肌寒い秋雨の日々・・・。紺碧の空、穏やかな陽射しと薫る風、彩かに咲き乱れるコスモス・・・そんな秋日和には程遠いお天気ですが、如何お過ごしでしょうか。
さて私、これでも歌人にございます。レッキとした道浦母都子門下、「オトコ弟子は初めて」と仰った二人の男の一人です(もう一人は大学教授)。但し或る時期のほか歌は殆ど詠んでいません。道浦さんは何も仰いませんが、事実上破門かと・・・『潔い人生なんぞ他人事なり無骨不器用無様不細工』と詠んだとおり!
Painted by QP.
先日、夕食時に「読んでみてください」と妻が差し出した11日付日経夕刊(文化欄)。「気鋭歌人の群像」と題した梅内美華子さんの連載で、虫武一俊と内山晶太が紹介されています。若い歌人と言えば私の世代はすぐ俵万智さんを思い浮かべますが、万智ちゃんも早や55歳、老境、否!ベテランにございます。
若いと言っても虫武一俊36歳、内山晶太40歳、そろそろ中年の域に入ります。それでも歌は若く瑞々しい感性にあふれ、使われる言葉にもスタイル(文体)にもこの時代の風を感じます。ポストバブル崩壊世代であり、リーマンショックの渦中にて冷たい風に晒された世代らしい?内向的な心境が匂います。
『二十歳 職歴なし と告げたとき 面接官のはるかな吐息』『生きかたが 洟(はな)かむように恥ずかしく 花の影にも背を向けている』(虫武一俊)
啄木ほど貧乏臭くなく啄木ほど自尊心もありません。面接官の蔑みに似た吐息はそのまま受けとめます。負け犬の悔しさは微塵もなく「生き様(ザマ)」などと格好つけず「生きかた」と記します。それでも「花の影にも背を向け」る姿に何がしか沽券を醸し、60年代の「背中の銀杏が泣いている」を想わせます。
『死ののちの お花畑をほんのりと思いき 社員食堂の昼』『一日中 眼を開けながら仕事して つめたいパンの袋をひらく』(内山晶太)
死後の世界であるお花畑(臨死体験で見る世界?)と、生きている現実である社員食堂を重ね合せて詠んでいます。ドラマの伏線のようで実はありふれた日常の光景。たぶん非正規の青年が生と死の狭間にあるものとして社員食堂を無機質に眺めています。つめたいパンは 夕食でしょうか、夜食でしょうか・・・。
Painted by QP.
梅内美華子さんの評とはかなり異なる歌の解釈になりました。しかし「機械の一部のようにひたすら作業する人間の姿」を抉る歌と捉え、「どんな状況にあっても人間性を保ちたいとする希求と裏腹の」歌と捉えることについては心から共感します。無意味な解散と投げやりな解党で突入した選挙戦を眺めつつ・・・。
コンドルは飛んでいく・・・70年代に「赤い鳥」で出遭いましたが、S&Gで…。
【過去ログ目次一覧】
新聞・TV・映画etc. http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a7126ea61f3deb897e01ced6b3955ace
吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である81~140 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
吾輩も猫である141~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/b7b2d192a4131e73906057aa293895ef
かんわきゅうだい(57~) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/20297d22fcd28bacdddc1cf81778d34b
かんわきゅうだい(~56) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c
さて私、これでも歌人にございます。レッキとした道浦母都子門下、「オトコ弟子は初めて」と仰った二人の男の一人です(もう一人は大学教授)。但し或る時期のほか歌は殆ど詠んでいません。道浦さんは何も仰いませんが、事実上破門かと・・・『潔い人生なんぞ他人事なり無骨不器用無様不細工』と詠んだとおり!
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先日、夕食時に「読んでみてください」と妻が差し出した11日付日経夕刊(文化欄)。「気鋭歌人の群像」と題した梅内美華子さんの連載で、虫武一俊と内山晶太が紹介されています。若い歌人と言えば私の世代はすぐ俵万智さんを思い浮かべますが、万智ちゃんも早や55歳、老境、否!ベテランにございます。
若いと言っても虫武一俊36歳、内山晶太40歳、そろそろ中年の域に入ります。それでも歌は若く瑞々しい感性にあふれ、使われる言葉にもスタイル(文体)にもこの時代の風を感じます。ポストバブル崩壊世代であり、リーマンショックの渦中にて冷たい風に晒された世代らしい?内向的な心境が匂います。
『二十歳 職歴なし と告げたとき 面接官のはるかな吐息』『生きかたが 洟(はな)かむように恥ずかしく 花の影にも背を向けている』(虫武一俊)
啄木ほど貧乏臭くなく啄木ほど自尊心もありません。面接官の蔑みに似た吐息はそのまま受けとめます。負け犬の悔しさは微塵もなく「生き様(ザマ)」などと格好つけず「生きかた」と記します。それでも「花の影にも背を向け」る姿に何がしか沽券を醸し、60年代の「背中の銀杏が泣いている」を想わせます。
『死ののちの お花畑をほんのりと思いき 社員食堂の昼』『一日中 眼を開けながら仕事して つめたいパンの袋をひらく』(内山晶太)
死後の世界であるお花畑(臨死体験で見る世界?)と、生きている現実である社員食堂を重ね合せて詠んでいます。ドラマの伏線のようで実はありふれた日常の光景。たぶん非正規の青年が生と死の狭間にあるものとして社員食堂を無機質に眺めています。つめたいパンは 夕食でしょうか、夜食でしょうか・・・。
Painted by QP.
梅内美華子さんの評とはかなり異なる歌の解釈になりました。しかし「機械の一部のようにひたすら作業する人間の姿」を抉る歌と捉え、「どんな状況にあっても人間性を保ちたいとする希求と裏腹の」歌と捉えることについては心から共感します。無意味な解散と投げやりな解党で突入した選挙戦を眺めつつ・・・。
コンドルは飛んでいく・・・70年代に「赤い鳥」で出遭いましたが、S&Gで…。
【過去ログ目次一覧】
新聞・TV・映画etc. http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a7126ea61f3deb897e01ced6b3955ace
吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である81~140 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
吾輩も猫である141~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/b7b2d192a4131e73906057aa293895ef
かんわきゅうだい(57~) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/20297d22fcd28bacdddc1cf81778d34b
かんわきゅうだい(~56) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c
いつか沈黙を破ってくださいね、そんな時期が来ますように。
私も最近も若い歌人のことはあまり知りません。
早世してしまった笹井宏之さんを除いて。
でも若い歌人も結構いるはず。
店頭に並ぶ歌集はベテランの方のばかりで、ネットで評判を見にして注文することはありますが。
虫武一俊さんは全くお名前も知らなかったです。
内山晶太さんの第一歌集『窓その他』は持っています。
実は同じ結社の方で、この歌集がいいと評判になったので買ってみたのです。
静かな寂しい世界を感じます。
もうすぐここから去る人が世界を眺めているような。
昔の瑞々しい青春短歌とは全く違う世界ですね。
それだけ今の若者を取り巻く社会が厳しいのでしょう。
早速にコメントくださりありがとうございます
> デ某さんも立派な歌人だと思いますよ。
> いつか沈黙を破ってくださいね、そんな時期が来ますように。
思わず どこかに大きな穴!はないかと 探しています
沙羅さんはじめ立派な歌人の皆さんに申し訳ありません。
家人!にも叱られ(笑われ?)そうです
私 沈黙したまま・・・終わりそうです。
> 私も最近も若い歌人のことはあまり知りません。
若い方ばかりを集成したアンソロジーが出されれば!と思います
朝日歌壇などに結構!若い(若すぎる?)方が取り上げられますが
余りに口語と日常に走りすぎ つい! なんだかなぁ・・・と思ってしまいます。
日常!がもてはやされると 非日常なるものに焦がれますね。
>店頭に並ぶ歌集はベテランの方のばかりで・・・
私は短歌は殆ど図書館で!ですが
やはり 河野裕子さんはじめ名の知られた方が多いですね。
道浦母都子さんには 小説はやめればいいのに!と・・・(笑)
> 虫武一俊さんは全くお名前も知らなかったです。
「洟かむように恥ずかしく」という言葉は、
若い女性の感覚かなぁと思いつつ それが今の若い男性の感覚なのだと・・・。
そんな意外性にも惹かれます。
> 内山晶太さんの第一歌集『窓その他』は持っています。
> 実は同じ結社の方で、この歌集がいいと評判になったので買ってみたのです。
感覚としては寧ろ私(我々?)の世代に通じるものがある と思いました。
これから 歳をとられるとともにますます厚みをもたれる予感がいたします。
> 静かな寂しい世界を感じます。
> もうすぐここから去る人が世界を眺めているような。
はい。仰るとおりの感想をもちました。
その乾いた眼差しは 寧ろこれからこそ潤って行くように思いました。
> 昔の瑞々しい青春短歌とは全く違う世界ですね。
文語のリズム感がない分 侘しい日常が浮き彫りにされていると思いました。
ここに抉り出された若者たちが
これからどんな社会 どんな時代をつくりだして行くのか・・・
悲観しつつも 私はひそかに大いに期待しています。
歌人とブログ上でお知り合いになれて、
なんだか嬉しい☆
どおりで、えぞをさんの句の解釈など只者ならぬものを感じさせました。
沈黙を破って、ぜひお詠いくださいませ。
愉しみが増えます!
風のフェリシアさん
おからかい!メール ありがとうございました
> わお、デ某さんは歌人なのですね!
> 歌人とブログ上でお知り合いになれて、なんだか嬉しい☆
か、かじん!って「暇人」のことですか?
レッキとした道浦母都子門下であっても
レッキとした ドシロート!にござります
> どおりで、えぞをさんの句の解釈など只者ならぬものを感じさせました。
俳句はもっと・・・ズブシロにござります
遠音さんにもちあげられて・・・赤面の至りです。
> 沈黙を破って、ぜひお詠いくださいませ。愉しみが増えます!
ち、ちんもくは、金!
あらためて・・・べ、べつびん 別嬪!と? 否! 別便!にて・・・。
ジョン・レノン「暇人(カジン)」を!
https://www.youtube.com/watch?v=T2hvkPyiAFE
センキョまでにはお帰りになる予定ですね。
デ某さん、歌に親しまれていらっしゃるのですね。
私は存じ上げない世界です。
せいぜいサラリーマン川柳か、毎日新聞の万柳を見て楽しんでいる程度です。
万柳は風刺が効いていて面白いので、たまに作ってみようかと思いますが、いつも挫折しています。
歌とか詩の世界も才能ですね。
北風の身に染みる昨今、お風邪など召しませんように~と言っている内に台風がやってきて蒸し暑くなったりしてるかも!
歌を短冊に~な世界なんですか?
以前お伝えしたように、我が家にホトトギスの水原秋桜子や堤俳一佳の短冊や扇子がまだそのままあります!
なんか私にはどうしたら良いか分からない短冊達です(^◇^;)
御自分の詠んだ歌はどうされているのですか?
初めまして、こちらのブログとは場違いな内容で恐縮ですが、今回は22日に行われる衆院選において、ブログ主様に一度目に入れて頂きたい事があり、失礼とは存じますが、書き込ませて頂きました。
こちらの成果を数字で見ても現政権を変えるべきと思うでしょうか
http://www.google.co.jp/amp/s/gamp.ameblo.jp/getthegear/entry-12317416701.html
国民として忘れてはならないのが2009年「一度やらせてみよう」と民主党政権が誕生しましたが、その3年間は公約をほぼ全て反故にし、80円株価8000円の超円高を進め、それにより多くの企業が倒産、失業者・自殺者が激増し日本経済は破綻寸前まで追い込まれた事は周知の通りです。
先日新たに結成した「希望の党」や「立憲民主党」(代表の枝野氏は犯罪集団革マル派から過去800万の献金を授受)はそのほとんどが看板を替えた民主党出身者です。
エスカレートする北朝鮮核危機を前に、すでにトランプ政権と信頼関係を確立した安倍自民党と、民主党の鞍替えである希望の党や立憲民主党のどちらに国の未来を託すかの選挙になると思います。
ブログ主様や皆様にも、是非投票によって、今回その大事な意志を示して頂けたらと思っております。
突然の書き込みと乱文、お詫び申し上げます。
さ~っと読んだだけだったのですが
こちらでもう一度読ませていただいたら
やっぱり若い方の歌ですよね。
私のようなものでも
でもちゃんと歌の情景が浮かんできます。
心にしみます。
はるかな吐息、鼻かむように恥ずかしく、社員食堂で、
みんな心の叫びを感じます。
歌で自己表現できる人はいいですね。表現できなくて抱え込んでる人も居ることでしょうね。
「潔い人生なんぞ他人事なり…」もとても好きです❤️❤️❤️
コメントありがとうございました
> 少し短い帰省ですか?
> センキョまでにはお帰りになる予定ですね。
つい先刻 郷里(境港)より帰阪いたしました
亡父の一周忌の法事のための帰省でしたが・・・ほとんど「いとこ会」となりました。
父を偲んでいただきながら、いとこで和気藹々の愉しい時間・・・父のお蔭かなぁと思いました。
> 歌に親しまれていらっしゃるのですね。
現在進行形ではなく過去進行形で、それも僅か1~2年のことでした
> 私は存じ上げない世界です。
> せいぜいサラリーマン川柳か、毎日新聞の万柳を見て楽しんでいる程度です。
俳句も川柳もいずれもいわゆる短詩型文学。
ただ俳句は季語が入りますから、オリジナリティは12文字ぐらいに圧縮されます。
季語の括りがない川柳はやや自由度を増しますが、それでも17文字が基本。
尾崎放哉(我が郷里の人)のような自由律俳句になると「咳をしても一人」などひらがな9文字、
世界で最も短い詩の世界ですね。
短歌は後段の「七七」分があり俳句より自由度は高くなります。
それだけに難しい!と言う方もいらっしゃいますが・・・(笑)
> 歌とか詩の世界も才能ですね。
そりゃもう芸術の世界は才能が大きいですね
だけど 才能っていったい何なのでしょう
才能のあり!なし!って いったい誰が決められましょう。
「プレバト」とかいう番組がありますけど・・・
> 北風の身に染みる昨今、お風邪など召しませんように~と言っている内に台風が・・・
颱風が前線を刺戟している所為か帰阪の道中はかなりの風雨でした
超!大型だそうで、まずは九州のリーのママさん、くれぐれもお気をつけくださいね。