デ某の「ひょっこりポンポン山」

腎がんのメモリー(術後10年クリアーし"卒がん")、海外旅行記、 吾輩も猫である、人生の棚卸しなど。

旧い時代の旧いうた旧いひとびと

2021-12-10 12:40:48 | 名残の季節
    
            和知(京都府)の山野草苑の端に長~く放置されたままの旧い旧い丸太…

 或るブログで "放置された旧い自転車" の写真を見て ふっと高田渡を想いました。やさぐれた姿に哲人の趣を醸す彼を初めて知ったのは1971年、半世紀前です。某大学キャンパスの特設ステージには 後に「ダンシングオールナイト」でブレイクした "もんたよしのり" 、「大きな歌」でそこそこ?ブレイクした "中島光一"、グッと年長ながら今なお埋もれつづける "すずききよし" らの姿があり、もしかしたら 「友よ」で既にブレイクしていた "岡林信康" もそこにいたかもしれません。

  

 高田渡が亡くなったのは16年前、まだ50代の半ばでした。 たびたびステージ上で居眠りしますし風貌から70代と思った方も多いかもしれません(蛇足ながら私は同い年です)。代表曲は「生活の柄」でしょうか。いや、やはり「自衛隊に入ろう」かな? 知らない方は防衛庁のCMソングと思われるかもしれません(笑) 風刺、諧謔の精神に富んだレッキとした "反軍歌" です。

 高田渡の若い頃は 如何にもきかん気が強く 相手かまわずむかっ腹を立てそうな尖った雰囲気がありました。が、実生活に彼の歌「生活の柄」が馴染んだのでしょうか(笑) 飄々とした味を醸し出すようになりました。生まれこそ岐阜ですが、小学校に入る頃から東京深川で育ちました。その割にはどこか素朴で訛りっぽい話ぶりも、彼の歌を引き立てたように思います。

  
     自衛隊に入ろう 自衛隊に入ればこの世は天国 男の中の男はみんな 自衛隊に入って花と散る…

 中学卒業後、印刷工となった高田渡は、歌声喫茶で上条恒彦と知り合いピート・シーガーに影響され高石ともや事務所でフォークシンガーとして出発、京都に流れ関西フォークに出会います。しかし1971年には東京に戻りますから、私が某大学キャンパスのステージで見た高田渡は "京都時代の最後の姿" であったかもしれません、余り目立たず薄い印象でしたが…。

 高田渡が流れついた京都で、当時活躍していたのが京フォー連(京都フォークソング連絡会議)。中心に当時まだ学生であった中島光一がいました。彼が生み出した「小さな歌」は やがて「大きな歌」となって草の根でブームになったところにNHK "みんなの歌" で紹介され一気に広まりました。但しNHKで流れた歌詞はごく一部で、この歌のテーマと懸け離れていました。

  

 You tube「みんなの歌」の1~3番につづくのは … 4. 大きな心だよ 自由を求める 幸せ願う 大きな心だよ 5. 大きな力だよ 働く力は 明日を動かす 大きな力だよ 6. 大きな道だよ 本当の道は 平和につづく 大きな道だよ 7. 大きな俺たちさ 雨風吹こうと 怖れはしない大きな俺たちさ!

 その頃、縁あって中島光一を知りました。"Cotton Fields(綿畑)" を教えて貰いよく歌いました。彼はプロのシンガーの道には進まず、重度障碍者施設で働き始めました。三年程前、中島光一ほか数人と神戸で会い、カラオケルームで昔懐かしい歌をたくさんSing Out しました。現在、自ら創設した福祉施設の仕事をしながら なおフォークソングを歌いつづけています。

 前記キャンパス・ステージ公演で最も目立ったのは "もんたよしのり" でした。「ダンシング・オールナイト」でブレイクする前、言わば無名の青年…と言うより アンチャン!でした。そのもんたよしのりが歌ったのが「おいらの空は鉄板だ」。日本民謡のように手拍子うちながら歌える歌であり、ロック風にもシャンソン風にもブルース風にも歌える "労働歌" でした。 

  
     この歌を作った "すずききよし" は関西フォークの師匠かつ兄貴挌ながら たぶん 誰も知らない?

 もんたよしのりの歌う「おいらの空は鉄板だ」は "ブルース" でした。フォークソングだと思っていた聴衆は暫く呆気にとられて聴いていました。しかしソウルフル!に絶唱する彼の歌に聴衆はすっかり惹かれ 公演の雰囲気は一変! 歌い終わると拍手が鳴りやみませんでした。彼が後にブレイクすると、あのステージが思い浮かび「あぁ やっぱりな」と思いました。

 1960年代初め… 国の「減反政策」で余剰!となった農民が 東京五輪景気にわく現場労働へと出稼ぎに行きました。「おいらの空は鉄板だ」はそうした地下鉄工事の現場を歌いました。
 おいらの空には穴がある/おいらの空は鉄板だ/娑婆(しゃば)の空にはよ/太陽がさぞ明るかろ/おいらの空にはよ/裸の電灯が暗い … おいらの空には穴がある/おいらの空は鉄板だ/工事終わればよ/俺たちゃお払い箱だよ/明日もどこかでよ/また穴掘るもぐらもち おいらの空には穴がある/おいらの空は鉄板だ/故郷(くに)のおっかあよ/田んぼに草はやすなよ/太郎も次郎もしっかり勉強しろよ

 もんたよしのり… 彼の歩みを見ていて 宝石たる原石は磨く前からキラリと光るものだと思いました。しかし輝きつづけるためには 磨きつづけなければならないのかもしれません。ビッグブレイクとなった「ダンシング・オールナイト」以後は啼かず飛ばずのもんたよしのり… 改めて「ダンシング・オールナイト」を聴きながら 彼の復活?を願いたいと存じます。

  

 【補遺】… 2022.12.8 記
   今日 12月8日は 81年前に日本が戦争を始めた日 … 敗戦の日の8.15ほど振り返られないのはなぜだろう。
   ある方が 今日「戦争が始まった日に思う」と題してブログを綴られていた。
   ウクライナの戦争が止むことのない現状について
   『その痛みがわかっている日本が 停戦を 平和な世界になるように 働きかけることは出来ないのか』と。
   学生時代に知った歌の中で とりわけ心ふるえ 印象に残った歌「いぬふぐり」を改めて心深く聴いた。
   『くにさんは戦争に行った/イヌフグリを放りつけて行った/手紙も届かぬ遠くで/口もきかずに死んだ
    イヌフグリを忘れない/くにさんを忘れないずっと/戦争の悲しさを忘れない/戦争が起こらんようにする』
   



  

過去ログ目次一覧】
吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である81~140 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
吾輩も猫である141~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/b7b2d192a4131e73906057aa293895ef
人生の棚卸し http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/ddab58eb8da23a114e2001749326f1f1
人生の棚卸し(2) https://blog.goo.ne.jp/00003193/e/22b3ffae8d0b390afee667c0e9ed92ed
かんわきゅうだい(57~) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/20297d22fcd28bacdddc1cf81778d34b
かんわきゅうだい(~56) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
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名残の季節 https://blog.goo.ne.jp/00003193/e/ce82e1c580f64c8ab8d43e2c674a481d


10 コメント

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フォークソング (リーのママ)
2021-12-10 19:59:13
何だか懐かしい歌ばかりですね。
高校生の時、ボーイフレンドから、自衛隊に行こうとか、岡林がどうとか、話を聞いたような気がします。
大きな歌は確かに聞いた記憶があります。みんなのうたで聴いたんでしょう。
ダンシングオールナイトを聴いた時は衝撃でしたが、その後の彼は知りません。
デ某さんはその渦中にいたんですねぇ。
私はむしろすでにフォークソングからニューミュージックと呼ばれるような曲になじみがあります。
懐かしい曲はその時代をありありと思い出させますね。
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Re : リーのママさん「フォークソング」 (デ某)
2021-12-10 23:07:00
リーのママさん
コメント ありがとうございました

> 何だか懐かしい歌ばかりですね。
懐かしい ... 古色蒼然!かもしれません
懐かしさを幾分なり感じるのは たぶん 還暦以上!かも...

> 高校生の時、ボーイフレンドから、自衛隊に行こうとか、岡林がどうとか...
高校生のとき ママさん ボーイフレンドがいらっしゃったんですねぇ
私の世代 私の郷里では 放課後に二人で街を歩くだけで "不良" と...
岡林信康 ... カッコ良かったです、知的で 道を外れて?いて 声も歌も良くて

> 大きな歌は確かに聞いた記憶があります。
だって 小中学校の音楽の教科書にも載りましたから!

> ダンシングオールナイトを聴いた時は衝撃でした
私には もんたよしのりが 商業ベースの歌の世界でデビューした!という衝撃も...

> デ某さんはその渦中にいたんですねぇ。
渦中にはいません、渦外で傍観していました

> 私は... フォークソングからニューミュージックと呼ばれるような曲になじみがあります。

私の世代は グループサウンズ、フォークソング、ニューミュージックが混然一体となり
主流が何なのか判然としない世代であったかもしれません。

> 懐かしい曲はその時代をありありと思い出させますね。
はい。仰るとおりだと思います
棺桶に何を入れようか? と問われたら 60~70年代のヒット曲のCDを!と。

Carpenters "Yesterday Once More"
https://www.youtube.com/watch?v=xO_Bi0duiyE
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デ某さんへ (徒然)
2021-12-11 10:44:34
高田渡さん 風貌から かなりのお年だと思っていました
歌の中にも 社会風刺的な歌が耳に残っております

高田さんを慕って フオークに 一時期はまっておられたのが

俳優の今は亡き大杉漣さん 傾倒するものがあったのでしょう

今よりも自由というか みなさん自由に書いて 譜面に載せて 
社会風刺だろうが歌っていらしたように感じます
時代は モノクロの世界 
イムジン河なんてコッソリ歌っても 名曲ですものね
最近は心打つ歌に出会えません 小椋桂さんで私はストップしております

私の狭さもありでしょうが 若者の歌が響きません
返信する
Re : 徒然さん (デ某)
2021-12-11 13:58:30
徒然さん
コメントありがとうございました

> 高田渡さん 風貌から かなりのお年だと...
> 社会風刺的な歌が耳に残っております

風貌も歌も 高田渡さんほど 青年期と中高年期に落差のある方は稀でしょうね。
出遭う人々がみな "高田渡の世界" に棲みつき またそこから飛び立ちます。
風刺・諧謔も そうした中から自然に生み出されたのだと思います。

> 高田さんを慕って ... 俳優の今は亡き大杉漣さん ... 傾倒するものがあったのでしょう

高田渡さんのご子息の名は「高田漣」。
大杉さんが高田渡さんにお願いして「漣」を貰い 芸名を「大杉漣」とされた由。
まさに!傾倒するところがあったのでしょうね。

> 今よりも自由というか みなさん自由に書いて 譜面に載せて...

いったい いつ頃からこんなに窮屈な世の中になったのでしょう。
間もなく戦後80年 ... 学生"運動" も 労働"運動" も 今ほど凹み廃れた時代はありません。
大学自治と民主化、労使団交とゼネスト ... 最早!歴史になってしまいました。
歌は世につれ 世は歌につれ ...。
歌にも世情が反映し "自由" は空まわり 無駄にがなり 空しく軋む音が目立ちます。
 
> イムジン河 ... 名曲ですものね
> 心打つ歌 ... 小椋桂さんで私はストップしております ... 若者の歌が響きません

見えないもは 探すようつとめましょう。
なければ 創り出されるようフォローしましょう。
それが "われらが世代" の使命であり宿命でもある! と。

大杉漣さん最期のうた「生活の柄」
https://www.youtube.com/watch?v=qYtZ6OFotwM
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懐かしい (ひねくれくうみん)
2021-12-12 09:34:53
音楽のことはあまりわからないのですが、もんたよしのり様はさすがに知っています。
懐かしいですね。無名の時から存在感があったのですね。
私は杉山清貴世代なのですが、お兄さん世代のフォークには、自分たちには理解が難しい、知性的なものを感じました。
返信する
Unknown (Anne)
2021-12-13 18:15:41
YouTube聴いてみましたが
私の記憶にあるのは最後の
ダンシングオールナイトだけでした(;^_^A

ダンシングオールナイトはしっかり記憶にあるから
とても懐かしく聴いちゃいました!
今聴いてもいい曲だなあ・・・
彼の声が好きだったのを覚えています(≧▽≦)
返信する
Re : くうみんさん「懐かしい」 (デ某)
2021-12-14 16:08:51
くうみんさん
コメントありがとうございました。嬉しく読ませていただきました
グループホームにいる母とリアルに面会できるということで
慌ただしく弾丸帰省していたため返信が遅れも相済みませんでした。

> 音楽のことはあまりわからないのですが、もんたよしのり様はさすがに知っています。
> 懐かしいですね。無名の時から存在感があったのですね。

もんたよしのり。無名の時代からキラキラし またギラギラもしていました。
「ダンシングオールナイト」で終わり!ではなく
もっと!もっと!長く活躍してほしいのですが...。

> 私は杉山清貴世代なのですが、
> お兄さん世代のフォークには、自分たちには理解が難しい、知性的なものを感じました。

私は「杉山清貴」を
「名前は聞いたことがある」程度にしか知らない世代なんですよねぇ(笑)
わが世代のフォークは ... プロテスト!の傾向が強かったと思います。
そして精一杯!背伸びしがちでもありました。
まあ 善かれ悪しかれ...ではあります(笑)

またお訪ねくださいね。こちらからもお訪ねいたします

岡林信康「山谷ブルース」
https://www.youtube.com/watch?v=H37HfTqzawo
返信する
Re : Anneさん (デ某)
2021-12-14 16:36:35
Anneさん
コメントありがとうございました
帰省していたため返信が遅れて申し訳ございません

> YouTube聴いてみましたが 私の記憶にあるのは...ダンシングオールナイトだけ

高田渡もそれなりにブレイクしましたが、
やはり もんたよしのりとは「世界がちがう」かもしれません。
いずれも同じフォーク村?からの出発でしたが...。

> ダンシングオールナイトはしっかり記憶に ... とても懐かしく聴いちゃいました!
> 今聴いてもいい曲 だなあ... 彼の声が好きだったのを覚えています

ヒット曲とは「そういう歌」なのでしょうね。
記憶に定着し 聴けば その時代!の記憶が甦る ... それがヒット曲なのだと思います。
そういう何かが秘められている曲であり詞であり歌い手であり時代なのだと思います。

「もんたよしのり」で゜はなく「門田頼命」による歌
https://www.youtube.com/watch?v=HRH6-67TMzE
返信する
もんたよしのりさん (遠音)
2021-12-16 09:59:07
ダンシングオールナイトしか知りませんでした。
この歌ダイスキです。 もんたさんはどこへ行ったのかと思っていました。
大晦日の紅白が いつからか 「学芸会」と化した時から
こういう方達のこころ打つ歌が 
消えていったのかと思っています。

自衛隊に入りたい方は 是非我が町の隣町
矢臼別演習場を ご覧下さい。
一週間ほど前でしたか オスプレイが二機
上空を飛びました。 その下に住む人々は
落下しないかと不安な時を過ごします。
返信する
Re : 遠音さん「もんたよしのりさん」 (デ某)
2021-12-16 12:54:23
遠音さん
コメント いつもありがとうございます
コメントにも また本日付の貴ブログUPにも
遠音さんの元気!に出会えて ホッといたしました。
貴ブログには 夕刻にでもコメントさせていただきたいと存じます。

> ダンシングオールナイトしか知りませんでした ... この歌ダイスキです。 

"ナイトクラブ" "ダンス" の雰囲気に もんたよしのりの " のシャウト!がピッタリ!
舘ひろしが歌っても また別の味が出そうですね。
香西かおりさんもカヴァーされています。

> 大晦日の紅白が いつからか「学芸会」と化し ... こころ打つ歌が 消えていった

はい。仰るとおりかと存じます。
時代を! 社会を! ビビッドに映し 切り取る歌が 現れなくなりました。
そもそも 広く国民に愛される "はやり歌" がなくなりました。

> 自衛隊に入りたい方は 是非我が町の隣町 矢臼別演習場を ご覧下さい。
> オスプレイが二機上空を飛び ... その下に住む人々は落下しないかと不安な時を過ごします。

全県が基地の島 "沖縄" では日常不断に こうした "オスプレイ情況" がありましょう。
米兵の安全優先のため 戦闘機が燃料タンクを空から放棄する ... という "日米安全保障条約" 。
この間 帰省していた郷里でも 自衛隊美保基地からの訓練飛行が間断なくつづき
10分毎に実家の真上をジェット機が飛んでいました。
"夜間飛行訓練" もあり 夜8時頃も飛んでいました

自衛隊の教育訓練中の死亡事故は 10年間で62件発生している由。
国土と国民の生命・財産を護る ... その大義名分の下
日常不断に 国民の生命が 危機に晒されています。

「ダンシングオールナイト」を香西かおりさんで お聴きください。
https://www.youtube.com/watch?v=Pw0CYWXW9Vw
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