おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

古希記念桂南光独演会

2021-01-18 22:28:54 | 観たもの
 南座で開かれたべかちゃんの「古希記念桂南光独演会」でございます。

 演目と出演者です。
 ご挨拶        桂 南 光
 「阿弥陀池」     桂 米 輝
 「試し酒」      桂 塩 鯛
 「火焔太鼓」     桂 南 光
  <中入り>
 漫才         ザ・ぼんち
 「上州土産百両首」  桂 南 光 (脚色・くまざわあかね)

 最近の落語会では珍しく最初から演目が発表されていました。歌舞伎ほど足繁く落語会に通っているわけではありませんが、ここのところ大体「当日のお楽しみ」みたいになっていて、終演後ロビーにその日の演目が貼りだされそこで大混雑が起こるっていうのを何回か経験しています。昨年12月に行った松竹座の大阪落語祭もそうなっていて、このコロナの中、その紙の前は超密!、主催者ももうちょっと考えてよって思いました。

 べかちゃん(スビバセンがこう呼ばせていただきます、悪しからず)のご挨拶、入門の経緯って初めて聞きました。枝雀さんの落語も聞いたことなく、落語家に入門ってなかなかの大物!?です。でもそれを受け入れた枝雀さんももっと大物ですよね。一対一でお稽古をつけてもらわれている場面、べかちゃんは完全に観客になって枝雀さんの落語を聞いて大笑いしてしまったそうです。枝雀さんのあきれてる様子、怒ってる様子、困ってる様子を想像して、ワタシも久しぶりに大笑いしました。そういえば、べかちゃんの評伝のような本って読んだことがありません。枝雀さんは追っかけの真似事をしていたくらいなので、いろいろ読んでますが。ちょっと探して、あれば読んでみたいです。爆笑エピソード満載のような気がします。

 前座の米輝さんと塩鯛さんは申し訳ないけれど、休憩しておりました。米輝さんはともかく、塩鯛さんは独演会にも行ったことあるし、お上手な方とはわかっていたのですが「べかちゃんの噺、聞きたいなぁ」と思っていたら、何となく意識が遠のいていきました。

 べかちゃんの「火焔太鼓」、米朝師匠も枝雀さんも手掛けたことのない噺だとご挨拶の時におっしゃっていましたが、もともとは江戸落語にあった噺を小佐田定雄さんが上方落語に書き替えられたものです。小佐田さんの「新作らくごの舞台裏」という本にも出てきた噺でした。と、その本で読んだことまでは覚えていたのですが、内容までは覚えておらず、今日の落語会までに「読まなあかんわ」と思いながらそのまま…。で、帰ってきてから本を読みながら、こちらを買いております。お江戸の古今亭のお家芸で、サゲも亭主が「今度は半鐘を仕入れて来て鳴らそう」と言うのに対して女房が「半鐘はいけないよお…。おじゃんになるから」となっているそうです。小佐田さん「絶対ムリ」と思われていたのをべかちゃんに頼まれ上方落語化を図られました。

 べかちゃん、大胆にもお江戸の落語会でこの「火焔太鼓」を披露されたところ、柳亭市馬師匠におほめの言葉をいただかれたそうで、それだけ元から上方落語にあったような噺になったんですね。シチュエーションが何となく上方落語にはない感じだなと思って聞いていたのは、元がお江戸の落語だからなんですね。納得です。でも、亭主と女房、亭主と住友さんの番頭さんのやり取りは本当に上方落語でした。

 中入り後のザ・ぼんちの漫才、たぶんナマで聞くのは初めてです。去年春先の緊急事態宣言解除直後は漫才も間にアクリル板を挟んでマイク2本で演じられていたと思うのですが、今日はそういうのはなく、昔ながらの漫才のスタイルでした。意識して離れようとされているのですが、熱演でお互い飛沫も飛びまくるだろうし、見ていてヒヤヒヤしました。そのせいか、「早く終わって」と思ってしまいました。重ね重ね、スビバセンね。

 最後の「上州土産百両首」は、ワタシは歌舞伎で見ています。新国劇や松竹新喜劇でも上演されたことがあるそうです。それをくまざわあかねさんが脚色されました。かなり端折ったはりました。歌舞伎で2時間近くかかるのを30分程度の噺にするので、仕方ないのですが。ストーリーを知っているので、聞きながら亀ちゃんとみっくんを思い出していた失礼な客はワタシです。と言いつつ、結末があやふやで、今日の噺の結末はとてもやさしいホッとするものでしたが、歌舞伎はもうちょっと切なかったような気がするのですが。

 「火焔太鼓」も「上州土産百両首」もどちらも聞いたことのない噺でしたが、ヤホーで調べてみると、べかちゃん結構演じていらっしゃるようで既に手の内に入った噺なんですね。安心して楽しく聞くことができました。やっぱり、べかちゃんの落語って好きやなぁと改めて思いました。そういえば、ワタシ、昔々「べかこくらぶ」というのに入ってて、会員番号が10番台とかそういう若い番号でした。そういうことも思い出しました。

 この古希記念の独演会ですが、南座が初日でした。この後全国ツアーがあり、6月26日の松竹座で大千穐楽となります。ってことはやっぱり松竹座も行きますか。漫才がオール阪神巨人さんだそうで、それも楽しみです。
コメント (2)
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