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神田青年館と労働組合、泥濘(ぬかるみ)と草履!

2009年05月25日 | Weblog
■悪路の東京、泥濘の神田地域!
 明治時代のお雇い教師ジョサイア・コンドルが設計し、今に残る旧三井邸(綱町三井倶楽部、東京・三田)と旧島津邸(清泉女子大、東京・五反田)について、20日のブログに掲載しました。
 彼の建築物の多くは関東大震災、空襲、老朽化などで既に焼失、解体されていますが、今も歴史に残るエピソードが伝えられている建物もあります。その一つが「神田の青年館」と呼ばれた東京YMCAの基督教徒青年会館(東京・神田美土代町)です。
 詳細は略しますが、この神田青年館は明治・大正の日本の労働運動、社会主義運動(当時は無産政党運動と呼ばれていた)の活動拠点として記憶されています。神田青年館には1000名を超える収容人員を誇る講堂があり、ここでしばしば労働組合などの演説会が開かれていたからです。特に有名なのは高野房太郎、片山潜らが組織した労働組合期成会(明治30年)が主催した演説会、談話会です。
 ところで労働組合期成会の演説会記録を読んで興味深いのは、草履代が突出していることです。この頃、東京の悪路は有名。さらに青年会館のあった地域は小川町低地とよばれ、雨が降るとひどい泥濘になったようです。また、当時の労働者の多くが下駄履きだったため、そのまま洋式講堂に入ることが許されず、草履に履き替えていたからです。
 それにしても演説会全費用の3分の1が草履代などの下足関係費用(二村一夫『高野房太郎とその時代』)とは、当時の集会は「足が出る」ことが多かったのでしょう。
                                    以上