弁護士がまだまだ信頼に足りると考えるのは、たとえば、利息に関連する法律の改正に真剣に取り組んだりするところだ。従来は、利息制限法上は年18%の利息しか取れないにもかかわらず、罰則がないため、大手サラ金も、出資法での制限である年29.2%の利息をとっていた。このため、この差額分を返還しろという主張をすることができるが、自ら手続きをとることを避けて、弁護士に依頼する人が多い。この手続きを代理すること自体は、先端でぎりぎりと判例をつくっている弁護士を除けば、定型的な業務であり、主要な収入源の一つとしている事務所も少なくはない。
そうであれば、普通なら、自らの金儲けを絶つような法改正を求めたりはしないだろうが、日弁連はグレーゾーン金利撤廃に真剣に取り組み、一昨年末、出資法の上限金利を2009年末までに利息制限法の制限金利まで引き下げる内容を盛り込んだ「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」を成立させることに貢献した。
弁護士会は、自らの食い扶持を減らしてでも、社会正義を実現しようとしたのだ。このことはもっとアピールしてよいと思う。
というのは、営利団体が自らの利権を放棄することは通常考えにくいからだ。
米国では、220万人の受刑者がおり、それは世界の受刑者の4分の1を占めるという。格差社会による治安の悪化など様々な要因が考えられるが、真の原因は、刑務所が産業化していることにあると、ノルウェーの犯罪学者ニルス・クリスティーは、2000年の著作「司法改革への警鐘-刑務所がビジネスへ」(信山社)で指摘した。
ニルスによると、米国の業界誌「Corrections Today」(今日の矯正)の1991年6月号には、111もの広告が掲載されていたという。そのなかには、次のようなものがあったという。
●海上矯正施設
時代は変わる…ビビーは地上の施設に代わるものを「提案」します。ビビーは「お届け」します。
90~120日以内の緊急収容
9~12か月以内の650床までのベッド
●道徳が食事にかかっているとお考えなら、当社におまかせください。…
サービス・アメリカは全国の刑務所で、食事を提供し、よい評判をいただいております。…
そして、翌7月号には130もの広告が掲載されたという。
●受刑者によっては、ナイフで刺したり、切りつけたり、殴ったり、やけどさせたりするのが好きな連中もいます、しかし、S.T.A.R.スペシャル・タクティカル・アンチ・ライオット・ベストなら、あなたを守ってくれます。
●ヒューマン・リストレイント・カンパニー
高品質の革製拘束具。合衆国にて1876年以来製造。
お電話もしくはお手紙によるお申し込みで無料パンフレット贈呈
この結果、米国の受刑者は右肩上がりに増え、刑務所産業も大成長している。米国は最近まで景気がよかったはずだ。普通、景気がよければ治安がよくなり、受刑者は減ると思われるが、そうではない。
米国法務省の最新のデータでは、数値による比較をしていないが、グラフを見るといかに受刑者が増えているかよく分かる。
そのデータ(http://www.ojp.usdoj.gov/bjs/prisons.htm)によると、黒人男性10万人のうち3,042人が有罪判決を受けて刑務所に収容されているのに対し、白人男性は487人に過ぎないという。
この数字は、恐ろしい状況を示している。いいですか、黒人男性は30人に一人が刑務所で生活しているのに対し、白人男性は200人に一人しか収容されていない。
これは、黒人に対する社会的サポートをせず、刑務所産業を維持するリソースとしている結果ではないだろうか。
受刑者をこれだけ増やすために使われているのが、共謀罪と司法取引であり、共謀罪で司法取引されて刑務所に送られる妻やガールフレンドが増えているという。
最新号の「Corrections Today」(冒頭の写真)を見ると、ターゲットを未成年犯罪にしているようだ…。
話が共謀罪にまで至ったが、言いたいのは、民営化したら、却って、利益を追い求めて、その産業が肥大化するということだ。特に政府と業界がつるんでいる場合には、もうどうしようもない状況になる。
もちろん、国鉄、郵便局のように民間と同じ産業の場合には弊害は、少し違う形、つまり、コストに合わないサービスは切り捨てるという形で現れるが、公的サービスの下請けという形での民営化は、いったん、民営化された後で、その部門が肥大化してももはや止めようがない。
民営化を押しつける米国政府の陰に、公務下請けサービス会社がいると言われたように、共謀罪を日本に押しつけようとする米国政府の陰には、刑務所産業の経営陣が舌なめずりしているのではないだろうか。
いずれにせよ、安易な民営化は結果的には、税金の無駄遣いにつながる可能性があることを肝に銘じておかなければならない。
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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そうであれば、普通なら、自らの金儲けを絶つような法改正を求めたりはしないだろうが、日弁連はグレーゾーン金利撤廃に真剣に取り組み、一昨年末、出資法の上限金利を2009年末までに利息制限法の制限金利まで引き下げる内容を盛り込んだ「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」を成立させることに貢献した。
弁護士会は、自らの食い扶持を減らしてでも、社会正義を実現しようとしたのだ。このことはもっとアピールしてよいと思う。
というのは、営利団体が自らの利権を放棄することは通常考えにくいからだ。
米国では、220万人の受刑者がおり、それは世界の受刑者の4分の1を占めるという。格差社会による治安の悪化など様々な要因が考えられるが、真の原因は、刑務所が産業化していることにあると、ノルウェーの犯罪学者ニルス・クリスティーは、2000年の著作「司法改革への警鐘-刑務所がビジネスへ」(信山社)で指摘した。
ニルスによると、米国の業界誌「Corrections Today」(今日の矯正)の1991年6月号には、111もの広告が掲載されていたという。そのなかには、次のようなものがあったという。
●海上矯正施設
時代は変わる…ビビーは地上の施設に代わるものを「提案」します。ビビーは「お届け」します。
90~120日以内の緊急収容
9~12か月以内の650床までのベッド
●道徳が食事にかかっているとお考えなら、当社におまかせください。…
サービス・アメリカは全国の刑務所で、食事を提供し、よい評判をいただいております。…
そして、翌7月号には130もの広告が掲載されたという。
●受刑者によっては、ナイフで刺したり、切りつけたり、殴ったり、やけどさせたりするのが好きな連中もいます、しかし、S.T.A.R.スペシャル・タクティカル・アンチ・ライオット・ベストなら、あなたを守ってくれます。
●ヒューマン・リストレイント・カンパニー
高品質の革製拘束具。合衆国にて1876年以来製造。
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この結果、米国の受刑者は右肩上がりに増え、刑務所産業も大成長している。米国は最近まで景気がよかったはずだ。普通、景気がよければ治安がよくなり、受刑者は減ると思われるが、そうではない。
米国法務省の最新のデータでは、数値による比較をしていないが、グラフを見るといかに受刑者が増えているかよく分かる。
そのデータ(http://www.ojp.usdoj.gov/bjs/prisons.htm)によると、黒人男性10万人のうち3,042人が有罪判決を受けて刑務所に収容されているのに対し、白人男性は487人に過ぎないという。
この数字は、恐ろしい状況を示している。いいですか、黒人男性は30人に一人が刑務所で生活しているのに対し、白人男性は200人に一人しか収容されていない。
これは、黒人に対する社会的サポートをせず、刑務所産業を維持するリソースとしている結果ではないだろうか。
受刑者をこれだけ増やすために使われているのが、共謀罪と司法取引であり、共謀罪で司法取引されて刑務所に送られる妻やガールフレンドが増えているという。
最新号の「Corrections Today」(冒頭の写真)を見ると、ターゲットを未成年犯罪にしているようだ…。
話が共謀罪にまで至ったが、言いたいのは、民営化したら、却って、利益を追い求めて、その産業が肥大化するということだ。特に政府と業界がつるんでいる場合には、もうどうしようもない状況になる。
もちろん、国鉄、郵便局のように民間と同じ産業の場合には弊害は、少し違う形、つまり、コストに合わないサービスは切り捨てるという形で現れるが、公的サービスの下請けという形での民営化は、いったん、民営化された後で、その部門が肥大化してももはや止めようがない。
民営化を押しつける米国政府の陰に、公務下請けサービス会社がいると言われたように、共謀罪を日本に押しつけようとする米国政府の陰には、刑務所産業の経営陣が舌なめずりしているのではないだろうか。
いずれにせよ、安易な民営化は結果的には、税金の無駄遣いにつながる可能性があることを肝に銘じておかなければならない。
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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