■티끌모아 로맨스 「塵も積もれば恋となる」 2011年 〇〇---
(732)
2011年に公開されたラブコメディ。
△屋上住宅に住む女と屋上のテントに暮らす男(映画より)
定職のない若い男女が、廃品回収や何でも屋的な仕事で日銭を
稼ぎながら、世知辛い大都会を生き抜く姿を、コミカルに描いて
いる。
△都会の屋上の簡易住宅とテント(映画より)
この映画では、アパートを追い出された男が寝泊まりするように
なった、屋上のテントが印象に残った。
正直、2、3日くらいなら、「ヲタク」も体験してみたい都会の
テント泊である。
(終わり)
■나를 잊지 말아요 「私を忘れないで」 2016年 〇----
(731)
2016年に公開されたミステリードラマ。
交通事故で家庭生活にまつわる記憶を失った男が、徐々に記憶を
取り戻していく過程を、男の視点からミステリー風に描いている。
男の夫婦には、大切な一人息子を男と同じ事故で失った残酷な
過去があった。
△息子の墓地を訪ねた妻と妻の弟(神父)<映画より>
この映画で「ヲタク」がこだわったのは、墓地の場面。
カトリックの神父(妻の弟)が十字を切る時に口にした言葉だ。
△墓地の前で十字を切る神父(映画より)
성부와 성자와 성령의 이름으로. 아멘.
聖父(ちち)と聖子(こ)と聖霊の御名(みな)によって。アーメン。
韓国語の学習者なら、カトリックの信者ではなくても、一つの
教養としておぼえておいていい言葉だろう。
(終わり)
■남쪽으로 튀어 「南に跳べ」 2013年 〇〇〇--
(730)
2013年に公開された社会派コメディ。
慶尚南道の南海上に浮かぶ小島を舞台に、地元選出の国会議員と
開発業者が手を組み、リゾート開発を強行しようとする。
△主人公の故郷は慶尚南道南海の小島(映画より)
売れない映画監督の主人公は、強制撤去されかけた後輩の家を
守るため、ソウルから故郷の小島に移住する。
△後輩の家を守ろうとバリケードを築く主人公(映画より)
弱者の声が無視されがちな現実世界とは異なり、この映画では、
主人公家族や反対派島民らの苦闘が実を結び、議員や業者の計画を
挫(くじ)くことに成功する。
△視察に来た国会議員を人質に取った主人公(映画より)
社会風刺の効いた、なかなかおもしろい映画であった。
(終わり)
■악인전 「悪人伝」 2019年5月 〇〇〇〇-
(729)
2019年5月に公開され、330万を超える観客を動員したヒット作。
実話に着想を得て作られたノワール風の犯罪アクション映画だ。
△夜の繁華街を走る凶悪殺人魔(映画より)
時代は2005年。
△殺人犯を撃退したものの大けがを負わされたボスに事情を聞く刑事(映画より)
警察のみならず暴力組織まで手玉に取りながら、相手かまわず殺人を
繰り返す超凶悪な無差別殺人魔を相手に、刑事と暴力組織が協力し、
お互いの面子をかけ犯人を追う。
△アクの強い主役男優の2人(映画より)
刑事とボスの緊張感溢れる協力関係に他の暴力組織との抗争が
絡む展開の妙もあり、実に見ごたえのある映画だった。
△主人公のボスが経営する成人ゲームコーナー(映画より)
ところで、この映画で「ヲタク」が強く郷愁を掻き立てられたのが、
日本のパチンコ台を改造した成人ゲーム機。
△一時期、韓国で大流行したパチンコ台改造ゲーム(映画より)
当時の改造機そのものが登場したわけではないが、一時期、韓国
社会を席巻した違法ゲーム機で、勝つと商品券がもらえ、その券を
現金に換金することができた。
△ゲームセンターの換金窓口で従業員の頭をつかんだ刑事(映画より)
「ヲタク」はその昔、プサンの草梁洞の成人ゲームセンター
(クスルチギ)で、一度だけ台が大当たりし、商品券を現金化
したことがある。まだ、日本と全く同じパチンコ台(パチンコ玉)を
使っていた時代だった。
もちろん、その1回の勝利以外は全て負けたが、今となっては、
いい思い出だ。
(終わり)
■창수 「チャンス」 2013年 〇〇---
(728)
2013年に公開されたノワール風の復讐ドラマ。
「ヲタク」が見るに、韓国映画には復讐劇が非常に多い。その分、
復讐の方法も実に多彩(?)だ。
△主人公のチャンスはインチョン中華街に暮らすさえない無職青年(映画より)
この映画では、初恋の女性を殺された上に、その罪まで着せられ
10年の懲役を務めた主人公の男が、真犯人である裏組織のボスに、
命がけの復讐をくわだてる。
しかし、やっとのことでボスにたどり着いた主人公は、ボスの
返り討ちに合い、ボロボロにされたあげく日本刀で刺されてしまう。
それでも、最後の最後に主人公が目的を果たすことができたのは、
主人公が周到に仕組んだ毒入りタバコのおかげだった。
△主人公を刺した後、悠然と毒入りタバコを吸うボス(映画より)
これには、「ヲタク」も意表を突かれてしまった。
(終わり)
■굿바이 마이 러브 NK : 붉은 청춘
「グッバイ・マイ・ラブ 北朝鮮 : 赤い青春」 2019年 〇〇〇〇-
(727)
2019年に公開された骨太の歴史ドキュメンタリー。
1950年代にソ連の国立映画大学に留学した後、ソ連に亡命した
北朝鮮の8人の青年らの生涯を追った作品だ。
作品は、取材当時(2014年開始)、存命だった3人の関係者
(元留学生2人、夫人1人、元留学生の1人は取材期間中に死去)の
証言を中心に構成されている。
△2014年、カザフスタンのアルマータで取材を受けた元留学生(映画より)
青年らは、スターリンの個人崇拝統治を批判したフルシチョフの
演説に強い衝撃を受ける。そして、「中国派」や「ソ連派」などの
人脈を次々と粛清し、スターリンを上回るような個人神格化を強める
金日成政権を批判するに至る。
留学生の中には、本国で家族が粛清された者もいた。
北朝鮮当局は、ソ連に対し、留学先で反党的な行動を取る8人の
学生らの本国への強制送還を要請するが、フルシチョフのソ連は
北の要請を拒否し、逆に留学生らのソ連への亡命申請を認めた。
8人の留学生は、ソ連の地で高麗人(朝鮮系ソ連人)として生きる
道を選んだのだ。
大学卒業後、彼らは主にカザフスタンの放送局に職を得て、それぞれ
撮影監督や映像技術者、演出家などとして活躍を続け、生涯を
閉じて行った。
△元留学生とロシア人妻と子(映画より)
中には、ロシア人女性(本作品に登場)と恋をし、結婚する者もいた。
△今は亡き元留学生の夫との結婚について語る夫人(映画より)
それにしても、老いてなお、凛とした表情で元留学生との民族を
超えた愛について語るロシア人老女の純情には、心を打たれた。
△かくしゃくとした口ぶりで愛について語るロシア人老婆(映画より)
人生に裏打ちされた真実の言葉には、演技からは決して生まれない
重みや力がある。
ロシア語学習者(初級)として、彼女の美しいロシア語を、たとえ
一部とは言え、直接、理解することができたのは幸いだった。
いろいろな意味で貴重な映画だった。
(終わり)
■아마존의 눈물 「アマゾンの涙」 2010年 〇〇〇〇-
(726)
2010年に公開されたドキュメンタリー作品。南米アマゾンに住む
2つの部族の暮らしを長期にわたり取材し、制作された作品だ。
制作主体はMBCで、劇場版公開に先立ち、テレビ放送(性器の露出
などを控えた別バージョン)も行われている。
△アマゾンには相当大きな家もある(映画より)
この作品では、彼らの日常生活や家族関係、さらに狩りや採集、漁、
農業、祭りなどの様子が丹念に撮影されている。
△ある部族が行っている相撲大会(映画より)
中でも「ヲタク」が興味を引かれたのは、相撲に似た力比べ大会の様子。
△アマゾン相撲では相手を地面に抑え込んだり、体を抱え上げれば勝ち(映画より)
ある部族は、一見、モンゴル相撲に似た力比べを男女別に行っていた。
△女性の部もある(映画より)
また、撮影チームの労苦がしのばれる場面も強く印象に残った。
△痛々しい虫刺されの痕(映画より)
彼らの腕は、虫刺されの痕(あと)でいっぱいだった。
なかなか、いいドキュメンタリー作品を見せてもらった。
(終わり)
■더 파이브 「ザ・ファイブ」 2013年 〇〇〇〇-
(725)
2013年に公開された復讐サスペンス。
芸術家の仮面を被ったサイコパス(異常犯罪者)に夫と1人娘の
命を奪われ、自らも下半身に障がいを負わされた女性が、自らの
命と引き換えにサイコに制裁を加える物語。
△幸せな家族の妻であり母親であったころの主役女性(映画より)
女性は、心臓や肝臓など自らの臓器の提供を条件に4人の協力者を
得て、サイコを追い詰めて行った。
△自分の命を投げ出し、サイコに復讐することを決意した女性(映画より)
それにしても、この映画で主役女性を演じたキム・ソナは、なかなか
よかった。
彼女が主演したテレビドラマの大ヒットに比べると、微々たる
興行成績しか残せなかった映画だが、「ヲタク」はこの映画を
見て、初めて彼女のファンになってしまった。
(終わり)
■닥터 「ドクター」 2013年 〇〇〇--
(724)
2013年に公開されたサスペンス・スリラー。
主役は、整形外科医として大成功を収め、裕福な暮らしを送る
50代のサイコパス(人格異常者)。
△人の良さそうなサイコ。表と裏のギャップがたまらない。(映画より)
悪役としてサイコが登場する韓国映画は多いが、サイコの男が
主役になった韓国映画は珍しい。
△妻の母親の肉を妻に食べさせるサイコ(映画より)
男は、自分を裏切った若い妻とその浮気相手をはじめ、男を
金づるとしか思っていない妻の母らに残忍な制裁を加える。
そして最後に、整形手術で見事に顔を変え、別人になりすまし
新しい人生を歩み始める。
なかなか見ごたえのある映画であった。
(終わり)
■따라지 : 비열한 거리 「くず : 卑劣な街」 2015年 〇〇〇--
(723)
2015年に公開されたインディーズ系のノワール映画。
多額の借金を抱え風俗街に身を落とした女性と恋人の男が主人公。
△女は借金を返すため風俗街で働いている(映画より)
男は、彼女を街から救い出したいと思いながらも、実態は彼女の
アパートでヒモのような生活をしている。
男は、昔の友人である弱小暴力組織のボスからの殺人依頼を
引き受け、一発逆転を狙う。
△早朝の風俗街を歩く男と女(映画より)
しかし、男の女性に対する純情は、結局、報われることなく、男と
ボスは破滅に向かう。
悲しい物語ではあったが、それなりに見ごたえはあった。
■울 언니 「私の姉」 2014年 〇〇---
(722)
2014年に公開されたインディーズ系のサスペンス映画。
大田の音大に通う女子大生とソウルで暮らす姉が主人公。父母を
亡くした姉妹は、今や2人っきりの家族。
その姉が、ソウルのマンションから謎の転落死を遂げる。
妹は失意の中、刑事の協力を得ながら姉の死因を探る。
△大田の音大に通う女子大生が姉の復讐を遂げる(映画より)
そして、真実を突きとめた彼女は、真犯人に復讐する。
それにしても、妹を大学に行かせるため、妹には黙って老実業家の
愛人となり、最後には非業の死を遂げる姉の人生には、心が痛んだ。
(終わり)
■구세주 2 「救世主 2」 2009年 〇〇〇--
(721)
2009年に公開されたラブコメディ。「救世主 1」と主演男優は同じ
だが、物語の連続性はない。
この映画の主人公は、ソウルの大きなタクシー会社の御曹司にして、
根っからおバカな放蕩息子。
その彼が、1人の美しい女性と出会い、繰り広げる切ない恋物語を、
コミカルに描いた作品だ。
ところで、この映画で印象に残ったのは、何と言っても日本カブレの
変態ホモ男。
△「モウイイヨ、ニドトノルカ、オマエ!フザケルナ!」と日本語で怒鳴る男(映画より)
彼は「10分間だけいっしょに映画を見てくれたら10万ウォンあげる」と、
主人公を自分のアパートに誘い込む。
そして、日本の最新AVを見せたまではいいが、主人公の膨らんだ
股間に手を伸ばしたところで魂胆がばれ、激怒した主人公に暴力を
振るわれそうになる。
△丸い赤色のカーペットは日の丸のつもりか?(映画より)
すると今度は、「どうせ殴るのなら、これでぶってください」と、
主人公にムチを手渡す。
この日本カブレのド変態ぶりには笑わせられた。
(終わり)
■구세주 리턴즈 「救世主 3」 2017年 〇〇〇--
(720)
2017年に公開された社会派のコメディ映画。
△主人公は下宿も営んでいるが、下宿費の滞納が続いている(映画より)
いわゆるIMF時代(1997~01年)を背景に、経済的な困難に
瀕した主人公(青果の卸売商)家族や下宿中の学生らが繰り広げる
ドタバタ人情コメディ。
△美人の女子大生は多額の「マエキン」(前借金)を提示され夜の世界へ(映画より)
この映画では、初めて耳にした「마에킨」(マエキン)なる日本語
由来の俗語が印象に残った。
マダムが、将来、間違いなく店の人気者になりそうな美人の
女子大生に対し、引き抜きや移籍を防止するために、前もって
多額の「前借金」を提示する場面で使われた言葉だ。
女子大生はこの言葉を聞いて「マネキン?」と聞き返すなど、
俗語の中でも決して一般的な用語ではないようだが、ネット情報に
よれば、主に水商売の世界などで使われている用語だとのこと。
(終わり)
■옹알스 「オンアルス」 2019年 〇----
(719)
2019年5月に公開されたドキュメンタリー映画。
国際的にも高い評価を得ている韓国のコメディグループ「オンアルス」の
活動の舞台裏を記録した作品。
「オンアルス」なるグループ名は、赤ちゃんの言葉にならないつぶやき
「オンアル」(ば~ぶ~)に英語の「s」を付けて出来上がった。
言葉を使わず、ヒューマンビートボックスをBGMに小道具を
使いながらコミカルな肉体の動きだけで笑いを誘う、彼らの
表現方法から来た言葉でもある。
グループのファンでもない「ヲタク」にとっては、正直、単調で
退屈な映画だったが、知らない世界をのぞくことはできた。
(終わり)
■아나운서 살인사건 「アナウンサー殺人事件」2019年 -----
(718)
2019年に公開されたインディーズ系のホラー映画。
連続殺人犯からインタビュー取材の提案を受けた女性アナウンサー
2名とカメラマン、そして殺人犯の行方を調査中の女性記者1名が、
殺人犯の罠にハマり、全員殺害されてしまう。
△アナウンサー2名と記者(映画より)
ホームビデオ風の「POV方式」(Point of View Shot)で撮られた
映画だったが、心に残るものの全くない映画だった。
韓国語の聞き取り練習だけはできた、と割り切るしかない。
(終わり)
■해피뻐스데이 「ハッピー・バス・デイ」 2017年 〇〇〇〇〇
(717)
2017年に公開されたインディーズ映画。
この映画に登場する家族には、近所の人もその存在を知らない、
重度障害を持つ長男がいて、2階の1室で寝たきりの生活を
送っている。
その長男の30数回目の誕生日に家族全員が集合し、みなで長男を
毒殺し、人知れず死体をワンボックスの小型バスに乗せ遺棄する、
という露悪的な展開の物語だ。
介護に疲れ果てた母親が言い出した計画に、家族の全員が同意した
上での企(くわだ)てだった。
△「ノブナガ」の草履を懐で温めた「ヒデヨシ」のように母親に尽くせと力説する母の弟(映画より)
最初は、刺激の強いアングラ演劇でも見せられているようで、
拒否感に近い嫌悪感を抱いた「ヲタク」だったが、一癖も二癖もある
登場人物らが繰り広げる人間的な世界に、徐々に引き込まれていった。
それは、「ヲタク」が、この家族の長男殺しの犯行に、共犯者として
画面越しに参加していく過程だったとも言える。
△長男に毒薬入りの料理を食べさせた後、長男の死を待つ家族ら(映画より)
「だから福祉制度が必要なのだ」という言い訳めいた結論などでは、
とても整理がつきそうにない、この心のザワツキ。
元来、人間とは、非人間的な闇の部分も含めて人間なのだろう。
自分が信じている理性や良心といったものの根っこを、今一度、
本気で見つめ直して見たくなった映画である。
(終わり)