福岡発 コリアフリークなBlog

韓国や韓国語に関するオタクの雑学メモ。韓国映画はネタバレあり。 Since 2005/9.14

ハングルとパスパ文字

2007年10月06日 |  〇文化・歴史

10月9日の「ハングルの日」にちなみ、MBCは7日午後、ハングルの
起源をめぐる諸説を検証する特別ドキュメンタリー番組を放映する。


△インドのグジャラート州で使われている
ハングルに似た文字。

MBCの事前の番組紹介などによれば、放送の中で、現在、インドの
グジャラート州で使われているハングルによく似た文字(上の写真)
も紹介されるとのこと。

古代インドの梵字(サンスクリット文字)の系譜を引くという
グジャラート文字だ。

ただ、全く残念なことには、番組はこのグジャラート文字の一部と
ハングルとの類似性について掘り下げて探求することはしない。

番組では、この梵字系の文字が日本の「神代文字」(その多くが
ハングル起源とおぼしき文字)と同レベルの一つの「ミステリー」
として紹介されるにとどまっている。

結局、番組は、様々な「ミステリー」の存在にも関わらず、ハングルの
独創性は「訓民正音解例本」(1940年発見)の記述が明快に
証明してくれているという「予定調和」的な結論へと導かれて行く。

これは、ハングルの歴史や起源を扱った韓国メディアの記事や
番組で共通して見られる一つのパターンだと言える。

ところで「ヲタク」は、全体から見れば極々一部にとどまっている
とは言え、インドのグジャラート文字の一部とハングルの持つ
類似性は、決して偶然の産物ではなく、その「ミステリー」を解く
「鍵」も、ちゃんと存在していると考える。

同じく梵字の影響を受けて作られたチベット文字や、チベット文字
から作られた元王朝のパスパ文字(現在は「死文字」)がそれだ。


チベット文字で使われている
ハングルと似た子音の一部


アメリカ韓国学の大家であるガリ・レッドヤード(Gari Ledyard)博士は、
ハングル文字が元王朝のパスパ文字を一部参考にして考案された
との説を唱えているが、「ヲタク」も博士の説を支持している。


△ハングルと似た形を持つパスパ文字の一部

子音と母音の組み合わせ方や一部子音の形態の類似性など、
パスパ文字と初期のハングルに同じ表音文字として偶然を
超えた類似性が見られるからだ。


△「k、t、p、ch、l」などの音が対応するパスパ文字(上)とハングル(下)の子音
※英語版ウィキペディア「ハングル」の項参考


元が朝鮮半島に及ぼした深い影響を考える時、朝鮮の学者たちが
ハングル文字を新たに考案する際、パスパ文字を参考にしたとしても
何ら不思議ではないし、しなかったという方がむしろ不自然な気がする。

「ヲタク」は、仮に朝鮮の学者が元時代のパスパ文字を参考にして
ハングル文字を考案したのだとしても、そのことで独創性に富んだ
合理的な文字であるハングルの価値が下がるとは思えない。

むしろ、ハングルの純粋な独創性に固執する韓国社会の過剰な
民族主義が、ハングルを朝鮮半島に「軟禁状態」にしてしまい、
ハングル誕生の歴史をベールに隠し、本来、ハングルが持って
いる深くて広い歴史性を奪い取ってしまっているように思える。


それでは最後に、MBCの「ハングルの日」関連特集番組を紹介
したハンギョレ新聞の記事を翻訳練習しておく。

・・・・・・・・・・

■ 한글 기원설 꼼꼼히 파헤쳐
ハングルの起源をめぐる諸説、綿密に検証
(ハンギョレ新聞 10月5日)

・한글날 특집 다큐멘터리 ‘미스터리 한글, 해례 6211의 비밀’
(MBC 오후 3시30분)
・「ハングルの日(10月9日)」特集ドキュメンタリー「ミステリー・
ハングル、解例6211文字の秘密」
(MBC 10月7日午後3時30分放送)

1997년 10월 유네스코의 세계문화유산으로 지정되며 우수성을
인정받은 한글이 수많은 기원설로 몸살을 앓고 있다. 제작진은
한글 창제 이후 500년간 제기된 ‘한글은 원래 일본에서 만든
문자’ ‘한글은 원래 범어에서 나온 것’ 등의 한글 모방설의
실체를 밝히고, 한글을 둘러싼 다양한 기원설을 미스터리
형식으로 파헤친다.
1997年10月、ユネスコの世界文化遺産に指定され優秀性を
認められたハングルが、その起源をめぐる諸説により苦しめられて
いる。制作チームはハングル制定以来500年の間に提起されて
きた日本神代文字起源説や梵字起源説など、ハングルが他の
文字を模倣して作られたとする諸説の実体を明らかにし、ハングルを
めぐる多様な起源説を「ミステリー」として検証する。

한글이 세종의 독창적인 발명품인지를 알아보기 위해서
훈민정음 해례본의 6211자를 토대로 과학적 추리를 시도한다.
2001년부터 한글날 특집을 도맡아 만들어 온 최재혁
아나운서는 “세종은 당대는 물론 후대 학자들로부터 한글의
독창성에 대해 의심받아왔다”며 “세종대왕에 대한 오랜
누명에 마침표를 찍고 싶었다”고 말했다.
番組はハングルが本当に世宗の独創的な発明品であるのか否かを
確かめるため、「訓民正音解例本」の6211文字を土台に科学的な
推理を試みる。2001年から「ハングルの日」特集番組の制作を
担当してきたアナウンサー、チェ・ジェヒョク氏は「世宗によるハン
グル制定当時はもちろん、後代においてもハングルの独創性に
疑念を向ける目が存在してきた
番組では、長い間、世宗にかけ
られてきた汚名に終止符を打ちたかった
」と語った。



(終わり)


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