昨年「咲くやこの花賞(演劇・舞踊部門)」を受賞された記念に開かれた会です。
【プログラム】
第一部 トーク「上方歌舞伎にあこがれて」 ~上方歌舞伎塾入門から現在まで~
出演:片岡千壽
司会:亀岡典子(産経新聞文化部編集委員)
第二部 歌舞伎舞踊「屋敷娘」
出演:片岡千壽 後見:片岡りき彌
振付:藤間豊宏
上方歌舞伎会の公演の翌日にありました。文楽劇場のロビーでずっと切符を売っていて、孝夫さんが舞台の上から宣伝までされていたので、お客さんは大丈夫かしらとちょっと心配していたのですが(私が心配するのもナンなんですが)、行ってみたら満員のお客さんで、周りを見渡すと土日の上方歌舞伎会のロビーでお見かけした方たちが多く、大体皆さん引き続きでお越しって感じでした。
千壽さん、どんなお姿で登場されるのかと思っていたら、お洋服でした。イマドキの若者の身体にフィットしたスーツで、松十郎さんも千次郎さんもなんですが、淀屋橋のオフィス街でも違和感なく溶け込めるくらい、スーツ姿が板についていました。
トークは上方芸能に精通していらっしゃる亀岡典子さんの司会ですので、ストレスなく、なめらかにお話が進みます。「なぜ上方歌舞伎塾に入られたのか」から始まり、これまでの舞台の話や失敗談、これからやってみたいお役等々、千壽さんのことはほとんど存じ上げなかったので、興味深くお聞きしました。歌舞伎を見たことがないまま、上方歌舞伎塾に入られたそうで、最初は浴衣も着られない、着てもすぐに着崩れする、正座ができない、とさんざんな塾生だったようですが、それが2年間で何とか舞台に上がれるようにまで成長され、修行を重ね(この間ちょっと端折りますが)現在に至るって感じでした。
亀岡さんが印象に残っているお役として挙げられたのが「天竺徳兵衛」の銀杏の前。京にんじんさんからコメントをいただいておりますが、2004年11月の松竹座の「天竺徳兵衛」で銀杏の前に抜擢され、その折には玉ちゃんのご指導を受けられたそうです。この月は玉ちゃんが昼の部で「先代萩」の政岡でご出演で、それは見に行きましたが、夜の部は玉ちゃんがご出演ではなかったので見ておりません。惜しいことをしました。
もうひとつは「伏見の富くじ」の狆の小春ちゃん。これは見ています。私も非常に強烈に印象に残っています。このあたりから千壽さん(当時は千壽郎さん)を意識して見るようになったと思います。
一通りトークが終って、後半の舞踊になるのですが、拵えに時間がかかるということで、ここで亀岡さんが客席にいらっしゃった師匠の秀太郎さんを舞台にお呼びになりました。秀太郎さんが登場されると、その場の空気も締まるような気がします。それから、時間にしたら何分ぐらいでしょうか、30分は確実に超えていました。1時間近くあったでしょうか、秀太郎さんのワンマンショーでした。上方歌舞伎(←昔はこんな言い方はしなかったそうです。歌舞伎といえば上方しかなかったから)への熱い想いを切々と語ってくださいました。役者はとにかく義太夫、長唄、三味線、鳴り物のお稽古。気持ちや立場を考えて演技しないといけない。「今だったら…」は考えてはいけない。何度でも見たくなるのが歌舞伎。さらに、いろいろな役者さんのお名前が出てきて、テレビなら「ピー音」がしょっちゅう入りそうなぶっちゃけトークで、すっごく面白かったし、大満足でしたが、その前の千壽さんのトークは完全にどこかへ飛んでしまいました。
現在休止している上方歌舞伎塾については、17年前は秀太郎さんも若かったし、何よりもご自身お暇で時間があったそうで出来たけれど、今は8月以外は毎月どちらかの舞台にお立ちになっているそうで、もう無理みたいにおっしゃっていました。上方歌舞伎塾の卒塾生で歌舞伎役者で残っているのは12名だそうで、この人数ではまだまだ心もとないような気がするので、ぜひ、再開していただきたいですね。それと、上方歌舞伎会のご指導もどうなるのかしらとちょっと思ってしまいます。松嶋屋さんのご兄弟もそれなりのご年齢ですし。我當さんは80歳で足がかなり不自由なようで、公演のご挨拶でも吉太朗クンが介助されていました。翫雀さんでは、演技指導はできても、上方言葉が無理だし、吉弥さんでは荷が重いような気がするのですが。ご兄弟のご子息と言っても、進之介さんと孝太郎さんは東京育ちで言葉が無理で、愛之助さんはあの調子なので(ネット上で「歌舞伎もできるタレント」と揶揄されていましたが)難しそうです。せっかく上方歌舞伎がここまで復活したのに、また下降線っていうのは悲しいですよね。松竹株式会社さま、常務から副社長に昇格された安孫子さま、ヨロシクでございます。
秀太郎さんのトークが予想外に盛り上がり、千壽さんの舞踊はどうなるのかしら、時間は大丈夫かしらと心配しましたが、「屋敷娘」という踊りは15分ぐらいだったので、そんなに遅くならずに済みました。
最後に振付の藤間豊宏さんも舞台に上がられ、「大阪締め」でお開きとなりました。
千壽さんのトーク+舞踊だけでなく、秀太郎さん、松十郎さんと千次郎さんまで登場され(写真まで撮れました!)、とてもステキで面白く、お得感満載の会でした。ご出演された皆様、前日まで上方歌舞伎会の公演でお大変だったのに、お疲れ様でした。
【プログラム】
第一部 トーク「上方歌舞伎にあこがれて」 ~上方歌舞伎塾入門から現在まで~
出演:片岡千壽
司会:亀岡典子(産経新聞文化部編集委員)
第二部 歌舞伎舞踊「屋敷娘」
出演:片岡千壽 後見:片岡りき彌
振付:藤間豊宏
上方歌舞伎会の公演の翌日にありました。文楽劇場のロビーでずっと切符を売っていて、孝夫さんが舞台の上から宣伝までされていたので、お客さんは大丈夫かしらとちょっと心配していたのですが(私が心配するのもナンなんですが)、行ってみたら満員のお客さんで、周りを見渡すと土日の上方歌舞伎会のロビーでお見かけした方たちが多く、大体皆さん引き続きでお越しって感じでした。
千壽さん、どんなお姿で登場されるのかと思っていたら、お洋服でした。イマドキの若者の身体にフィットしたスーツで、松十郎さんも千次郎さんもなんですが、淀屋橋のオフィス街でも違和感なく溶け込めるくらい、スーツ姿が板についていました。
トークは上方芸能に精通していらっしゃる亀岡典子さんの司会ですので、ストレスなく、なめらかにお話が進みます。「なぜ上方歌舞伎塾に入られたのか」から始まり、これまでの舞台の話や失敗談、これからやってみたいお役等々、千壽さんのことはほとんど存じ上げなかったので、興味深くお聞きしました。歌舞伎を見たことがないまま、上方歌舞伎塾に入られたそうで、最初は浴衣も着られない、着てもすぐに着崩れする、正座ができない、とさんざんな塾生だったようですが、それが2年間で何とか舞台に上がれるようにまで成長され、修行を重ね(この間ちょっと端折りますが)現在に至るって感じでした。
亀岡さんが印象に残っているお役として挙げられたのが「天竺徳兵衛」の銀杏の前。京にんじんさんからコメントをいただいておりますが、2004年11月の松竹座の「天竺徳兵衛」で銀杏の前に抜擢され、その折には玉ちゃんのご指導を受けられたそうです。この月は玉ちゃんが昼の部で「先代萩」の政岡でご出演で、それは見に行きましたが、夜の部は玉ちゃんがご出演ではなかったので見ておりません。惜しいことをしました。
もうひとつは「伏見の富くじ」の狆の小春ちゃん。これは見ています。私も非常に強烈に印象に残っています。このあたりから千壽さん(当時は千壽郎さん)を意識して見るようになったと思います。
一通りトークが終って、後半の舞踊になるのですが、拵えに時間がかかるということで、ここで亀岡さんが客席にいらっしゃった師匠の秀太郎さんを舞台にお呼びになりました。秀太郎さんが登場されると、その場の空気も締まるような気がします。それから、時間にしたら何分ぐらいでしょうか、30分は確実に超えていました。1時間近くあったでしょうか、秀太郎さんのワンマンショーでした。上方歌舞伎(←昔はこんな言い方はしなかったそうです。歌舞伎といえば上方しかなかったから)への熱い想いを切々と語ってくださいました。役者はとにかく義太夫、長唄、三味線、鳴り物のお稽古。気持ちや立場を考えて演技しないといけない。「今だったら…」は考えてはいけない。何度でも見たくなるのが歌舞伎。さらに、いろいろな役者さんのお名前が出てきて、テレビなら「ピー音」がしょっちゅう入りそうなぶっちゃけトークで、すっごく面白かったし、大満足でしたが、その前の千壽さんのトークは完全にどこかへ飛んでしまいました。
現在休止している上方歌舞伎塾については、17年前は秀太郎さんも若かったし、何よりもご自身お暇で時間があったそうで出来たけれど、今は8月以外は毎月どちらかの舞台にお立ちになっているそうで、もう無理みたいにおっしゃっていました。上方歌舞伎塾の卒塾生で歌舞伎役者で残っているのは12名だそうで、この人数ではまだまだ心もとないような気がするので、ぜひ、再開していただきたいですね。それと、上方歌舞伎会のご指導もどうなるのかしらとちょっと思ってしまいます。松嶋屋さんのご兄弟もそれなりのご年齢ですし。我當さんは80歳で足がかなり不自由なようで、公演のご挨拶でも吉太朗クンが介助されていました。翫雀さんでは、演技指導はできても、上方言葉が無理だし、吉弥さんでは荷が重いような気がするのですが。ご兄弟のご子息と言っても、進之介さんと孝太郎さんは東京育ちで言葉が無理で、愛之助さんはあの調子なので(ネット上で「歌舞伎もできるタレント」と揶揄されていましたが)難しそうです。せっかく上方歌舞伎がここまで復活したのに、また下降線っていうのは悲しいですよね。松竹株式会社さま、常務から副社長に昇格された安孫子さま、ヨロシクでございます。
秀太郎さんのトークが予想外に盛り上がり、千壽さんの舞踊はどうなるのかしら、時間は大丈夫かしらと心配しましたが、「屋敷娘」という踊りは15分ぐらいだったので、そんなに遅くならずに済みました。
最後に振付の藤間豊宏さんも舞台に上がられ、「大阪締め」でお開きとなりました。
千壽さんのトーク+舞踊だけでなく、秀太郎さん、松十郎さんと千次郎さんまで登場され(写真まで撮れました!)、とてもステキで面白く、お得感満載の会でした。ご出演された皆様、前日まで上方歌舞伎会の公演でお大変だったのに、お疲れ様でした。