情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

1714万円で買った広報映画フィルムの貸し出しがわずか1回~07・08年度の裁判員広報決算検査結果

2008-12-25 02:23:44 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 このブログでも集中して取り上げた裁判員制度やらせタウンミーティング問題など、裁判員に関する広報の問題点について、会計検査院が調査した結果が、同院のウェブサイトに掲載されている。しかし、ほとんどのメディアがこの件について取り上げていない。単なる熱しやすく冷めやすいメディアの体質のせいなのか、それとも、裁判員に関する批判的な記事は書きにくいからなのか。いずれにせよ、検査結果は、あまりにもずさんな内容だった。おぼこい最高裁が、電通などの広告代理店に手玉にとられたのかもしれないが、そんな言い訳を認めるわけにはいかない。せめて、簡単にだまされるもんだという経験から学んで、消費者の立場にシンパシーをもってもらいたいもんだ。

 検査結果が掲載されているのは、http://www.jbaudit.go.jp/report/all/pdf/0401-01.pdf のページ。

 たとえば、入札方式をとらない随意契約をとったものについては、次のような指摘がされている。

【最高裁判所は、企画競争の実施に際して、企画競争随契とする理由の妥当性についてりん議を行うことになっているが、企画競争の実施伺等の決裁書類中に競争入札によらない理由についての具体的な記述がないために、随意契約とする理由の妥当性についてどのような検討がなされていたかを、事後に確認できない状況となっていた。】

 稟議書の軽視…文書提出命令(相手方などが保有する文書を裁判所に提出させる命令)などを簡単には認めてくれないのも仕方がないような気にすらなってしまう。


 あらかじめ費用を見積もる予定価格の算定については、次のように指摘した。

【予定価格の算定に当たり、過大な積算となっていたり、算定すべき費用を加算していなかったりしていたものが見受けられた。また、業者の選定後に、仕様の詳細や予定価格が改定されて、契約締結に至るまでの過程で企画、仕様等が変更になる場合には、その変更内容を積算に反映すべきところを、これを反映しないまま予定価格を算定していたものが見受けられた。
 また、最高裁判所の積算額が、選定業者の見積書の金額と著しく異なったため、項目ごとに金額を増減させるなどして調整を行ったと推測されるものが見受けられたが、このような処理を経た積算は、実態を的確にとらえたものとはなっていないと認められる。】

 …業者のいいなりになったようだ。税金の無駄遣いではないのか?

 また、契約の確認などについては、

【契約履行時の立会い、指示等の監督の職務及び給付の完了を確認する検査の職務については、相互牽制のため特別の必要がある場合を除き両者を兼ねることはできないとされている。しかし、監督職員が任命されずに担当局課の職員が事実上の監督行為を行っていて、またそのうちの1 名が検査職員に任命されているなど、監督の職務と検査の職務の区別が明確でないものが見受けられた。】

という状況。

 制作物の利用状況については、

【17、18 両年度の裁判員制度広報用映画制作に係る請負契約において取得したフィルム3 本(取得価額相当額計1714 万余円)について、取得することについての事前の具体的な調査・検討及び取得後の使用計画の検討や、貸出しなどについての市町村等の関係機関に対する周知が十分でなかったことなどのため、1 本が一度使用されたのみで貸出しの実績は全くなく、取得の目的に沿った利用がなされていなかった。】

という。


 契約書についても

【広報実施局課(事務総局総務局、事務総局刑事局及び事務総局広報課)は、予定価格及び契約書の作成に必要な仕様の確定について、契約事務の担当である事務総局経理局用度課(以下「用度課」という。)に対して、決裁等を経た文書による依頼通知を行っていないなど、適時適切な連絡調整がなされていなかった。そして、広報実施局課は、業者選定後に契約書が未作成のままで、当該業者に企画内容を履行させていた。一方、用度課においても、契約書の作成を事後に行っていた。】

 というお寒い状況だ。

 現時点では、改善されているというが、裁判所が無菌状態におかれているために、このようなことになったのであり、その点を改善することが重要だろう。たとえば、弁護士を5年以上経験している者のみ裁判官になるとができるなどの方法を検討するべきではないだろうか。

 それにしても、この報告書、メディアはどこが書いたか、ご存じだったら、教えてください。









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