ここで何度も書いていることですが、日本には大学院に行かなくても博士号が取れてしまう「論文博士」という謎制度があります。論文博士は、企業研究者や官僚が肩書に箔をつけるためによくやる手法です。私の知るある官僚は学卒でしたが、転職(天下り)前にいきなり学位をとってそのまま大学の教授になってました。大学院に進学すると、5年分の学費がかかる上に収入は基本ゼロですが、論文博士の場合は、会社から給料をもらいつつですから、学位取得にかかる費用はゼロと言えます。それでも肩書上は、課程博士と同じ「博士Ph.D」になってしまうのです。アメリカで論文博士の存在を話したとき、学生たちには予想以上に驚かれ(冗談だろ?みたいな感じ)、教授からは日本の研究者をどうやって見分けたらいいか?とまで訊かれました。
論文博士制度のせいで、進学を迷う学生も将来取得できるなら今はいいやと就職してしまう・・・結果、学生数が少なくなり、大学の研究能力も下がるというわけです。ですから、もっと勉強したい・研究したいという学生が迷うことなく進学できるように、生活資金のバックアップも当然あるべきです。アメリカは各ラボの研究的資金から学生の生活費が支払われており、万が一、研究資金がストップしても、大学のチューター業務などで一時的に補える感じでした。学生も自分の頑張りが研究室の予算獲得につながるので、実験をサボることはないし(サボれは否応なく放出されます)、資金獲得のためのプレゼンは死活問題なので、教授だけではなくラボをあげての仕事って感じでした(学生が教授のプレゼンを聞いて改善点を提案する)。もう15年以上前ですが(驚き)、こうやって書いているとあまり遠い過去のような気分がしませんね。それぐらいアメリカの生活は充実して楽しかったのだと思います。
ORE提言
・論文博士の完全廃止
・博士課程学生への生活費の援助(競争的資金に盛り込む)
・産学連携で社会で即戦力になるような博士の育成
アメリカのラボで隣の実験台を使っていた優秀な女子学生は、博士学位取得と同時に大手企業の主任研究者となり、初年度から年収1000万越えでした。さらには学生結婚していた旦那もほぼ同時に学位をとり、有名ハイテク企業に勤めたので、家庭収入は30歳前にして2000万以上となっていました。日本では驚きの額ですが、アメリカではそのくらいは当たり前の感じでした。「博士取っても先がない」とか「博士の1割は行方不明」なんて言われる日本とは大違いですね。
論文博士制度のせいで、進学を迷う学生も将来取得できるなら今はいいやと就職してしまう・・・結果、学生数が少なくなり、大学の研究能力も下がるというわけです。ですから、もっと勉強したい・研究したいという学生が迷うことなく進学できるように、生活資金のバックアップも当然あるべきです。アメリカは各ラボの研究的資金から学生の生活費が支払われており、万が一、研究資金がストップしても、大学のチューター業務などで一時的に補える感じでした。学生も自分の頑張りが研究室の予算獲得につながるので、実験をサボることはないし(サボれは否応なく放出されます)、資金獲得のためのプレゼンは死活問題なので、教授だけではなくラボをあげての仕事って感じでした(学生が教授のプレゼンを聞いて改善点を提案する)。もう15年以上前ですが(驚き)、こうやって書いているとあまり遠い過去のような気分がしませんね。それぐらいアメリカの生活は充実して楽しかったのだと思います。
ORE提言
・論文博士の完全廃止
・博士課程学生への生活費の援助(競争的資金に盛り込む)
・産学連携で社会で即戦力になるような博士の育成
アメリカのラボで隣の実験台を使っていた優秀な女子学生は、博士学位取得と同時に大手企業の主任研究者となり、初年度から年収1000万越えでした。さらには学生結婚していた旦那もほぼ同時に学位をとり、有名ハイテク企業に勤めたので、家庭収入は30歳前にして2000万以上となっていました。日本では驚きの額ですが、アメリカではそのくらいは当たり前の感じでした。「博士取っても先がない」とか「博士の1割は行方不明」なんて言われる日本とは大違いですね。