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おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

『こころ』は本当に名作か 正直者の名作案内

2009-08-05 23:26:10 | 読んだもの
 小谷野敦さんの「『こころ』は本当に名作か 正直者の名作案内」を読みました。

 いきなりですが、ちょっと「タイトルに騙された」感が残る本でした。新潮新書でしたが、新潮って週刊新潮のアノ見出しで鍛えているせいか、ミョーに「読みたいなぁ」と思わせるタイトルが多いように思います。「バカの壁」とか「人は見た目が9割」とか「いつまでもデブと思うなよ」とか・・・。どれも私は読んでいないので実際の内容がどんなものか知りませんが、かなりの部数が売れたようです。マーケティングの勝利なんでしょう。

 で、小谷野さんの本です。副題として「正直者の名作案内」とあったので、私がこれまでまだ読んでいない本を面白可笑しく紹介してくれたらその本を読むきっかけができる、と非常に期待していたんですが、紹介されてあった“最高峰の名作”が「源氏物語」やシェイクスピア、ホメロスの「イーリアス」「オデュッセイア」、ギリシャ悲劇で、確かに最高峰であることは認めますが、だからって「読もうか」という気にはならず(「読まないといけないなぁ」とは思ったけど)、何かちょっと違います。その後に続くのも「ドン・キホーテ」や「ガリヴァー旅行記」「南総里見八犬伝」などで、かなり古めの本です。まあ、『名作』なので、それなりに時を経て皆から『名作』と認められたものなのだから、そういう紹介になるのが仕方ないのかもしれませんが・・・。

 タイトルにもなった『こころ』は「私には疑わしい『名作』」という章の中で論じられていました。この章には夏目漱石だけでなく、森鴎外、太宰治、三島由紀夫、ドストエフスキー、スタンダール・・・と世間でいうところの大御所の作家が軒並みバッタバッタと切り捨てられていました。名作紹介よりも、この名作批判のところのほうが小谷野さんらしくて、そこだけを本にしたらよかったのに、と思いました。っていうか、このタイトルを見れば、そういう本だと思うように思いますが・・・。

 それと、小谷野さんの本は、必ず参考文献が山のようにあったんですが、今回は全くありませんでした。おそらく、小谷野さんがこれまで読んでこられた本についてささっと書かれたんでしょう。新書だけど、エッセイっぽいように思いました。

 残念ながら、当初期待した「読みたくなる本」はありませんでした。「読まないといけない本がまだまだある」と再認識はさせられました・・・。 

 
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