情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

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「なぜ無実の人が自白するのか  DNA鑑定は告発する 」の衝撃的事実

2009-01-21 04:16:34 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 取り調べの可視化が全州で実現していない米国では、日本と同様、冤罪がまだまだ多発しているという。日本と状況が違うのは、警察が証拠物をきっちりと保管しているため(※1)、DNA鑑定を行うことによって、冤罪事例が次々と明らかになっているということだ。この一連の冤罪発覚によって、米国では改めて、取り調べの全面録画・録音を導入しない限り、警察の不当な取り調べ(犯人検挙というプレッシャーに押されたもの)を防ぐことはできないという議論が盛り上がっているようだ。

 この一連のDNA鑑定鑑定による虚偽自白発覚事例などを取り上げたのが、スティーヴン・A. ドリズィン氏とリチャード・A. レオ氏の新著「なぜ無実の人が自白するのか  DNA鑑定は告発する」だ。

 この新著では、警察のとる行動がいかに国境や文化を超えるものかが、よく分かる。

 31頁に次のような記述がある。

 【米国の警察官は、しばしばねつ造された証拠を被疑者につきつける。たとえば、存在しない目撃証人や虚偽の指紋、偽造されたビデオテープ、偽物のポリグラフテスト結果等である。警察官が既に被疑者が有罪だという証拠を所有している場合は、そのような証拠の種類、量、強さを誇張する。このテクニックは、被疑者に対する訴追側の立証が、いかなる疑いをも超えて有罪を立証するほどに説得力あり、不変であること、それゆえ、逮捕、訴追、有罪判決が避けられないことを被疑者に確信させることを目的とする。これらのテクニック−弾劾、否認の切り崩し、アリバイ崩し、実物で荒れ存在しないものであれ証拠を突きつけること−は、しばしば取調べの圧力をエスカレートさせながら繰り返される】

 そのような【現在の取調べ技術は、真犯人を自白させる目的で構築されてきたものであるが、心理学的にみて、無実の人から自白を引き出すほどに強力なものである】(33頁)という段階にあるという。


 …適正手続きを重んじるはずの米国ですら、全面可視化が実現するまでは、あるいは、まだ実現していない州では、日本と同じような状況なのだ。

 もちろん、警察に悪意があってそのようなことをしていると言いたいわけではない。警察の事件を解決しようという熱意が真実を発見することよりも、「犯人」とされる者を逮捕し、自白させるということを重視することにつながっているという。この点も日本と同じ状況だ。

 で、驚いたのは、実は、虚偽自白をするまでの取調の時間を分析した結果だ。

 通常の取調の90%以上は2時間以内に終了しているのに対し、虚偽自白だった事例のうち、時間まで把握できたものの平均は16.3時間。時間帯別では、6時間以下が16%、6時間〜12時間が34%、24時間〜48時間が7%、48時間から72時間が2%、72時間〜96時間が2%だという。

 びっくり! しませんか。あまりの時間の短さに…。そんなに簡単に人は虚偽自白に追い込まれてしまうんだ…。

 日本では、否認をしたら、一日6時間〜12時間の取調を実質14日間くらいはしてしまう。そうすると何時間になりますか…。

 米国では、わずか、平均16.3時間で虚偽自白をする。それと比較して、日本での取調時間の長さから、日本での虚偽自白の多さは容易に想像できるというもの。


 裁判員候補の通知が来た人にお薦めの一冊です。


※1:日本では、現場に残っていた「資料」を科学的に分析する際に、なぜか「全量消費」してしまい、後で追加テストを行うことができないことがよくある。







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★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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司法取引 (伊賀 敏)
2009-01-21 22:36:16
アメリカは司法取引をやる。
日本は司法取引はできない。
司法取引とは日本で言う利益供与。
自白と引き換えに減刑する。
訴追しない場合もある。
終身刑の被告を釈放することもある。
これは合理的な司法腐敗だ。
Unknown (こやぶ)
2009-01-22 13:16:17
何故 無実の人を身柄拘束するのかが問題だろう。
人間は社会的な動物。 (田仁)
2009-01-22 22:08:38
密室や慣れない環境に閉じ込め、孤立無援で心理操作されると、ソレはもう高い確率で『落ち』ますわな。
残念ですけど。
で、まだまだ警察がイビる事に決めてナブッてる法政大ですが、若いお嬢さんの逮捕でバレちゃった事がありまして。
何でも、東京拘置所には『保護室』名目の拷問部屋があるって!
弁護士さんを呼べないのはお約束として、歯磨きも日用の薬も裁判資料も眼鏡も全てNo!と拒否され、寒さの厳しい中で毛布一枚、ドギツい緑色のペンキ塗りの壁に囲まれて、大便も故意に水を流して貰えず、ティッシュペーパーも食事も嫌がらせの小道具とか。
ティッシュペーパーは貰えないだけ(?)でも、食事は故意に床へ落とすばかりか、食事で汚した床に直接布団を投げ落とす、まあ言えば食べ物を粗末にするのの一番悪い手本、みたいな。
んな、色々ヤバい(グァンタナモっぽい)手練手管があるんだそうですよ。
Unknown (伊賀 敏)
2009-01-23 11:55:28
そもそも自白自白と自白にたよるのがおかしいだろ。
具体的な証拠以外は証拠じゃないよ。
自白調書は取調官が書くんだろ。
好きなように書けるじゃないか。
文書偽造だよ。
Unknown (こやぶ)
2009-01-23 18:01:49
毛布って あんなもん毛布じゃないですよ。
だいたい小さい バスマットくらいでしょ
しかも汚い。 
箱枕はボロボロでイタイイタイ
布団って あれ座布団2枚分くらいですよ。
ティッシュって あれ一番ボロイ トイレットペーパー1まき与えられるんですよ。
壁はコンクリートで冷たい冷たい
永久凍土かと思いましたよ。 2日で拘禁反応は出るでしょ。 逆に4−5日経てば慣れる。 
出れるんなら自白には応じますよ、たいてい。

 

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