翻訳 朴ワンソの「裸木」17<o:p></o:p>
P59~<o:p></o:p>
私は戸惑った。米国がポップコーンとかコーラの洪水ぐらいで代弁されたとしたら、その下品とそのケチくささに侮蔑の目を投げかけることもできるのだけれど、ダイヤがコーラのように当たり前だということは私の想像力では手に負えないのだ。<o:p></o:p>
例え米国が伝統とか精神の貧困という弱点を背負ったとしても、それ自体だけでもどのくらい恐ろしいことなのだろうか?<o:p></o:p>
私は、絵の代金として受け取ったお金を閉店後すぐにオクヒドさんに差し出した。オクヒドさんは遅くまで残って几帳面に後始末をしていた。<o:p></o:p>
「何のお金?」<o:p></o:p>
「ダイアナから受け取りました、今日」<o:p></o:p>
「あれはあのままあげたもので」<o:p></o:p>
「あのままあげたと言うんですか? 彼女がどのくらいあの絵の恩恵を受けたと思っているんですか? 先生だけが無邪気に無駄骨を折る必要がどこにあるんですか。それで私が…」<o:p></o:p>
「わかった。今やってきて今更あの彼女があのお金を自発的に出すはずがない…ミス李、なぜそんな面倒なことをしたんだい?」<o:p></o:p>
彼の善良な瞳が悲しげで狼狽したような光を帯びて、私をたしなめていた。<o:p></o:p>
それは怒りよりも更に私を困惑に陥れた。<o:p></o:p>
「なぜ悪いんですか? 私はただ先生を助けて差し上げたかっただけなのに…」<o:p></o:p>
「キョンア、キョンアのような幼い人が僕を助けると思うぐらい、そんなに僕が無能に見えたのかい」<o:p></o:p>
私は泣きたかった。すべてが台無しになってしまったのだ。<o:p></o:p>
彼がダイアナの侮辱を受けた時よりも一層傷つき、私はただその傷心の周りをぐるぐる回る幼い人であるにすぎないということだ。<o:p></o:p>
彼はしばらくの間何かを抑えたように頭を垂れていたが、再び私を見た時は完全に平静さを回復して、<o:p></o:p>
「すまない。僕のために尽力してくれたのに…」<o:p></o:p>
彼の視線はいたわるように柔らかかった。私たちは一緒に街へ出た。<o:p></o:p>
「あぶく銭ができたから使いたいね」<o:p></o:p>
彼は洋品店のショーウインドーをしきりに覗き込んでいたが、再び大股に歩きながら、<o:p></o:p>
「どうしようか? ミス李のために何か買ってあげても、あのお金ではちょっと後ろめたいし、晩御飯でも一緒に食べない?」<o:p></o:p>
「気にしないでください。このままお宅へお帰り下さい」<o:p></o:p>
「酒を飲みたいんだけど、どうだい?」<o:p></o:p>
彼は独り言のようにつぶやきながら、飲み屋を探している目付きでもなく、人にぶつかるように歩いていた。<o:p></o:p>
明洞は相変わらず戦時らしくなく陽気で人が大きく波打っていた。<o:p></o:p>
私はオクヒドさんと別れようと思っていたけれど、よい機会をつかめないまま、彼の横を一緒に歩いた。<o:p></o:p>
「酒を飲みたいんだけど、どうだい?」<o:p></o:p>
しばらくして彼が同じことをもう一度繰り返すと私は、<o:p></o:p>
「じゃ一杯やってください。以前ここで失礼した…」<o:p></o:p>
「行かないでくれ。一緒にいてくれ」<o:p></o:p>
彼は素早く逃げようとする私の肩を片手で捕まえて、暗い目付きで重く私を押さえつけた。<o:p></o:p>
「行かないでくれ。一杯飲み屋のような所へ行こうというじゃないよ。どこかこざっぱりした所でキョンアは食事をして、僕は酒を少しだけ飲んで、そうできる所へ行こうと思うんだ。本当にお金があるよね? あぶく銭が。十分に使えるあぶく銭というのは楽しいね、ふふふ…」<o:p></o:p>
彼は少し大げさに笑いながら朗らかさを装おうとしたけれど、私はどうしょうもなく彼が深く隠した絶望を覗き込んでいた。<o:p></o:p>
まもなく私達はある和式の店、火鉢が置いてある座敷に案内された。
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