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紅麹の問題で思うこと

2024-04-03 | Weblog
今回の紅麹の事件、最初に思ったのはロバスタチンが原因じゃないのか?ということ。
ロバスタチンとは、日本人によって初めてカビ(Aspergillus属の一種)から発見された天然化合物であり、コレステロールの生合成酵素を強く阻害する活性を有する。そのためロバスタチン(またはその類縁体)は、現在でも血中コレステロール値を下げるための「薬品」として処方されている。ベニコウジカビもまた、このロバスタチンを作ることでよく知られているのだが、その活性の強さから安易に摂取してはならないということで、アメリカではロバスタチン含有の紅麹(Red yeast rice)は非認可ドラッグとされ、サプリでの販売は禁止されてる。つまりロバスタチンはそれだけ効く成分なのである。抗酸化のアントシアニンやお肌プリプリのコラーゲンは全く別次元なのである。
今回問題となっている日本の製品は、ベニコウジカビを米にはやして「紅麹」とした後、それを錠剤にしたものである。区分は機能性表示食品である。機能性表示食品とはその名の通り、食品がもつ機能性を強調表示した食品であるが、販売にあたっては国の審査と認可を必要とせず「届出」だけで済むのが特徴である。そのため、トクホよりも一段低い栄養機能食品の位置づけである。そのレベルの食品に、普段食さないカビの濃縮物(それも強い活性成分が含有されている)を、医師の指導なく好きなだけ食べられる食品(錠剤)として販売することに、売り手(小林製薬)は何か疑問を持たなかったのだろうか?ロバスタチンの効果を知らぬわけではあるまい。本来は医師の処方のもとで使用される活性物質が食品(錠剤)の状態で自由に摂取できることは、食薬区分からしてもかなり黒に近いグレーゾーンだと思う。見過ごしている厚労省にも責任はあると思う。
事故の原因は別のカビの代謝物では?という報告も出ているが、それも冗談じゃないレベルの話である。こんなのを聞くと、この小林製薬の大阪工場(昨年末に閉鎖)はHACCPに適応していたのか?という疑問さえもわいてくる。HACCPとはあらかじめ危害が出そうな場所を重点的に監視していく手法で、2021年よりすべての食品加工場において義務化されている。カビの純培養であったら、異種の混入は絶対にあってはならないので、そこで詳細な記録を残していなければいけないはずだ。最新のニュースでは、大阪工場はGMPさえも取得していなかったようだ。昨年末に工場を畳んだのはもしかして証拠隠滅のためなのでは?とさえ思ってしまう。

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