福岡発 コリアフリークなBlog

韓国や韓国語に関するオタクの雑学メモ。韓国映画はネタバレあり。 Since 2005/9.14

朝鮮学校とイスラム学校

2010年03月18日 |   〇在日コリアン

高校無償化(助成)制度から朝鮮学校を除外しようとする日本
政府に対し、韓国メディアは一様に、民族主義的な観点から
強い批判を加えている。

そうした中、一人の西洋史学者が朝鮮日報に投稿した長文の
記事は異色だった。

彼は、日本の朝鮮学校除外問題を批判するだけではなく、韓国の
国民教育が抱える同じく深刻な問題にも言及しつつ、東アジアに
おけるマイノリティの学習権支援の必要性を訴えていた。

久しぶりに全てを日本語に訳してみたいと思う長文の記事に
出会った。

紙面の都合上、韓国語本文の引用は省きながら、翻訳練習
させてもらった。

・・・・・・・・・・・・・・

■[아침논단] 일본의 조선학교와 뉴욕의 이슬람학교
[朝の論壇] 日本の朝鮮学校とニューヨークのイスラム学校
(朝鮮日報 3月17日)

イム・ジヒョン漢陽大学教授(西洋史)

・少数民族の教育は、イデオロギーを超え、配慮と寛容の精神で
アプローチすべき

日本の朝日新聞は3月12日付け報道で、民主党政権が推進する
高校無償化から朝鮮総連系の朝鮮学校が除外される見通しだと
伝えた。公立高校の授業料を免除し、私立高校では生徒一人
当たり年間12万円を支援する高校無償化は、民主党の選挙
公約の一つの柱だった。

民主党政権の支援対象には単に日本の公・私立高校のみならず、
韓国民団系の韓国学校、中華学校、ブラジル学校、インター
ナショナルスクールなどの外国人学校や、政府の認可を受けた
高校段階の各種学校などが全て含まれるが、唯一、朝鮮学校
だけが除外される見通しだとの報道は、この問題が非常に
複雑な背景を抱えていることを暗示している。

報道によれば、鳩山首相は、朝鮮学校が「客観的に見て」日本の
高校課程に準じているのかという疑念を表明し、文部科学省は
教育課程を確認する公式の外交チャンネルがないことなどを
理由に挙げた。しかし、中井洽(ひろし)拉致問題担当相をはじめと
する内閣が口火を切る形で朝鮮学校の除外問題を提起したことを
考えれば、問題の核心は技術的な問題ではなさそうだ。

型破りな言動で日本の地方政界に新風を吹き込んで来た大阪府の
若手知事、橋下徹氏は、さらに強硬な姿勢を見せている。彼は、
教室に金日成父子の肖像画を掲げている朝鮮学校の教育内容に
問題を投げかけながら、地方自治体の助成も打ち切るべきだと
気炎を上げている。彼は、教室での金日成父子崇拝が、過去、
天皇の「ご真影」に忠誠を誓わせた日本の植民地主義教育の
遺産でもあるとの見方には思いも及ばなかった様子だ。

日本の朝日新聞が同記事を掲載した同じ日、アメリカの
ニューヨークタイムスは、アラブ語で授業を行っているニューヨーク
市の「ハリール・ジブラン」公立学校の初代校長を務めたデビ・
アモンタザーがニューヨーク市教育局を提訴した裁判で勝訴した
ことを報じていた。ニューヨークの保守的な教育評論家らは、
イエメン出身のデビ校長に対し、「9・11否定論者」、「イスラム
聖戦主義者」との烙印を押し、彼女が好戦的なイスラムの教義を
学校に持ち込んでいると非難し続けて来た。

結局、デビは、学校で「インティファーダ・ニューヨーク市」と
プリントされたTシャツを配布したとの理由で、校長職を追われた。
しかし、裁判所での審議の中、アメリカの「雇用機会平等委員会」が、
解雇不当の決定を下したことで、彼女の校長職復帰への道が
開けた。「人種、宗教、民族の起源」を理由にデビを差別した容疑を
かけられる形となったニューヨーク市教育局側は、「最後まで闘う」
とのコメントを発表したが、今後、設置される両者間の協議の場を
経て、デビが校長に復職する公算が大きいと見られている。

日本とアメリカの有力日刊紙2紙が、同じ日に伝えたこの対照的な
2つの記事は、マイノリティーの権利と生徒の学習権について多くの
ことを考えさせてくれる。1870年代、ヨーロッパから導入された
義務教育の核心は国家が財政支援を行う代わりに、国家に忠誠を
尽くす国民を作り出すことにあった。フランスの公立学校が十字架や
ヒジャブ(イスラム女性のスカーフ)のような宗教的象徴を学校で
着用させないのも、宗教への忠誠を国家への忠誠に優先させては
ならないという原則があるためだ。

鳩山内閣が朝鮮学校支援を留保するのも、同じような脈絡で
見ることができる。北朝鮮に対する忠誠を強調する朝鮮学校の
民族主義教育に、日本政府が財政援助をする理由がないという
考えが今回の措置の根本にあるのではないだろうか?もし、
高句麗を中国史として教え、独島(日本名:竹島)を日本の領土と
教える、ソウルの中国人学校や日本人学校を韓国政府が高校
無償化の対象に含め財政支援でもすることになれば、韓国社会は
どういう反応を示すだろうか?とても、日本の極右勢力より寛容な
反応を示すとは思えない

何も鳩山内閣の決定を擁護しようとしているわけではない。実際、
チュチェ思想を教える朝鮮学校を支援してはならないという類いの
イデオロギー的な判断も困りものなのだ。朝鮮学校に通ったからと
言って、在日4世や5世の青少年たちが、チュチェ思想の熱烈な
信奉者になるわけではない。在日朝鮮人の若手映画監督らが
作った映画「Go」や「パッチギ」の主人公らは、若者特有の溌剌と
した感性で、日本の学校であれ朝鮮学校であれ、権威に従属する
ことなく自分たち自身の世界を創造しようとしていた。

少数民族を含めた全ての子どもの自由な学習権の保障は、
どんな場合においても妥協の許されない原則
だ。19世紀的な
国民教育の枠を脱し、他者や隣人に対する配慮や違いに対する
寛容を原則とする新しい教育を再構築できれば、国民主流に対する
教育と自由な学習権とが大きく衝突する理由もない。この移民と
越境の時代、朝鮮学校問題が、少数民族をはじめとするあらゆる
マイノリティの権利を擁護し支援するための東アジア共通の
「権利章典」作りに向けた第一歩になることを期待したい






△「まじめに勉強するヲタクさんを見ていると、
私の母性本能がうずいてきます



(終わり) 

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