情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

内部告発防止システム構想を賛美する読売記者は自分が害悪をもたらしていることに気づいているのか

2008-08-27 06:12:42 | メディア(知るための手段のあり方)
 読売新聞は、8月26日夕刊で、「中小企業の内部告発、業界団体に共通窓口…政府が設置支援へ」というタイトルのもと、【政府は26日、中小企業の内部告発の受け皿となる「共通相談窓口」の業界団体や商工会議所などへの設置を支援する方針を固めた。窓口の運営などに関するノウハウを提供するほか、財政面の支援も検討する。】(※1)という記事を掲載した。ミートホープ事件などが内部告発によるものだったことを指摘しつつ、まるで、共通相談窓口をつくることがいいことのように書いてある。

 あかんで~、読売新聞。内部告発の窓口を内部に設けて、そこへの通報を優先させるのは、大企業の場合、取締役などの責任者の目がすべての面までは行き届かないために、内部での調査を優先することに一定の意味があるからでしょう。

 中小企業の場合は、どうや。

 中小企業が不正行為を行う場合、当然、社長ぐるみ、というか、社長の指示でしょう。

 そのことは、読売新聞自身が例に挙げているミートホープ事件でも明らかなり~。

 ということは、確信犯として不正行為をしているんだから、内部への通報窓口を共通化して、通報しやすくしても、ほとんど意味がない。

 肝心なのは、窓口はあくまでも窓口に過ぎず、調査までしてくれるわけではないってこと。

 しかも、窓口には、守秘義務があるから、窓口担当者が不正行為を外部に漏らすわけにもいかん。

 じゃぁ、何で、そういう共通窓口を設けるのか…。

 そりゃ、あんた、それこそ、ミートホープ事件、思い出してみ。

 あの事件では、会社の幹部が農政事務所に、内部告発をしたにもかかわらず、放置したため、農政事務所、つまり官庁が批判を浴びた。

 もうそういう批判させるような立場に「お官庁様」を追い込むことはやめさせようっていうことや。つまり、内部へ通報する窓口をいかにも公正なものであるかのようにして設置することにより、そこへの通報をさせて、問題を内部で片付けさせようっていう魂胆や。どういう方法で片付けるかって。そりゃ、あんた、確信犯として不正行為を行っている社長なんだから…ね。言わんでもわかるやろ。

 「なんで、そんなひねくれた見方しかできんのや。素直に、受け取ったらええやん」っていう人もいるだろう。

 しか~し、いまの政府は消費者庁をつくろうとしているわけやから、中小企業の場合、内部への通報を充実させるよりも、消費者庁へどんどん通報させるような制度にすればそれで済むはず…。そう思いませんか?

 それにもかかわらず、内部通報の窓口をもうけようとしている…となれば、その魂胆ははっきりしている。

 そもそも、いまの内部告発者(公益通報者)保護法は、有効な外部への内部告発を行うための条件が非常に厳しく設定されており、「内部告発から企業を保護する法」になっているのが実態、といういわくつきの法律や。

 そういう制度に中小企業も乗せようという魂胆を、読売新聞記者には書いてほしかった。今回のような記事では、将来の内部告発つぶしに荷担していると言われても仕方がない。

 単に政府の情報を垂れ流すだけなら、●●でもできまっせ。

 ちっとは、考えようよ!


※1:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080826-OYT1T00435.htm?from=navr




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