超絶久しぶりの読書話題です。
昨秋、京博で開催された「国宝展」、何度も自慢タラタラ書いて恐縮ではございますが、ワタクシ全4期コンプリートいたしました。右を向いても左を向いても国宝だらけ、見所いろいろで、その分キャッチコピーもいろいろありました。その中の一つに「長谷川等伯・久蔵親子の対面!」というのがあって、等伯と久蔵の屏風絵が同じ部屋に展示してありました。京博では何年か前に「長谷川等伯展」もあって、等伯にはちょっと興味を持っており、タイトルがそのままずばりの安部龍太郎の「等伯」という小説を見つけました。上下2巻ということで、読了できるかどうか不安でそのままにしておりましたが、久蔵のことも知りたいし、読むことにしました。
文庫のカバーは上下で「松林図」の白黒を反転させたもの、なかなかステキです。私は等伯のことを、この「松林図」だけ見て、何となく枯れた人物、達観した人物だと思い込んでいましたが、なかなかすごい野心家というか、ギラギラしていました。「長谷川派」を目指していたそうです。久蔵が若くして亡くなってしまったので、それは叶わなかったようですが。ちょっとびっくりしました。“小説”なので、真実ではありませんが。文庫帯に大きく「直木賞受賞」の文字が躍っていますが、伊達に直木賞は受賞していないなと思いました。本当に面白くて、上下2巻でしたが、あっという間に読めました。
その続きで読んだのが山本兼一の「花鳥の夢」、等伯のライバル、狩野永徳が主人公です。amazonで本を検索すると、その後も「これも興味がありませんか」と勝手に本を紹介してくれるのですが、それで見つけました。まんまとamazonにしてやられているワタクシ。
「等伯」のほうでは、等伯のライバル、敵役として描かれており、ちょっと「ヤな奴」でした。主人公で描かれたらもうちょっと「よい人」になるのかと思っていたら、そんなことはなく、ヤな奴っぽい奴でした。出自にプライドがあったのでしょう。“狩野派の長”という立場もすごいプレッシャーだったんでしょうね。昨年、サントリー美術館で「狩野元信展」が開催され、NHKの日曜美術館で見ましたが(実際は行ってません)、全体に「元信、すごい!」で終始していたので(←ものすごくざくっとした感想でスミマセン)、その孫である永徳はもちろん才能はあるんだけれど、それ以上のものを求められる(求められていると思っている?)から大変だったんだろうなと本を読みながら思っておりました。
さらに、等伯と永徳を読んでいると必ず登場する利休。同じ山本兼一で「利休にたずねよ」があったので、そちらも読みました。
これって、読み始めてから知ったのですが、エビサンで映画化されたものなんですってね。普通、そういうのを聞くと、何かと影響を受けやすいワタクシはその役者さんを思い浮かべながら本を読んでしまうのですが、エビサンはあまり出てこなかったです。違うような気がするのですが、作者の山本兼一さんは大絶賛だったそうです。それよりも、ワタシの場合、石田三成=山本耕史となっていて、しょっちゅう山本耕史クンの顔が浮かんでおりました。ついでに黒田官兵衛が出てくると、やっぱり、岡田クンですね。
話がそれました。この本、ストーリーに追い方が海外の推理小説みたいで、「おっ」って感じで読みました。利休の美意識がとにかくすごくて、文字だけで表現するのも大変だろうけれど、これを映像でとなるともっと大変だろうなぁと思いました。
こういう歴史小説を読んでいると、浜村純の映画解説ではないけれど、本当に“見てきたように”なので、ほんまかいなと思いつつ、引き込まれます。それだけ描かれている人物がドラマチックで魅力的なんでしょう。
歴史小説、面白くてサクサク読めるので読みたいけれど、何となく、ゴツゴツと読みにくい本も読まないといけないような気がして、何冊か読むとしばらくお休みです。この年になれば、そう無理しなくてもいいんですけどね。何となく、読書に“お勉強”を求めてしまうところがあります。