情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

安倍秘書がSLAPP訴訟で和解~「ジャーナリストが危ない」より

2008-06-15 11:38:49 | メディア(知るための手段のあり方)
 一度紹介したことがあったはず…と思いつつ、見つからないのですが、テレビ朝日「サンデープロジェクト」での朝日新聞記者の「日興證券には安倍事務所にすごい強い常務がおられて、その人が今度これをやって将来社長だなんていう噂がね、ありますよ」という発言について、①安倍晋三首相(当時)ではなく、安倍事務所の秘書3人が、②テレビ朝日ではなく、朝日新聞と発言した記者を相手にして、名誉毀損で訴えた事件は、今年2月には和解が成立していたらしい。田島泰彦教授らが出版した「ジャーナリストが危ない 言論の自由を脅かす高額〈口封じ〉訴訟」に掲載されていた。

 改めて、安倍氏の首相としての資質のなさを感じさせる結末だといえる。

 そもそも、この事件の請求額は、3300万円。死亡時の慰謝料を上回る金額であり、そのような請求が到底認められないのは明らかだ。

 しかも、請求の根拠が面白い。

 【山田氏の発言は、「あたかも『安倍事務所に影響力のある日興證券の常務が同事務所の秘書らに働きかけて、本来日興コーディアル証券は上場廃止になるべき事案であったにもかかわらず、同事務所の秘書らによって上場廃止が防がれた』」という印象を一般視聴者に強く与えるものだが、これは全くの事実無根であり、原告らの社会的評価を下げたとする】というものだ(前掲書60頁)。

 安倍事務所に強いっていうのは、安倍首相(当時)への影響力があるという意味であって、安倍事務所の秘書に影響力があるという意味ではないことは当然だ。一般視聴者がそこを間違えるはずもない。

 それにもかかわらず、秘書に訴えさせたわけで、それだけで本来なら首相を辞めるべき愚行だといえよう。

 しかも、テレビ朝日での発言なのに、朝日新聞を訴えるという馬鹿さ加減にはおそれいる。

 結局、本年2月、最終弁論ののちに裁判官から和解がすすめられ、記者の側が、「発言の中に秘書らが誤解する表現があったとしたら、遺憾であると表明する」という趣旨の一札をいれ、秘書らは訴えを取り下げたという。

 誤解する表現があったとしたら、という表現なので記者側の全面勝利といえよう。

 前掲書にはほかにも恫喝訴訟が紹介されている。ジャーナリストの皆さん(組織ジャーナリストを含む)は、ぜひ、ご一読を!
  





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1 コメント

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安倍は最近… (作務)
2008-06-15 19:42:20
ラジオ番組内で「子供相談室」の相談役をやったそうですね(大笑い)

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