阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

オバマ大統領の広島訪問に思う(2)-具体的方法を語らずして核廃絶の本当の決意は示せない

2016年05月29日 00時54分45秒 | 政治

 オバマ大統領が広島を訪問しました。71年の時を経て現職の米国大統領が広島を訪問したことには大きな意義があると思います。

 オバマ大統領は、大学を卒業した後、多くの仲間がウォール街を目指す中、ニューヨークの出版社と公益法人で4年間勤務。その後、シカゴに移りコミュニティー開発プロジェクトに参加して、失業者の再教育、貧しい黒人向けの公営住宅建設プロジェクトなどに携わったそうです。また、学生の頃からどうすれば核のない世界を作れるか、研究し、自分のテーマにしていたそうです。彼が見せる政治的意志には、より良い社会を作ろうとする純粋な思いを感じます。

 広島で見せた表情や態度には品格があり、スピーチも格調高いものでした。これが大統領になったばかりの頃なら良かったのかもしれません。しかし、プラハ演説で核なき世界の実現を誓い、ノーベル平和賞を受賞しながら目立った実績は上げていないオバマ大統領にとって、広島でのスピーチは核兵器廃絶の実現に向けて本当の覚悟と戦略を示す最高のチャンス。ところが、詩的な言葉だけで終わらせ、核廃絶に向けた具体的な計画を何も語らなかったことが残念でなりません。

 米国では、今後30年間に1兆ドル(110兆円)もの巨額の税金を投入しての核兵器の小型化、ステルス化など再開発プロジェクトが進行中です。あのスピーチでは米国の核兵器に対する姿勢を変えるほどの影響力を持つとはとても思えません。個人の願望として核なき世界を目指す気持ちはわかりますが、米国大統領としてやっていることとは明らかに矛盾します。

 ひとりの人間としてのバラク・オバマ氏は好きなのですが、大統領として考ええると、今回の広島訪問は大統領としてのレガシー(遺産)作りの一環としか思えないのが残念なところです。




(上記写真はwashingtonpost.comより引用したプラハ演説の様子)


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