情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

報道に関する事件は陪審制~ベルギーの工夫

2009-06-19 06:33:42 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 いま、ヨーロッパの表現の自由に関する第一人者の一人、デレク・フォルホーフ教授とパートナーで同じく報道評議会議長の経験を有するインゲール・ハート-ラスムッセン弁護士が来日中だ。18日は、デレク・フォルホーフ教授が日弁連などが共催したシンポジウムで、ヨーロッパ人権裁判所の判例などを紹介してくれた。

 やはり、国家を超えた司法権の存在は重要だなぁ、と改めて思い知らされたわけだが、そういうシステムを持ち込むことのできるヨーロッパの民主主義はすごいと、これまた、思い知らされた。

 私たちは、日本の民主主義の脆弱性について、民主主義が根付いていないという言い方をすることがあるが、お二人の話を聞くと、それは「逃げ」でしかないと思う。

 つまり、民主主義は「根性」ではなく、「システム」によって守られているということだ。民主主義が根付いていないのは、民主主義に対する意欲が足りないのではなく、民主主義的システムを知らず、導入していないことに原因があるわけだ。そういう意味で日本の学者やメディアの責任は大きいわけだが、その責任の大きい学者やメディアがしたり顔で、「日本の民主主義は戦って勝ちとったものではないからねぇ」などと嘆いているのを見ると本当に腹立たしい。

 たとえば、お二人から、ベルギーにも陪審員制度が取り入れられているが、それは、①重大犯罪、②政治犯罪、③報道機関に対する事件の3つに限定されているという話を聞いた。

 なぜ、報道機関が陪審員によって裁かれるのか、それは、政府が任命した裁判官に報道機関をさばかせるのは、報道機関を委縮させると考えたからだ。これはもう100年以上前からとりいれられた制度だという。

 100年以上前から、萎縮することを防ぐために、システムを駆使しようとしていたのだ。

 それに引き替え、日本では、問題点が発覚してもシステム改善の話につながらない。

 たとえば、足利事件があっても、取り調べの全面可視化が導入されない…。



 民主主義と報道・表現の自由に関心がある方は、ぜひお二人の話を聞いてほしい。


[1] 6月18日(木)18:15~20:30→済み
第52回 日本弁護士連合会 人権擁護大会プレシンポジウム
「マスメディアに本来の機能を発揮させるためのいくつかの方法 」
――ヨーロッパの工夫と人権裁判所判例から考える
@弁護士会館 3階301号会議室

[2] 6月19日(金)11:45~13:15
「国民と立法府による政府監視の進化」
――民主社会の成熟に向けたメディアとNGOの役割を視野に
@衆議院第2議員会館 第1会議室


[3] 6月19日(金)18:15~20:45
「表現の自由・知る権利」最前線
――ジャーナリストとNGOの取材・調査活動はどこまで自由か?
@青山学院大学青山キャンパス総研ビル11階19会議室


[4] 6日22日(月)19:00 ~21:00
「表現の自由/知る権利」の最前線
――フォルホーフ教授とハート=ラスムッセン教授を囲むNGOの夕べ
@新宿パークタワー30F コンファレンスルーム桔梗
共催:アムネスティ・インターナショナル日本(03-3518-6777)
   ヒューマン・ライツ・ウォッチ(03-5282-5160)
   監獄人権センター(03-3259-1558)
   A SEED JAPAN(03-5366-7484)
   グリーンピース・ジャパン(03-5338-9800)


【お二人のプロフィール】 
デレク・フォルホーフ教授
ヘント大学(ベルギー)の政治・社会学部および法学部教授。欧州人権裁判所における判例理論、メディア法、著作権法、ジャーナリストとメディアの権利と責任、表現の自由を専門とする。オックスフォード大学PCMLP/IMLA主催の国際メディア法模擬裁判大会の顧問委員会委員でもあり、1992 年降、欧州評議会人権理事会で専門家として活躍。

インゲール・ハート-ラスムッセン氏
コペンハーゲン大学(デンマーク)にて弁論法を教えるかたわら、教育学の学位をもつ弁護士としても活躍。1996年から2001年までデンマークメディア評議会の議長を務め、2001年から2005年までデンマーク弁護士会の調査・開発部門長として、教育・調停・人権擁護などの分野に従事してきた。




【PR】









★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。なお、多忙につき、試行的に、コメントの反映はしないようにします。コメント内容の名誉毀損性、プライバシー侵害性についての確認をすることが難しいためです。情報提供、提案、誤りの指摘などは、コメント欄を通じて、今後ともよろしくお願いします。転載、引用はこれまでどおり大歓迎です。


最新の画像もっと見る