情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

検察官証拠捏造問題の予防策は可視化~調書主義を打破することが解決の鍵

2010-09-22 16:07:22 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 検察官によるFDデータの改竄問題について、マスメディアはいかにも驚いたかのような論調の記事を書いているが、いままで何を取材していたのか、といいたい。刑事事件に真剣に取り組んでいる弁護士に取材すれば、いかに同種の問題が日常的に発生しているか、よくわかるはずだ。もちろん、検察官が主体的に証拠捏造にかかわっているケースは多くはないだろうが、警察官の証拠捏造を検察官が見逃しているケースは日常茶飯事だ。多くは、取調べの結果を記録する調書の捏造だ。いくら被疑者や参考人が違うといっても、「ほかの人はこう言っている」とか、「そんなこと言っていると帰られないぞ」と言って、警察の描いた図式にあてはまるような内容の調書にしてしまう。そして、そのストーリーに合わない事実は知らないふりをしたり、歪曲して報告する…。細かい争点も挙げれば、ほとんどの事件で調書の内容に被告人は不満を抱いているはずだ。

 たとえば、私が担当した外国人の強盗被告事件(検察側のストーリーでは、本人は運転手役ということで、顔を見た被害者はいない。共犯者の証言のみが有罪の証拠)では、本人が動機がないことを説明するために、輸出業を営んでいる証拠として、輸出する予定で荷造りした中古車(その中に個人の母国宛荷物が多数積み込んである)の存在とその場所を警察に教えたが、警察から出てきたのは、輸出業なんか営んでいないという報告書だけで、車のことには目を瞑った。私が被告人の説明のままに現場に行ったら、車はあった。

 輸出業を営んでいる証拠として被告人は取引のある通関関連業者を挙げたが、警察はその業者について、別の事業を営んでいるとの虚偽の報告書を提出した。しかも、住所を日本橋●●町であるところ、日本橋▲▲町として(地番は同じ)、簡単にその業者に行き当たれないような小細工をして…。

 そして、犯行後に持っていた現金について、お金を渡してくれたと説明した別の外国人の所在について、警察は不明だという報告書をつくったが、私が探したら、そう苦労もせず、見つかった。

 さらに、被告人から自分が犯行にかかわったという電話を受けたという人物がいたが、被告人の携帯電話の送信記録を調べていないと警察は言い切った。

 この告白を受けた人物は、なんと、警察に当時別件で逮捕されていた怪しい人物が警察署から直接、電話を受けて、警察に出頭してきて、電話を受けた旨供述するに至った…。

 残念ながら、これだけ不思議な事件でも有罪とされてしまった。

 本人の希望で、●●町の報告書の捏造について、国家賠償請求訴訟をしたが、それも認められなかった。

 問題は、以上の不思議な報告書の多くは起訴される直前に、作成されたものだということだ。つまり、検察官が、警察の捜査を不十分だと感じ、追加で捜査を明じた結果として事実とは違う報告書が作成され、検察官はそれを信じて起訴したわけだ。

 ところが、弁護側の調査でそれらが事実と違うことがわかった。そうであれば、その時点で、警察官を叱責し、起訴を取り下げるべきだった。

 警察にだまされたことがわかった後も検察官は、強引に公訴を維持した。

 はっきりいえば、検察官も、証拠の捏造に加担したわけだ。

 ここまでひどい事件が普通に起きているとまでは言わないが、最初にも言ったように、調書が自分が言いたかったことと違うという事例はしょっちゅうだ。


 そういうことが日常的な業務の中で行われているなかで、大阪の事件が起きた。起きるべくして起きたわけだ。


 防ぐためには、取調べの可視化しかない。

 検察・警察側の構図での調書作成を封じるしかないのだ。

 そうすれば、そのほかの証拠の捏造も減るだろう。

 さらに、有罪率の引き下げも重要だ。

 有罪率99%以上の事件しか起訴されないということは、有罪率80%くらいの事件は見逃されているということだ。本来裁かれるべき人が起訴されていないわけだから、ある意味、税金の使い方として適正ではないともいえる。

 しかも、有罪率が高ければ、いったん起訴した後、間違いに気づいても、その間違いを認めるよりも、間違いではないことにしたくなってしまい、今回のようなことになってしまう。有罪率が低ければ、間違いに気づいた時点で、引き下がることも容易になる。

 そうなれば、自ずから、人質司法も減り、無用な勾留も減るだろう。

 可視化と有罪率の低下、これが、日本の刑事訴訟手続きを適正なものにするために、必要な最低条件だと考える。

 検事総長の進退よりも、二度と起きない対策を採用することのほうがよほど重要だ。

 それを実現することができるかどうか、大きな世論を作り出せるかどうか、それはインターネットによる情報伝達が発達したとはいえ、まだまだ、マスメディアの報道のあり方にかかっているというほかない。そういう気持ちで報道してほしい。
 








●沖縄への連帯ツイッターキャンぺーン●

【ツイッターアカウント】@BarackObama

【メール】→http://www.whitehouse.gov/contactから


【ツイッター例文】
JAPAN IS NOT US'S COLONY! We won't support US BASE. All US BASE OUT! from our country.

Please HELP Okinawa. 75% of the American bases in JP is in the islands, only 0.6% of JP land. Relocate #Futenma base outside.

Marine in Futenma must go back to your country. There is no place where the base of Marine is acceptable in Japan.

Okinawa and a lot of Japanese oppose the transfer of the Futenma base to Henoko


At least180 MPs of ruling parties say NO to Futenma relocation within Okinawa. Check this http://bit.ly/9jQIW8

 




【ツイッターアカウント】yamebun

【PR】






★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて:Gilbert's Nuremberg Diary)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。なお、多忙につき、試行的に、コメントの反映はしないようにします。コメント内容の名誉毀損性、プライバシー侵害性についての確認をすることが難しいためです。情報提供、提案、誤りの指摘などは、コメント欄を通じて、今後ともよろしくお願いします。転載、引用はこれまでどおり大歓迎です。


最新の画像もっと見る