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長巻

2024-03-16 | Weblog
日本の最強の武器は長巻(ながまき)だと昔から思っている。長巻とは大太刀に長い柄がついたもので薙刀に似ているが、薙刀は長い柄の先に短い刀身がついているのに対して、長巻の刀身は大太刀そのものであり、その柄の長さは刀身と同じか少し長い程度である。薙刀が遠距離または馬上から振るうのに対して、長巻は近距離または中距離の間合いで一気に周囲を薙ぎ払う刀である(関羽の青龍偃月刀に近い)。刀身が重いので振り回すにはそれなりの力が必要となるが、膂力があるならば乱戦で無敵なのではないか?時代劇で長巻を多用したのは子連れ狼こと拝一刀である。拝一刀といえば水鴎流にして佩刀は胴田貫であるが、乳母車の持ち手が仕込み式の長巻になっており、初手で強敵に胴田貫を投げた場合は乳母車から長巻を外し、刃を展開して雑魚を一気に切り倒す場合が多い。
しかし、私に長巻を最大に印象づけたのは、学研まんが「織田信長(中島利行著)」における濃姫の長巻である。本能寺にて濃姫が長巻で相手を切り倒して戦いに参上するカットは凄まじいまでの迫力である。こういう構図をサラリとかける画力をもった漫画家って現代にはなかなかいないのでは。このシーンは衝撃的で子供時代から目に焼き付いて離れない。そして左ページにて濃姫が信長の横で長い柄を脇に挟んで長巻を下げているシーン、こんな大きな刀があるのかよ!と長巻を知らなかった子供時代に驚いたものだ。
長巻の話から逸れるが、中島氏の描く劇画調の織田信長は、信長の才能と狂気を見事に表現しており、その絵の巧さは子供時代から憧れであった。しかし中島氏は少女漫画が本業であったらしく学研まんがの登場は信長だけである。最近の学研まんがは絵も下手だしストーリー性もなく、台詞は参考書の読み上げに近い。もはや漫画である必要がないのだ。子供のために随分と物色したが、読ませたいと思わせる新しい学研まんがはなかったな。大事に私蔵している古き良き学研まんがは人生の宝である。






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