を丁寧に釈明したものである。
すなわち、12年5か月監禁された後藤氏を「引きこもり」呼ばわりする理由を問われたエイト氏が「どうでもいい」と不誠実に言い捨てたため、世間から「ジャーナリスト失格」の無責任な回答と非難された。
そこで、急いでその「どうでもいい」発言の弁明を行ったのがこの問題発言である。
この一連の流れからすると、この問題発言を閲覧した者が、「被害者面でアピール」していることが「どうでもいい」と揶揄された対象は、教団ではなく後藤氏だと認識するのが自然である。
2 一般人の認識
実際、この問題発言をX(Twitter)で閲覧した一般人の多くも、この発言が教団ではなく後藤氏による監禁被害の訴えを意味するものと認識した。
以下にX閲覧者による投稿の一部を記載する。
- 後藤徹さんのことを「被害者面」とかいうのはまずいって。
- 後藤徹氏に対して「どうでもいい」「被害者面でアピール」と言い放つ鈴木エイト氏
- 今回はより具体的に後藤徹さんの話やろ。後藤徹さんの事例が「被害者アピール」なら被害二世も被害アピールになっちゃうけど大丈夫??
- 人格者である後藤徹さんに被害者アピールとは本当に悲しいです。
- 12年5ヶ月監禁されて、脱会説得を受けた被害者に対して、「被害者面でアピール」ですからね。
- 後藤徹氏においては被害者であることは事実。
- 後藤徹さんは拉致監禁に対して最高裁で勝訴してますよ。
- 後藤さんに訴えられても知らないぞ。
- 「当該信者」とは12年も監禁された後藤徹さんのことでしょうか。
3 後藤氏の二次被害
このように、発言経緯及び一般人の反応から、この問題発言が、教団ではなく後藤氏本人を相手にしたことは、一般人の普通の注意と読み方を基準にして明白である。
実際、12年5か月の拉致監禁被害者の後藤氏自身も、この問題発言が自己を侮辱する発言と受け取り、甚大な二次被害を被った。
この問題発言の翌日に後藤氏がエイト氏に宛てて示した文書からも、問題発言により後藤氏が「我々は人間ではないのか?」と問いかけるほど大きな精神的被害を被ったことがうかがえる。
以下はこの後藤氏によるエイト氏宛ての文書の一部である。
鈴木エイト氏よ
あなたは、家庭連合の信者が拉致監禁、脱会強要の被害を受け死ぬほど苦しんでも、それは「取り上げる価値のない『どうでもいい』こと」だと言うのですね。
さらに、我々が必死に拉致監禁被害を訴えても「被害者面でアピールしているだけ」だと言うのですね。
鈴木エイト氏よ
我々家庭連合信徒は人間ではないのか?
我々の頭の上だけ日本国憲法が施行されないのか? (中略)
「どうでもいいこと」では決してありません。
4 文理解釈 -教団「側」及び「当該信者」は後藤氏本人
この問題発言中の教団「側」に後藤氏を含むと一般に解し得ることは、地裁で出した書面のとおりである。
それに加え、この問題発言の
そんな反社会的団体からの脱会を望む家族と当該信者の話し合いを教団側が「拉致監禁!強制棄教だ!」と被害者面でアピールしているだけ
に含まれる「当該信者」も、後藤氏を「引きこもり」呼ばわりした真意を問われてエイト氏が二度も「どうでもいい」と開き直った一連の発言の文脈から、後藤氏を指すものとしか考えられない。
第3 結論
以上のとおり、この問題発言が「殊更に原告後藤を貶めたり揶揄したりする表現ではない」ことを理由に後藤氏の社会的評価の低下を否定する地裁判決には、首肯できない。
発言自体ではなく、一般の読者の普通の読み方と注意を基準とすれば、この問題発言が、拉致監禁の被害者アピールをしたのが教団というよりはむしろ後藤氏であるとして認識される。
したがって、この発言により後藤氏の社会的評価は大きく低下した。
以上