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THE ハプスブルク

2010-03-05 | ア-トな話し
京都国立博物館 2010/01/06 ~ 2010/03/14

すごい展覧会が開催されている。

"THE"という定冠詞がついているのが、すごい。
 別にルールがあるわけではないが、定冠詞を付けるというのは、主催者側の自信の表れでしょう。

ウィーン美術史美術館(オーストリア)やブダペスト国立西洋美術館(ハンガリー)などの所蔵品から、ハプスブルク家ゆかりの名品を中心に選りすぐった絵画や工芸品、合計約120件を公開する展覧会です。

13世紀から20世紀初頭まで、実に600年以上にわたってヨーロッパに君臨したハプスブルク家は、巧みな結婚政策によって神聖ローマ帝国の皇帝を数多く輩出した名門。
膨大なコレクションは、ハプスブルク家の威光を示す豪華絢爛さ。
それは、
「ベラスケスもデューラーもルーベンスも、わが家の画家でした。」というフレーズにぴったしです。


最初は、特別出品の明治天皇からオーストリア・ハンガリー二重帝国(当時)の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世に贈られた画帖と蒔絵棚が展示されています。

「さあ~、ハプスブルクを見るぞという意気込みが、くじけますが(笑)・・・・」

二度と見ることがないという意味では、貴重な作品です。
瑞穂蒔絵棚の美しさには圧倒されます。


この展覧会の真骨頂とも言うべき、イタリア絵画、ドイツ絵画、スペイン絵画、フランドル・オランダ絵画の分野で、16世紀から18世紀にかけての有名作家による一級品の大集合です。会場の中央に、お待ちかね「ハプスブル家の肖像画」があるという構成です。

まずは「イタリア絵画」
何といっても、ティツィアーノです。工房作品も含め、3点がずらっと並んでます。
向かい側にも、もう1点。いいですね。

ジョルジョーネ「矢を持った少年」
1505年頃、油彩、板 ウィーン美術史美術館蔵

板絵なんですね。見とれてしまいます。

「スペイン絵画」

エル・グレコの「受胎告知」もありますが、やはりムリーリョですね、3点あります。


中でも「悪魔を奈落に突き落とす大天使ミカエル」はすごい。
ムリーリョの描く優しいタッチは、フェミニンな大天使ミカエルの姿にどきっとしますね。


いよいよ肖像画コーナーです。

 
いきなり、目玉作品のひとつである、フランツ・クサファー・ヴィンターハルターの描いた巨大な「オーストリア皇妃エリザベート」の肖像画が出てきます。

大きい絵です。右から、中央から、左からと何回も見ました。

当時のヨーロッパ宮廷一といわれた美貌と、身長172cm、ウエスト50センチで体重は50キロという驚異の体形の持ち主だった。
愛称シシィ。
美術館の庭には、彼女の等身大の看板が出ています。記念撮影用ですね。
彼女がよく行ったというハンガリーのお店ジェルボーの日本店が作ったシシィ関連のお菓子が会場限定で売っています。


シシィボックス(マドレーヌ)





アンドレアス・メラー「11歳の女帝マリア・テレジア」
1727年、油彩、カンヴァス ウィーン美術史美術館蔵

気の強さが顔に出ていますね。
皇帝になったことはないけれど、一般的に女帝と言われていた実力者です。





ディエゴ・ベラスケス作「白衣の王女マルガリータ・テレサ」と「皇太子フェリペ・プロスペロ」。

二人並んだボスターも良く見かけます。
会場入り口もそうでした。
会場内も、二人並んでいました。

「可愛いな~」だけでもいいのですが。


二人はスペインを治めたフェリペ4世とマリアナの間に生まれた6歳差の姉弟で、描かれているのは5歳の頃のマルガリータと2歳のフェリペです。
 
 マルガリータは幼い頃からウィーンにいるレオポルトと婚約しており、16歳の時に結婚しましたが血族結婚の繰り返しのため、生まれた4人のうち3人は1歳に満たずに死亡してしまいます。また本人も次女の出産後に体調を崩し、21歳の若さでこの世を去りました…。

 フェリペは幼い頃から病弱でした。これも血族結婚の繰り返しの末に生まれた子であったためです。その病弱な身体を悪霊から守るために鈴をつけていたのでした。しかし、その甲斐もなく、この絵が描かれた2年後に夭折します。

二人の運命を知ると、なお一層、この絵に惹かれますね。

係員が「この部屋は混みますので・・・」という看板を持って歩いています。
これだけ揃っていれば仕方ないよね。

「ドイツ絵画」



ルーカス・クラナッハ(父)「洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ」
1530年代、油彩、板 ブダペスト国立西洋美術館蔵

これが今回の展覧会の超目玉作品という人も多いようです。
ちょっと気持ち悪いという人も居るかも知れませんがね。

サロメは、ヘロデ・アンティパスに、祝宴での舞踏の褒美として「好きなものを求めよ」と言われ、母ヘロディアの命により「洗礼者ヨハネの斬首」を求めたという新約聖書の話です。

何を感じますか?


「フランドル・オランダ絵画」

ヤン・ブリューゲル(父) 森の風景

見落としてしまうかも知れませんね。当時としては風景で縦書きは画期的だったのです。
細部まで実に緻密に描かれています。
隣に架かっているルーラント・サーフェリーの「動物のいる風景(背景にオルフェウスとトラキアの女たち)」
前景の動物達に目が行きますが、作品のテーマは、(背景にオルフェウスとトラキアの女たち)の方にあるのですが、探すのは大変です。


そして最後の方に静かに展示されていた作品。




レンブラントの「読書する画家の息子ティトス・ファン・レイン」。

光の使い方が秀逸です。

最後のコーナーは
「美術収集室の美術工芸品」


ラピスラズリの鉢

照明が少し暗いのか、輝く青色が、今ひとつ、はっきりしませんでしたが・・・

好きな絵や、もうひとつ好きになれない絵もあるかも知れませんが
有名な画家の名前を知らなくても
ハプスブルク家について全く知らない人でも

取り敢えず観ておこうですね。

これだけ厳選された素晴らしい作品をまとめて観る機会は滅多にないと思います。



名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 )

私も、この本で勉強中です。
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コメント
 
 
 
Unknown (kokumi)
2010-03-06 10:40:43
おはようございます~

やはり、先に行ってもらってから行く!
が正解のようです。(笑)

よかったですね~
おかげさまで、またまた感激した絵を見せていただきました。

レンブラントの「読書する画家の息子ティトス・ファン・レイン」もわぁぉって近くで見ることができてとてもよかったです。

ほんとに、「The」だったです。(*^_^*)
 
 
 
ありがとうございます (kazu_san)
2010-03-06 14:56:41
kokumiさん、いつもありがとうございます。
本当に感動的な絵ばかりでしたね。
 
 
 
THE ハプスブルク (hoso_yan)
2010-03-08 03:36:08
小生も先月、金曜日の開館時間延長の日に、会社の帰りに行きました。六時半には会場に到着し、入館者も少なかったので、結構ゆっくり観られました。
 
 
 
Unknown (イタリア)
2010-03-08 08:59:17
こちらで堪能させていただきました。

冷蔵庫の扉にパンフレットを貼り、行く機会をねらっていましたが、行けなかったです。
中野京子さんの「怖い絵」という本も読もうと思っています。
 
 
 
hoso_yanさんありがとうございます (kazi_san)
2010-03-08 19:11:25
ナイターという手もありましたね。
会期も残り少なくなり、土日は混んでいるようです。
ゆっくり見られてなによりです。
とりあえず見ておかないとですね。
 
 
 
イタリアさん、ありがとうございます (kazu_san)
2010-03-08 19:24:33
冷蔵庫にパンフレットを貼ってたとは、行く気マンマンだったのですね。
ブログで擬似体験してください。
怖い絵は有名ですよね。3冊、本屋で立ち読みしました。
先日行った宝鏡寺は、伊勢撫子で有名。その時期は公開してないので見ることは出来ません。地元の松阪が有名なようですね。
 
 
 
はがゆい (keiko)
2010-03-09 19:12:52
BS103が好きで 特に中世ヨーロッパ、古代エジプト・山など 見きれない程録画しまくっています

購読の読売新聞さんに頼み無料観覧券を もらっていたのに、期日が迫り今回はあきらめます

大遣唐使展、4/3~5/9前期・招待券は無にしたくないです

エイ・ヤーが足りなかったかな 
 
 
 
始めましてkeikoさん (kazu_san)
2010-03-09 20:26:51
残念ですね。
読売新聞さんなら、ルノワール展も、お勧めですよ。
エイ・ヤーで、頑張って下さい。
 
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