藤田宜永さんの「壁画修復師」を読みました。
裏表紙の内容紹介です。
「フランスの田舎町を渡り歩きながら中世フレスコ画の修復に打ち込む、孤独で風変わりな日本人男性アベ。名も無き人々が胸に秘めた想いに接し、さながら神父(アベ)のように彼らを受け止めるうちに、アベは町に溶け込んでいく。人生の哀歓と男の手仕事の魅力を絡めて描かれた、著者独自の世界が広がる五つの連作短編。」
お話は淡々と進みますが、読み終わった後、何となくあったかい気持ちになれる本でした。一クセも二クセもある人は登場しますが、いわゆる“悪い人”が出てきません。そのクセのある人も、アベと触れ合ううちに、素直な人になり、収まるところに収まるストーリーでした。
「壁画修復師」というお仕事があるんですね。初めて知りました。日本にも正倉院の御物を修復している方がいらっしゃるんだから、西洋にそういう職業の人がいるのは当然といえば当然ですが。私のようなガサツな大雑把な人間は、決して就くことのできない仕事です。
藤田さんはこういう“変わった”仕事の男性を主人公としてよく書いていらっしゃいます。競走馬の走蹄師、紳士服の仕立て屋、華道の花材職人、義肢装具師・・・、いずれもきちんとその道のプロに教えを請いながら書いていらっしゃるので、仕事の場面も他の恋愛の場面に負けず劣らず面白くて、さらにそういう自分が知らない世界についての知識も増え、これも読書の楽しみの一つかと思います。
私が好きだったのは、競走馬の走蹄師が出てくる「艶紅」という小説で、これは女の人のほうも染織作家でした。どちらの職業もあまり世間に知られているものではなく、取材だけでも大変だったろうなと思います。非常に切ない恋愛小説でした。私の中では、藤田宜永の小説のベスト1です。って、今回読んだ本よりも、こっちに力が入ってしまいましたが・・・。
裏表紙の内容紹介です。
「フランスの田舎町を渡り歩きながら中世フレスコ画の修復に打ち込む、孤独で風変わりな日本人男性アベ。名も無き人々が胸に秘めた想いに接し、さながら神父(アベ)のように彼らを受け止めるうちに、アベは町に溶け込んでいく。人生の哀歓と男の手仕事の魅力を絡めて描かれた、著者独自の世界が広がる五つの連作短編。」
お話は淡々と進みますが、読み終わった後、何となくあったかい気持ちになれる本でした。一クセも二クセもある人は登場しますが、いわゆる“悪い人”が出てきません。そのクセのある人も、アベと触れ合ううちに、素直な人になり、収まるところに収まるストーリーでした。
「壁画修復師」というお仕事があるんですね。初めて知りました。日本にも正倉院の御物を修復している方がいらっしゃるんだから、西洋にそういう職業の人がいるのは当然といえば当然ですが。私のようなガサツな大雑把な人間は、決して就くことのできない仕事です。
藤田さんはこういう“変わった”仕事の男性を主人公としてよく書いていらっしゃいます。競走馬の走蹄師、紳士服の仕立て屋、華道の花材職人、義肢装具師・・・、いずれもきちんとその道のプロに教えを請いながら書いていらっしゃるので、仕事の場面も他の恋愛の場面に負けず劣らず面白くて、さらにそういう自分が知らない世界についての知識も増え、これも読書の楽しみの一つかと思います。
私が好きだったのは、競走馬の走蹄師が出てくる「艶紅」という小説で、これは女の人のほうも染織作家でした。どちらの職業もあまり世間に知られているものではなく、取材だけでも大変だったろうなと思います。非常に切ない恋愛小説でした。私の中では、藤田宜永の小説のベスト1です。って、今回読んだ本よりも、こっちに力が入ってしまいましたが・・・。