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デ某の「ひょっこりポンポン山」

腎がんのメモリー、海外旅行記、吾輩も猫である、人生の棚卸しなど。

Time To Say Goodbye (腎がんのメモリー46)

2017-10-13 18:29:13 | 腎ガンのメモリー
 樹々も花々も空も雲も山も川も・・・自然界とともに街も人々の装いも秋めいてまいりました。秋を愛する人はこころ深き人・・・音楽に絵に こころ寄せ こころ奪われる季節。でも 時に こころ病み こころ奪われることも・・・

    
                          由良川畔(京都府和知)・・・以下同じ

 腎がんの術後6年検診の際、眼の下の腫瘍について皮膚科を紹介され、「悪性ではなく脂肪性の腫瘤です」と診断されました。その後、切除して貰うため電話で予約すると 「医師の指定は?」と。前回と同じ先生をお願いし暫く待った後、「カルテに、次回は別の医師が診るとの指示があります」と言われました。

 当日、指定された診察室の医師名を検索、皮膚科の十名余の医師のうち悪性腫瘍の専門医2名のうちのお一人でした。呼ばれて入ると「取り敢えず生検させて下さい」とのことでした。私「前回、悪性ではないと伺いましたが・・・」。医師「その可能性は高いですが、別の可能性もありますので念のため・・・」の由。


 処置室で若い医師から生検の説明を受け、承諾書に署名し腫瘍の一部を切除して貰いました。意外にも、針で縫うほどしっかり!切除されました。「良性であればここ(皮膚科)で液体窒素で治療。切除を希望されるなら院内の形成外科を紹介します。悪性の場合は治療について改めて相談」とのことでした。

    

 一週間後、処置室に呼ばれ抜糸の後「治療方針については〇〇先生から説明がありますので暫くお待ち下さい」。その時点で覚悟しました、「悪性ってことか・・・」と。診察室の前で僅か2~3分も待つことなく「〇〇さん、お入り下さい」。医師自ら呼びにこられ「やっぱりなぁ」と愈々!覚悟を決めました。

 「結論から言えば脂漏性角化症、良性です」。引いてた血がふっと上に! 「ですので治療はここではしません。紹介しますので希望があれば仰って下さい」。私「ここで治療されると聞いていましたし、そのつもりで来ているのですが・・・」。医師「医大はそういうところではありません」。ピシャリ!でした。

 「病診連携」は確かに良いシステムだと思います。そうした棲み分けは必要でしょう。しかし良性と判った時点で「軽症の患者は患者のうちに入らない」と言わんばかりの対応でした。良性であったことに感謝すべきで、たらたら文句を言うのはゼイタクってことかなぁと思いつつも、釈然としませんでした。


    

 そんな時、NHK「ありのままの最期~末期がん看取り医師・・・死までの450日」を視ました。同じ病院、同じ主治医の腎がん友ピンさんから「機会があればぜひ」と奨められた番組の再放送(8日夕)です。多くの末期がん患者を看取った医師であり僧侶である田中雅博さんの末期がん判明から亡くなるまでの記録です。

    

 冒頭、田中さんは「死んで葬式するまで撮ったらいい」と穏やかに語ります。多くの末期がん患者さんを看取り学んだ覚悟が窺えました。淡々と医師の仕事にも僧侶としての法要にも臨む田中さんも、撮影開始から1年を過ぎ急激に体調が悪化します。そんな田中さんを支えるのは医師である妻の貞雅さんでした。

 田中さんは、予め「蘇生措置拒否」と「持続的沈静」を貞雅さんに告げていました。しかし亡くなる1~2月前から本来の田中さんらしくない言動が現れます。取材スタッフが「撮っていいものか」迷っていると、貞雅さんは「のたうちまわる事も取り乱す事も分かって取材を受けているはずです」と言います。


    

 「寝かせて下さい」「眠らせて下さい」と言う田中さんに「まだ持続的沈静には早いですよ」と言って貞雅さんは寄り添い、診療所の廊下でダンスを踊ります。涙なくして視られないシーンです。それから2週間余、今年3月21日の朝、田中さんは妻であり主治医である貞雅さんに最期を看取られ旅立ちました。

 田中さんが「葬式まで撮っていい」と言った葬式に、貞雅さんは剃髪し僧侶として臨みます。「取り乱す事も分かって取材を受けたはず」と言った貞雅さんが出棺では「火葬場にはよう行かん」と泣き崩れました。僧房内の診療所で共に働き、三十数年連れ添い、一人とり残された妻の姿がそこにありました。

 
Time To Say Goodbye・・・田中さんが通夜に流してほしいと望んだ曲ですが、URL紹介にとどめます。
  https://www.youtube.com/watch?v=feQ-0Xlapd4

          ありのままの最期「命・最後の450日」



【過去ログ目次一覧】
腎がんのメモリー 1~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
かんわきゅうだい 1~56 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
かんわきゅうだい 57~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/20297d22fcd28bacdddc1cf81778d34b
吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である~140 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
吾輩も猫である141~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/b7b2d192a4131e73906057aa293895ef
新聞・TV・映画etc. http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a7126ea61f3deb897e01ced6b3955ace

22 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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凄~い!お話ですね。 (ふじのりんご)
2017-10-13 20:04:34
デ某様、投稿 待ってました。
色いろ、あったのですね~でも良性で良かったです。
文句を言ってはいけませんよーー! 笑

『ありのままの最後・・・・・の医師』
凄いご夫婦がいらしゃるんですね~~
なかなか、そんな境地にはなれないですが、少し考えてみたいです。
そんな機会を与えて頂き、有難うございました。
返信する
大変でしたね… (moka)
2017-10-13 22:11:20
デ某さん、こんばんは

痛い思いをして、
不安な思いをして大変でしたね…
悪いものではなくて
本当に良かったです。
その後、経過はいかがですか?

文句を言っても仕方ないけど、
言わずにいられないですよね。
医療には理不尽な時もあるという事でしょうか…

「治療方針については〇〇先生から説明がありますので暫くお待ち下さい」
そんな言い方をされれば、良くない方に考えてしまうのは当然ですよね。

私も昨年、胃の生検結果の際に
ご主人と一緒にお越しください…と
言われました。
→腎がん告知は一人で聞いたのにね(笑)

だから「あぁ…やっぱり」と
デ某さんが、そうお考えになる気持ちに大きく同感です。

ありのままの最期…
録画していますが、
がんと命について、まだ自分の中で受け止めきれないところがあって、まだこの番組を見る勇気がありません。

ですが、
デ某さんの今日のブログを拝読して…
いつかは観てみよう…って思えました。
デ某さん、ありがとうございます
返信する
良かったぁ~ (SORA)
2017-10-14 00:15:36
デ某さん、え?まさか・・・とドキドキしてしまいました。
悪いモノではなくて本当に安心しました。生検結果「脂漏性角化症、良性」
あ~本当に良かったです。
ダンディーなお顏に傷が残りませんように

田中さんの動画、見させて頂きました。ありがとうございます。
これほどそのままをTVで放送するとは。。驚きでした。これまで私が経験した様々な事と重なり、思い出し・・考えさせられ・・自分の時は・と。でも感想は私の胸の中に閉まっておくことにします。
返信する
再放送、観られたのですね! (ピン)
2017-10-14 01:02:35
私もその日、家に帰ってTVの電源を入れたら「ありのままの最期」の10分経過した所でした。もう一度観てしまいました。私達には辛い、悲しい記録です。
メールを送ろうかなと思いましたが、途中なので止めました。

私事ですが、前回の診察でオプジーボの効果を期待していたのですが、今回の結果は肺に転移している結節の1つが前回に引き続き増大していると伝えられました(治療開始後半年)。

過去2年間のCTの結果を表にして、結節の増大、縮小、著変無し、消失を色付の矢印マークーで一覧表で見ると、少し落ち着きました。
一覧表で観ると効いている様にも思えました。心配ですが3ヶ月後のCT検査に期待したいと思います。
夜分、遅くに済みません。
返信する
Re:ふじのりんごさん「凄~い!お話し・・・」 (デ某)
2017-10-14 01:29:19

ふじのりんごさん
コメントありがとうございました

> 投稿 待ってました。色いろ、あったのですね~
> でも良性で良かったです。文句を言ってはいけませんよ
ブログに記したこと以外にも「色いろ、あった」1~2週間
色いろなものが重なり縺れていましたが漸く少し落ち着きました。
はい。文句は言ってはなりまセーヌ川ですね

> 『ありのままの最後・・・の医師』
> なかなか、そんな境地にはなれないですが、少し考えてみたいです。
ありのままのお二人をありのまま撮られた記録であったと思います
ご自身の最期をそこまで・・・とは考えられなかったのではないでしょうか。
「人の最期」は、やはり天のみぞ知ることでありましょう。

考えつつ天に委ね・・・天に委ねつつ考える・・・貴重なドキュメントでした。
返信する
Re:mokaさん「大変でしたね」 (デ某)
2017-10-14 02:08:26
mokaさん
コメントありがとうございました

> 痛い思いをして、不安な思いをして大変でしたね…
> 悪いものではなくて本当に良かったです。
がんキャリアでなければ殆ど気にかけなかったかもしれません
数年前に母が 生検もせず!皮膚がんと診断され、
「年齢を考えれば切除するよりこのままで」と言われました
術後検診もそうですが、釈然としないことだらけでも 結果オーライ!かなぁ。
ご心配くださりありがとうございました

> その後、経過はいかがですか?
地元の皮膚科に行き、液体窒素で治療
一時は酷くただれましたが、今は「絆創膏なし」で表を歩けます(笑)

> 文句を言っても仕方ないけど、言わずにいられないですよね。
> 医療には理不尽な時もあるという事でしょうか…

病診それぞれの守備範囲は理解しなければならないと思います。
でも途中から若い医師とベテランの医師とで言うことがちがうのは・・・変!

> 「治療方針については〇〇先生から説明がありますので暫くお待ち下さい」
> そんな言い方をされれば、良くない方に考えてしまうのは当然ですよね。

改めて思ったのは、
若い医師では「治療はしない」ことを押し切れないとベテラン医師が読み
「治療方針は〇〇先生から」となったのだと思います。
「治療方針」ではなく「医大では治療はしない方針」の説明だったと・・・。

> 私も昨年、胃の生検結果の際に
> ご主人と一緒にお越しください…と
言われました。
「あらぬ覚悟」をしてしまいますよね
「ならぬ堪忍するが堪忍」ってことに・・・。

> ありのままの最期…録画していますが、
> まだ自分の中で受け止めきれないところがあって・・・見る勇気がありません。

mokaさんご自身のありのままの思いに従われればよいと思います。
私はかつて「この種の番組」は一切視ませんでしたが、
今は不思議なほど普通に視れるのは・・・なぜでしょう(自分でもわかりません)

明日は例の!集いですね。
私は参れませんけど、mokaさんにとって良い一日となりますよう
心よりお祈りします
返信する
Re:SORAさん「良かったぁ~」 (デ某)
2017-10-14 02:24:15

SORAさん
コメントありがとうございました

> デ某さん、え?まさか・・・とドキドキしてしまいました。
すみません、心の動きを順を追って記したものですから

> 生検結果「脂漏性角化症、良性」

医師が「わかりやすく言えば老人性のイボです」とボソッと。
まあそうなんでしょうけど、や~なか~んじ~!って思いました

> ダンディーなお顏に傷が残りませんように
ダーティな顔がますますダーティになりました
もうちょっと横に縦長に傷がつけば そのスジのお兄さんに対抗できるのに!

> 田中さんの動画、見させて頂きました。
> これほどそのままをTVで放送するとは。。驚きでした。

田中さんご自身の想像を超えていたと思います。
貞雅さんが一番よく承知されていたと思いますが、
貞雅さんもまた「おつれあいなき一人」は想像を超えた世界であったと・・・。
自身のことも誰のことも「そのとき!」まで誰にもわからないのでしょうね。

> 私が経験した様々な事と重なり、思い出し・・・考えさせられ・・・自分の時は・・・と。
> でも感想は私の胸の中に閉まっておくことにします。

お心のありのままは お心の中に・・・。
ありのままに語らないことも ありのままの心なのですから・・・
返信する
Re:ピンさん「再放送・・・」 (デ某)
2017-10-14 02:47:08

ピンさん
コメントありがとうございました

> 私も・・「ありのままの最期」の10分経過した所で・・もう一度観てしまいました
> 私達には辛い、悲しい記録です。

ピンさんから聞かなかったら視ていなかったかもしれません。
医療番組は視ますが、こうしたドキュメントは余り視ませんので・・・。
お蔭様でほんとうに心に深く残る記録となりました。
ここに記すには、そのままでは・・・とためらいがありました。
わがこと!を記し、秋の風景を織りまぜ、
できるだけ簡潔に記しました(記したつもりです)

> 前回の診察でオプジーボの効果を期待していたのですが、
> 肺に転移している結節の1つが前回に引き続き増大していると伝えられました

残念です。
効果はまだ直ちに・・・とは言えますまいが、
「引き続き増大」が心に刺さります。

> 過去2年間のCTの結果を表にして・・・色付の矢印マークーで一覧表で見ると、
> 少し落ち着きました。
> 一覧表で観ると効いている様にも思えました。

そのように冷静に分析・評価されるとは・・・凄いことだと思います。
物理学者の戸塚洋二さんに通じる「強靭な科学する心」だと思います。
※戸塚さんについては「腎がんのメモリー20」に記しています。
http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/021713bfb85e8362e64b7e39a4bd5829

> 3ヶ月後のCT検査に期待したいと思います。

3か月後、ピンさんの分析評価にそったエビデンスが見つかりますよう
私も心より期待申し上げます
返信する
いやはや…めんどくさいことで (pukariko)
2017-10-14 10:29:41
こんにちは。
出物腫れ物ところ嫌わず。
要するに、よくある脂肪の塊だったってことですね(失礼^^;)。
最初の診断のあと、大学病院ではなく
近所の皮膚科に行っておけばよかったってことですか。
うちの近所のおじいちゃん先生ならちょいちょいと切ってくれたかも(^0^)
まぁ大きい病院にありがちな話ですわね。
大事なくて何よりでした。

「ありのままの最期~」はすごすぎる話で・・・
何ともコメントのしようがありません。
自分は老衰で眠るように行きたい。あるいは
死んだことすらわからないぐらい突然パタッと倒れたい。
独り身ですから、一緒に闘ってくれる者もなし。
返信する
Unknown (mikihana)
2017-10-14 20:56:15
こんばんは。
良性の腫瘍で本当によかったです。
デ某さんも心から安心されたことでしょう。
そして奥様も・・・。
ここ2、3日はやっとゆっくり睡眠もとれたことと思います。

私もNHKの番組を見ていました。
なくなられたご主人様が体調の続く限り
患者さんたちの集いに参加されていたこと、
最後に火葬に立ち会えなかった奥様の姿が
とても印象的でした。
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