◆地境を移すな

あなたの先祖が立てた昔からの地境を
移してはならない。　　　　　　　　　　（箴言二二28）

 

私は、幼いころ農村に育ち、一年に一寸二寸と他人の土地をけずりとり地境を移していった人のことを、何度か聞いたことがあります。これは盗みですから、いけないことはいうまでもありません。
しかし、聖書の時代のイスラエル人には、土地についてもっと特殊というか、きびしい考え方があるようです。
・　全地万有すべてが、神の所有物である。人が神のごとく所有すべきではない。
・　神が、それぞれの人をこの地上に住まわせ、神が、仕切りをしていてくださる。それを勝手に、人間の富や権力によって移してはならない。
・　何らかの理由で、自分が置かれている預かった土地を手放す場合、その人には買いもどす権利を与えるべきであり、所有権を獲得した人も、それを永遠の所有と考えてはならない。ヨベルの年には、皆もとの所有者のもとに返すべきである。
この原則を、たとえばパレスチナにおいて、イスラエル人とアラブ人の間にどう当てはめるべきか、また現代の日本の土地の問題に、どのように光を当てるべきかは、複雑な問題です。困難な問題でしょう。
しかし、この原則は尊い原則ではないでしょうか。土地でなく、人の魂の問題にも当てはめてよいものです。私の身近に起こったことですが、妻が、子ども二人を捨てて他の男に走りました。夫は、二人の子を持て余しました。親戚も、引きとろうとはしません。こんな姿を見るにつけて、神の与えてくださった地境を勝手に移そうとする罪深い人間の自分勝手・欲望第一主義・自分第一主義の結末を知るのです。
罪をゆるして、人生に新しい地境を立ててくださるイエス・キリストの愛による人生革命がなければなりません。